パフューム ある人殺しの物語
観た日 2007/03/03
観た場所 TOHO CINEMAS 錦糸町オリナス
原題 PERFUME : THE STORY OF A MURDERER(香水 ある人殺しの物語)
監督 トム・ティクヴァ

公開日にお友達と観にいきました。

もうね、タイトルからして香水師が香水を作るために
人を殺しているのは明白なわけですよ。
香水を作るために人を殺しているというのがね。
で、それをどうやって見せていくのかというのが楽しみだったわけですが・・・
いろいろな意味で期待を裏切ってくれて概ね面白かったです。
が、多少の不快感が伴いました。

大まかなストーリーは容易に想像可能。
でもこの映画は映像、演出、音がポイントなので、以下ネタばれですが
読んでしまってから観てもそんなに問題はないかと。
一応文字消しますが。
では、以下に感想。

類稀な嗅覚を持って生まれた男が成長するまでは
彼が嗅ぎ取る匂いの見せ方とか面白かったですし
関わった人間がその後どうなったかが
シニカルに淡々と語られて面白かったです。

主人公が道を踏み外した原因である
赤い髪の少女を追いかけていくシーンは思い出したくもない。
不快極まりない。
主人公は匂いのフェチシストで、気に入った匂いの少女をみつけて
ついていくんですが、正直このシーンは気味が悪い。
知らない男に突然手を取られて
鼻をこすりつけるようにしてその匂いを嗅がれたら、誰だって逃げるだろう。
私なら絶対逃げる。いや、あまりの嫌悪感に殴ってるかも。

しかも、追いかけていって騒がれたので口を押さえたら誤って殺してしまった。
というのはともかくとして、
そのあと死体の服を剥いで顔を押し付けるようにして肌の匂いを嗅ぐシーンは
かなり激しく嫌悪感が。
ネクロフェリアはどうにも受け付けないんですよ。
いや、彼はネクロフェリアというわけではないんですがね。
彼は香りに偏執的で、彼にとっては香りがあれば
その対象が生きていても死んでいても関係ないの。
でもこのシーンだけは厭わしくてもう二度と見たくない。

そのあとは女性を香りの素としか考えていないので
香りを残すために香水を作る技術を求め、
その技術を手にしたあとは香水を作るために殺し続けるんですが、
観ていてシリアスとコメディは紙一重だと思った。
笑いを取るようなシーンではないのに笑いそうになることが多々ありました。
そのくらいどこか違う世界にいっちゃってるんですよ。
これがまともな教育を受けずに育った倫理観のカケラも無い男のやることなわけですね。

主人公が師事するダスティン・ホフマン演じる香水師がかなり面白かったです。
主人公とは対照的に表情豊かで人間味がある役で
観ているこっちが思っている通りのことをやってくれます。
狡い役どころなんですがなぜか憎めないキャラです。
だいたいは予想通りの行動なのに最後がちょっと予想外で笑えた。
表情が最高です。

後半、主人公が実験段階から殺しに入ったあとは瞬く間に死体の山が築かれます。
無造作に捨てられた死体は穢されてるわけではないので人形のように綺麗でぞっとします。
一歩引いて考えれば何故にこの男はこんな大胆な犯行をして
誰にも見咎められていないのかと大変な疑問が。
そして何故か被害者はみんな美人。
見目麗しくないと香りも良くないのかという疑問も。
警戒がどんどん厳重になっているはずなのになあとか、
それはどうやっても証拠が残ってしまうんじゃないか?とか
とにかく突っ込みどころが満載です。

処刑台でのシーンもおかしいから。
香りのせいではなく集団幻覚が発生したわけだよね。
だって香りが届くわけも無い範囲の人たちが狂ってたし。
圧倒的な究極の香水の威力に驚くか笑うかが紙一重。
私は笑いを抑えるのが大変だった。
大げさで面白い演出でした。

彼の人生の終わり方も意外で面白いです。
彼は何でも出来たはずなのに。

ひとつ気になっているのは、冒頭の処刑場へ引き立てられるシーンと
二回目のシーンが微妙に異なっていて繋がらないの。
そこだけ理解できませんでした。

でもいろいろ楽しめましたよ。
一部、生理的に受け付けがたいシーンもありましたが
思っていたのとまったく違っていて面白かったです。


戻る