このページは、「麻疹(はしか)」について説明しています。以下の質問項目から、見てみたいものをクリックしてください。このページの答えの部分にジャンプします。

どんな病気ですか?

どんな症状?治療は?

ホームケアは?


●どんな病気ですか?● 爆発的流行はなくなりましたが、今でも麻疹は大病です。

Q:麻疹の人と接すれば、必ずといっていいほどうつるそうですね。原因は?

A:麻疹の原因は、麻疹ウイルス。麻疹の人と直接接することによって感染するといわれていましたが、最近では麻疹ウイルスは空気中で2時間ぐらい生きているので、たとえば、麻疹の人がトイレに入ったら、2時間後にそこに入った人も感染するということです。麻疹は伝染力が強く、以前は爆発的に流行していましたが、最近は予防接種のおかげで減少しています。

Q:予防接種を受けていれば、麻疹になることはないのですか?

A:麻疹には一度かかったら二度とかからないという終生続く免疫がありますので、基本的にはかかりません。ただし終生免疫はどうして得られるのか、まだよくわかっていないのです。最近では、症状は出ないけれども体の中では何回も感染を受けて(不顕性再感染)、低下した麻疹の免疫レベルが上がるゆえに一生免疫が持続するのではないかといわれるようになりました。この考えでいくと、麻疹の流行がなくなり、不顕性再感染を受ける機会が少なくなると終生免疫を持続することが困難になり、予防接種をしても感染を防ぐだけの免疫を保つことができない可能性も出てくるということになります。将来2〜3回、ワクチンを接種する必要が出てくる可能性があります。

Q:自然にかかったほうが強い免疫がつくと思っているお母さんもいますが、それは間違いですよね

A:そうです。麻疹は赤ちゃんにとって大病です。ワクチンがないころは年間200人の子どもが麻疹で死亡し、合併症で苦しむ人はその1000倍以上でした。その点ワクチンを接種すれば免疫ができて、1〜2日熱が出る人もいますが、自然に麻疹にかかるよりずっと軽く済みます。

● どんな症状?治療は?● かぜ症状から始まり、2度目の発熱のときに発疹が出ます。

Q:麻疹に自然にかかったときの症状や経過はどんなふうになりますか?

A:10〜12日の潜伏期をおいて、くしゃみ、鼻水、発熱、せきなどかぜのような症状が出ます。この時期が一番感染力が強いです。3〜4日たつと、ほおの裏側に白いプツプツ(コプリック斑)ができます。熱が一度下がって再び38〜40℃に上昇し、赤い発疹が額や耳の後から出始め、顔・胸・背中・手足へと2〜3日かかって全身に広がります。このとき高熱に加えてせきや鼻水、目やになどの症状がひどく、赤ちゃんにとってもっともつらい時期です。発疹が出終わると熱も下がり、せきや鼻水も治まってきます。発疹は発病して1〜2週間で茶色のしみになり、しばらくは跡が残りますが、やがて消えてなくなります。

Q:どんな合併症がありますか?

A:肺炎、中耳炎、脳炎などです。角膜軟化症になると視力が障害されます。きわめてまれですが、麻疹にかかって数ヶ月から数年たって亜急性硬化性全脳炎という恐い病気になることがあります。

Q:治療は?

A:ウイルスの病気ですから、特別な薬はありません。病気が横道にそれないように見守るだけです。肺炎の予防もかねて、熱のある間は抗生物質を、せきがひどければせき止めを処方します。解熱剤を使っても差し支えありませんが、熱はなかなか下がりませんので、無理に下げようとしなくていいです。重症の場合や合併症の恐れのあるときは入院して様子をみることがあります。

●ホームケアは?● 医師とコンタクトをとりながら、快適に過ごしましょう。

Q:最初はかぜのような症状だけですね。病院に行く目安は?

A:軽いかぜだと思っても、3日も熱が続くときは受診することを勧めます。普通のかぜか、それとも何か他の病気なのか、だいたい3日目ぐらいになると1つのサインが出ることが多いです。

Q:一緒に遊んだ子が麻疹だとわかったときは?

A:麻疹がはやっているときは、すぐに受診するとよいでしょう。予防接種を受けていない子が麻疹の子と接触したときは4日以内にガンマグロブリンを注射すれば、発病を防いだり症状を軽くすることができます。麻疹に感染していることがわかったあとは、2日ごとに病院にいくのが理想的です。診療時間をずらしてもらって、他のお子さんに伝染させないようにしましょう。

Q:麻疹のとき、家庭で気をつけることは?

A:熱があるときは解熱剤や水枕などを上手に使って、快適に過ごせるようにしてあげましょう。お風呂は体力を消耗しますので、熱があるときは体をふく程度にして、熱が下がって発疹が薄くなってから、入浴させればよいでしょう。

Q:ホームケアも大切ですが、麻疹はやはりかかる前に予防接種ですね?

A:日本の現状では、一生麻疹にかからずに過ごすことはまず不可能です。麻疹は昔は"命定め"ともいわれた病気。大人にとっても子どもにとっても大変な病気です。予防が第一。是非ワクチンを接種するようにしましょう。