D16さまに捧ぐ「From The Shadows レポート(ネタバレ)」
はじめに
これは10000HIT記念に、D16さまのリクエストに基づいたエッセイです。
私のプレイしたAD&Dシナリオの中で、もっとも「おバカな」セッションのレポートです。
このシナリオで描かれる物語自体はとてもシリアスであり、興味深いものです。(いやいやマジで。)
しかし、これを小説ではなく、TRPGのシナリオでやるとなると・・・難しいだろうになぁ・・・
デザイナーの思惑通りPCたちは動いてくれるとは限りませんからね。
PCたち「んなアホな!」「本当なんですか!」
DM「だってそう書いてあるんだもん」
何度、この台詞の応酬をしたことか・・・(笑)
内容はストーリー重視の既成シナリオをそのままやった際のプレイレポートみたいなものです。
シナリオ「From The Shadows」(RQ3 9375)のネタバレを激しく含んでいるので注意してください。
・「Ravenloft」に関する予備知識
「Ravenloft」とは閉鎖されたデミプレーンを舞台とした、ゴシックホラー向けのキャンペーンワールドです。
この世界へは何の予兆もなく「霧にまかれて」やってきます。不運にも迷い込んでしまうと言った方が良いかもしれません。
普通に旅をしていると突然周囲が霧にまかれ、そのまま歩いていると全く知らない場所についていた・・・
というシーンから始まります。PCたちはこの奇妙な世界から抜け出し、もとの世界に戻るために冒険に挑むのです。
ここでは邪悪な行いをすればするほど、自分自身の姿が化け物へと変わっていき、強力になっていきます。
しかし、邪悪になればなる程この世界との結びつきが強まり、他の世界へ逃れることができなくなります。
今回、その閉鎖世界を治めるダークロードの1人であるリッチが、外の世界へ逃げ出そうと企むところからスタートします。
PCたちは(止むを得ず)そのリッチの手駒として動きながらも、元の世界へ戻れるよう努力することになります。
・不運なPCたち
時は西暦1995年7月 都内某所に集った我々はAD&Dを始めることにしました。
このセッションが私の2回目のAD&Dだったのですが、案の定出目が悪く(笑)しょぼい能力値しかできませんでした。
ところがPHBとにらめっこしてる時に、「何だ、パラディンが作れるじゃん!」と気づいたのです。
まさにこれが5時までパラディン「ハイランス卿」が誕生した瞬間でした。
(このとき素直にConに18振ったファイターを作っていれば、このサイトもなかったかもしれませんね。)
Str12、Dex 9、Con12、Int 8、Wis13、Cha18とかの能力値でした。弱っ!(笑)
他はハーフリングとプリーストとドラゴン(!)だったような気がします。
北極ハーフリング(Cipher殿)・Fu Hsingのプリーステス・ドラゴン(RO殿)でしたね。
Fu Hsingとは中国の女神の1人で「唄」「喜び」を司ります。
ここのプリーストは「全ての恐怖・絶望に耐性」「同レベルのバードとして呪文を唱える」能力があります。
「霧にまいて集めるからどこの世界でも構わない」というありがたいレギュレーションの元(笑)
思い思いにキャラを作ってました。
・冒険の始まり
DM「じゃあ霧にまかれた」
PCたち「速っ!」
と、いうわけで霧にまかれました。(笑) もう「Ravenloft」に片足つっこんでます。
DM「首が無い男が馬にのってやってくる。戦闘になるよ」
PCたち「デュラハンかな・・・?まぁいいや、戦闘だ!」
イニシアチブを振り、行動を決めるPCたち。
DM「男の攻撃・・・(コロッ)・・・・当たった。」
PC「じゃあダメージください」
DM[首が切られた」
PC「なにーーーーーー!!!???」
他のPC「死んだんすか?」
DM「首切られても生きてるキャラじゃないでしょ、死んだよ」
他のPC「逃げます。敵うか、こんなやつ」
DM「後ろにはこんな奴(ビホルダー)がいて、こっちをじっと睨んでる」
PCたち「全滅ですか?」
DM「これはイベントだから勘弁してくれ。でも、呪文無効化100%、物理攻撃無効、
攻撃が命中したら即死の敵を「PCたちが絶望しないように」操るのって難しいよね?」(笑)
PCたち「絶望するなと言っても無理でしょう。間違いなく」
と、いうわけでPCたちは首をちょん切られてしまいました。シーンが移ります。
