観た日 | 2003/12/07、2003/12/31-2004/01/01、2004/01/04 |
原題 | THE LAST SAMURAI(最後の侍) |
監督 | エドワード・ズウィック |
久しぶりに映画を観て感動しました。
ハリウッド映画の日本観っていつもどこかずれているのですけど
時代劇なのにもかかわらずここまでしっかり描かれている映画を観たのは初めてです。
明治維新後の日本で、日本帝国軍と最後の武士との戦いなんですけど
知った名前が明治天皇以外出てこないので実話じゃないらしいんですが西南戦争あたりを描いているのでしょう。
勝元(渡辺謙)は西郷隆盛がモデルかな。
維新の嵐に飲まれて消えていく侍の話でした。
ネイサン(トム・クルーズ)の殺陣や日本語も、
先日見たキル・ビルのユマ・サーマンのおかしな日本語とは段違い。
相当訓練したんじゃないかと思います。
着物姿や鎧姿も様になってました。
ネイサンと心を通わせることになる侍、勝元(渡辺謙)の存在感もすごかったですよ。
勝元は英語を話す役なのですが、かなり流暢でしたし。
戦場とか村とか、日本にしてはちょっと広大すぎるんじゃないかというシーンもありましたが
街や寺など、違和感なくよく作られていたと思います。
いかにも「セット」な街とか出てくる日本の普通の時代劇よりよっぽど出来のいい時代劇でした。
honor(名誉、信義、敬意)という言葉がこれほど似合う人たちは他に知りません。
映像も綺麗です。
桜をすごく綺麗に使っています。
2時間半と少々長めですが、見応えのある映画です。
ちょっとでも観てみようかなと思った方は損しないと思いますんで是非。
2004/01/05追記
映画を作るのに人物の描写が必要なのはもちろんのこと、風景の描写も不可欠です。
風景の中に田植えをしている人たちを置いて季節の表現を盛り込んだりするわけですが
ここで監督のこだわりとかが出るのだなぁと思いました。
3回目に観たときはストーリーも台詞もあらかた覚えてしまっていたので
映画に集中しているのと同時に、ほかのことも少し考えられます。
勝元の村の普通の家が映っている場面で、何故か私の頭に浮かんだのは座頭市の映画のワンシーン。
座頭市だったらここに槍を持って家の周りをぐるぐる突撃している変なヤツが出てくるのだろうな。とか。
あと、田植えのシーンでは、同じく座頭市だったら
BGMにあわせてリズムを取って踊りながら田植えをしてる人たちが出てくるのだろうな。とかね。
ちょっとしたシーンでも撮り方や見せ方が監督によって全然違って大変興味深いです。
あと、気付いたのは、ネイサン(トム・クルーズ)は、登場人物ほとんどの死に様の目撃者であるということ。
最初の戦いで戦死したゼブロン・ガント(ビリー・コノリー)、切腹した長谷川将軍をはじめとし、
勝元救出の際戦死した勝元の長男信忠(小山田シン)、乱戦の中で自分をかばって死んだ寡黙な侍(福本清三)、
ガトリングガンに倒れた氏尾(真田広之)、自らが剣で倒したバグリー大佐(トニー・ゴールドウィン)、
そして最後に切腹に助力した勝元(渡辺謙)。
特に信忠のときは、みんな脱出するのに精一杯で後ろも振り返らすに屋敷を出て行ったのですが
ネイサンだけは信忠の最期を見て屋敷を後にしてたんですよね。
最期の戦いでネイサンが生き残ったことによって、
他の人たちの生き様、死に様を誰かに伝える、もしくは、何かに書き記すことが出来たんじゃないかと思うと
命を落とした人たちがわずかながら報われるのではないかと思いました。
あと、字幕。
日本語は英語字幕が出ているので、頑張って英語字幕を追いかけてみたんですけど
すごく丁寧に訳されていました。
日本語で喋ってない、言外に含まれた意味合いまでも文字にされていました。
英語は一文字あたりの情報量が日本語より少ないので、あまりたくさん字幕に書き表すと読みきれないから
略されてるのもしかたないかなと思っていたのですが
喋ってることより多くが訳されてる場面もあって、字幕を読むのも面白かったです。
もちろん間に合わなくて略されている場面もありましたが。
計3回も劇場で観てるのにきっとDVD出たら買うに違いない(笑)