このページは、「3種混合(DPT)ワクチン」について説明しています。以下の質問項目から、見てみたいものをクリックしてください。このページの答えの部分にジャンプします。
A:1995年の予防接種法の改正により、DPTワクチンの低年齢接種が進んできており、百日咳の報告数は年間200例前後だが、毎年何例かの死亡例が報告されています。
DPTワクチンは最も基本的なワクチンで乳幼児を接種対象としており、高いDPTワクチン接種率を維持している欧米諸国においては、この20〜30年でジフテリアは撲滅し、ほとんど発症例のない国もあります。しかしながら、政治的混乱などから感染症対策にまで手の届かなくなったロシアのように、ワクチン接種に支障を来たし、ジフテリアのコントロールができない国も残っています。現在日本ではジフテリアの流行は認められませんが、諸外国との交流が頻繁になり、外来性に持ち込まれる危険性が増えてくると考えられます。これはジフテリアに限らず、多くの感染症がもつ問題点です。
破傷風は致命率が高く、1960年ごろには毎年800例前後の報告が見られ、死亡例も600例ほど報告されていました。DPTワクチンを乳幼児に推進してきたことで、1960年以前に生まれた人たちの破傷風抗体保有率が低く、現在でも年間30例ほどの破傷風患者が報告されています。その90%はワクチンを全く受けていない人で、高齢者に多く欧米諸国でも同様に認められています。
A:ジフテリアはジフテリア菌の飛沫感染により鼻咽頭に感染し、発症するのは10例に1例です。突然の高熱、咽頭痛、犬吠様の咳、嘔吐が認められ、咽頭に細菌が増殖し、偽膜を形成し窒息することがあります。ジフテリア菌が増殖し毒素を産生し、心筋炎、神経麻痺の合併症を起こすことが知られています。
A:破傷風は外傷部位から破傷風菌が入り、増殖して毒素を産生します。毒素により口が開けにくくなり、嚥下困難、痙攣を起こし、致命率の高い疾患です。破傷風菌は日本中どこにでもいる細菌で、感染の危険はいつでもどこでも認められるのです。
A:DPTワクチンは不活化ワクチンで、3ヶ月以上の乳幼児から接種可能であり、現在DPTの基礎免疫T期3回を3〜8週間隔で接種し、約1年後にDPT追加接種を行っています。さらにU期として12歳でDT接種(2種混合)というスケジュールになっています。百日咳は乳児期以降に感染しても多くはかぜ症状のみで重症化することは少なく、百日咳のU期で追加の必要性はないと考えられています。予防接種法の改正により、集団接種から個別接種に移行し、T期3回の接種率に変化はほとんどありませんが、U期の小学6年生でのDT接種率の低下が懸念されます。
AT期の基礎免疫だけでは、破傷風に対して感染防御抗体レベルを維持するのは困難であり、アメリカでは基礎免疫終了後10年ごとに破傷風ワクチン接種が推奨されています。追加接種の時期を逃し、受けないでいると、抗体価の低下により破傷風にかかる可能性があります。新生児破傷風は、アフリカ、東南アジア、中南米で多くの発症が報告されており、乳幼児のDPTワクチンの普及のみならず、新生児破傷風を予防するための、母親への衛生教育、予防接種の重要性が叫ばれています。
A:全身性の副反応として1回目では接種48時間以内に37.5℃程度の発熱が5%以内に認められ、局所反応は接種部位の発赤、腫脹が接種後5〜7日に10〜20%に認められます。2回目、3回目と局所反応が早く出現し、その程度も頻度も増えてきますが、摂取量を減らすことで軽減できます。百日咳ワクチンの効果としては2回以上接種を受けていればほぼ90%以上の発症阻止効果が認められます。
A:現在行われている予防注射はほとんど皮下注射で、薬液吸収の観点からよくもんだほうがいいということは全くありませんし、もんだからといって腫れないということもありません。血がにじんだらアルコール綿でふきとる程度で、注射後1時間たてば入浴もかまいません。遊びや運動も普段どおりでいいですが、当日のスイミングは避けてください。
A: DPTのT期は2回でも十分抗体を保有できると考えられていますので、副反応が強い場合やかぜなどでどうしても受けられなかった場合は、3回目をとばして、翌年T期追加を受ければよいと考えています。ただし、追加接種は必ず受けるようにしましょう。
A:翌年にT期初回を2回受けて、翌々年にT期追加を受けてください。
A:2年以上あいていてもかまわないので、T期追加を受けてください。