シナリオ注
ここはリッチが冒険者を捕らえるシーンです。問答無用なのでPCとしてはやり切れませんでしたが(笑)
・目覚め
おきたら自分たちは首だけになって棚に納まってました。(笑)
首から下の身体は別のところに立て掛けられているのがわかります。
PCたち「何で生きてるんだ?私たちは」
どうやらここは何かの実験室のようです。魔法の触媒らしきものが転がってたりします。
そこへ主とも言えるリッチがやってきます。イービルじゃんじゃんばりばりでパラディンには耐えられません。(笑)
リッチ「お前たちに仕事をしてもらうぞ。断ることもできまい?」
ハイランス「貴様のような邪悪な輩に加担するはずもあるまい!断る!」
リッチ「ならばお前は首だけで生きていくか?ん?」
ハイランス「やります!やらせてください!」(←おい)
身体が無ければ正義は守れませんからね(笑) 使い魔のインプの嫌がらせも受けていたので簡単に屈しました。
インプ「けけけっ!ホレホレ、何とか言ってみろや」(顔を爪で引掻いている)
ハイランス「やめろ!汚らわしい悪魔め!」
インプ「良いのか?そんな口の利き方して?ご主人に言いつけるぞ?」
ハイランス「いえいえ、生かしておいてくださるなら靴でも舐めます、ハイ!」
DM「おいおい、その発言はパラディンとしてまずいんじゃないのか?」
ハイランス「パラディンの勤務時間は5時までだ!アフターファイブは何をしようと私の自由だろ!」
その日は5時を過ぎていたので不問に伏されましたとさ・・・って本当か?(笑)
リッチ「では諸君をある城へ送りつける。ただし精神だけだ。現場の人間を乗っ取って行動せよ」
PCたち「はいはいはい(←もはやシナリオベルトコンベアーに乗ってる)」
リッチ「その城の中では結婚式が行われているはずだ。
結婚の祝福に使うアーティファクトがあるからそれを奪ってこい」
PCたち「はーい」
もはやこの時点でパラディンとしては激ヤバな状態にあるわけです。
己に邪悪な術をかけられ、罪なき一般人の身体を乗っ取り、祝福用アーティファクトを強奪するのですから。
でもまあ、呪文により無理やりパラディン規範を破らされた場合は情状酌量の余地があるし(←調査済み(笑))
とりあえず行ってみますか・・・
シナリオ注
リッチはなんとWishを使って冒険者たちをこのような姿に保っています!ご苦労なことで・・・
・襲撃!
ここでは350年前の「Castle Ravenloft」へ襲撃をかけます。
シナリオ注
実は「Castle Ravenloft」とは「Ravenloft」というデミプレーン自体を作り出した元凶の大元なのです。
ここでの事件が引き金となり、デミプレーンが生まれたと言われています。(神秘研究者談)
「Castle Ravenloft」とは、元々「Strahd von Zarovich」という男が所有する城でした。
彼は優秀な軍人で、正義の心をもった紳士でもありました。
しかし、彼が実の弟Sergeiの恋人Tatyanaに横恋慕したことが悲劇の始まりでした。
Strahdは二人の結婚式の前日に、弟Sergeiを殺害し、Tatyanaを我が物にしようとしたのです!
しかし、恋人の死を知ったTatyanaはバルコニーから身を投げてしまいました。
その瞬間、Strahdに邪悪な力が宿り、彼はヴァンパイアになったのです。
リッチの狙いは結婚式会場にあったthe Holy Symbol of Ravenkindでした。
「Ravenloft」の成り立ちの際にそれを奪取しておくことで、
「Ravenloft」のプレーンの力自体を弱められると考えたのです。
そこで時を超えて冒険者たちを送り込むことにしたのです。
(the Holy Symbol of RavenkindはGoodのアーティファクトなので冒険者にしか触れませんし)
会場に送り込まれたPCたちは手ごろな客人を乗っ取り、式場(チャペル)へ向かいます。
すぐに事件が起こり、Strahdがヴァンパイアと化して城中の人間の無差別殺人を始めるので
それまでにアーティファクトを奪い取り、城の外へトンズラこく必要があります。
「正義の心」が悲鳴をあげていましたが、PC本人の悲鳴の方が大きかったので(笑)無視されました。
ちなみに奪取が失敗した場合、リッチは何度でもやり直してくれます!
何度も送り込む時代を変えていけばよいのですから!
でも、やり直す度に経験値が10000点ずつ減っていくのでさっさと成功させましょう。
・リヴェンジ
ここまでいいようにこき使われて、黙っているPCたちではありません!・・・シナリオ的に(笑)
(リッチ相手に、首一つで歯向かう度胸があるPCなんぞ皆無だとは思いますが。)
幸いリッチは席を外してますし、使い魔のインプの悪戯でPCの1人は身体の自由を取り戻すことができます。
PCたち一行はリヴェンジに燃えて、リッチの城を突き進むのです!
シナリオ注
実はリッチはこうなることを、予言者Hysocaの言葉を聞いて知っていました。
彼はあえて冒険者たちが自由になるように放置しておいたのです。
そして冒険者たちが自分を殺してくれることを望んでいました。
彼の計画とは自分の生命の器を冒険者に持たせて「Ravenloft」を脱出し、
外の世界に出てから身体を取り戻すことでした。
そのため城の中では、リッチがいる場所までストレートに来れるように、
必要なドアだけ開くようにしてあります。
・挫折
城を登っていってリッチを倒すなんて計画、速攻で挫折しますって(笑)
準備してない、最適化した計画もない、勝てる気がしない(笑)と、無い無いずくしです。
しかもここまでの話を全てぶっ続けでやってるので、プレイヤーの気力も萎え萎えです。
DM「皆ここにいるんだけど・・・」
気力の尽き果てたDMが、あきらめてダンジョンマップを広げて部屋の1つを指さします。(笑)
PCたち「31って部屋ですか・・・」
DM「中には、スペクター(2レベルドレイン)5体と、レイス(1レベルドレイン)40体いるんだけど」
PCたち「やってられませんて!ターンで何体倒せると思ってるんですか!」(泣)
ひぃひぃ言いながら敵を殲滅したときには全員のレベルが下がってました(大泣)
プリーステス「くっ、もう私は駄目。これ以上一緒では足手まといになるから、ここに置いていって」
ハイランス「何を言っている!そんな弱気なことを言ってはいけない!」
プリーステス「しかし、もう私はほとんど呪文を使いきったし、戦闘力もない。だから・・・」
ハイランス「お前にはCure Light Woundsが1回残ってるじゃないか!
それを唱え終わったら置いて行ってやる!」
そりゃあ堕ちますがな。ええ、間違いなく。
発言にも多大な問題がありましたが、やはり仲間のプリーステスを見捨てたことが響いたようです。
こうしてハイランス卿はただのウォリアーとなってしまいました。
必要経験値が多い上に武器の専門化ができないお荷物戦士の出来上がりです♪
ハイランスは一度もレベルドレインを受けなかったけど、この発言でアライメント変更されて1レベル下がったのさ!(笑)
PCたち「あの〜レベル下がって、使える呪文減って、絶対勝てないと思うんですけど」
DM「そうだなぁ・・・う〜ん、もう外には出て行けるからなぁ」
PCたち「このまま79番の部屋まで行けるとは思えませんが」(笑)
DM「よし、修行の旅に出たことにしよう!浪人して出直しだ」(笑)
このデミプレーンに巣食う邪悪な怪物を片っ端から切り刻み、経験値稼ぎの旅を1年ほど続ける一行・・・
DM「じゃあ1年経った」
もはや面倒くさくなった我々は(笑)、ボス戦すらろくに行わずに終わった気がします。
リッチとどつきあった記憶が無いので、多分その後の話をしただけだったのでしょう。
シナリオは秀逸な部類に入ると思います。他のシナリオとも相互作用していく話なので
このシリーズをキャンペーンを通してプレイすると壮大なドラマが出来上がると確信しています。
でも、断じて単発セッションで1日でやってしまう内容ではありませんね。(笑)
シビアでシュールな状況がジェットコースター的に移り変わるので、
プレイヤーの視点では話の流れに追いつけないのです。
このセッションでバカだったなぁ、と思う点は「はぁ?」「何すかそれ?」「ほえ?」という台詞に伺えるように
「ストーリーに置いてきぼりにされること」でした。
中々突っ走ってくれてて、聞いてる分には凄く楽しかったのです!やってる分には気力が磨り減りますが(笑)
後は毎度おなじみ、既成シナリオの戦闘バランスのきつさでしょうか。
9−12レベル対応のシナリオで、PCは全員9レベルで、しかもセッション中にレベル下がってるし!
お互いの疲れ具合、やる気の失せ具合が(笑) まったりとしてそれでいてコクのあるセッションでした。
気力が磨り減ったのときは誰しも「パラディンの勤務時間は5時までだ!」と現実逃避したくなりますものね。(笑)