このページは、「乳児嘔吐下痢症」について説明しています。以下の質問項目から、見てみたいものをクリックしてください。このページの答えの部分にジャンプします。

どんな病気ですか?

どんな症状ですか?

治療とホームケアは?


●どんな病気ですか?● 冬の下痢の代表「乳児嘔吐下痢症」、多くはロタウイルスが原因です。

Q:ひどい下痢のとき、腸はどうなっているの?

A:小腸の粘膜の表面に糖分を分解する酵素があり、母乳やミルクの乳糖を分解し吸収します。しかしウイルスに感染すると、腸の粘膜が破壊され、酵素が働けなくなって、糖分が分解できず腸内に残ってしまいます。これが下痢を起こし、さらに乳酸になって、ますます腸を刺激します。

Q:他の子にうつったり、2回なったりしますか?

A:伝染力が非常に強く、口からの感染で次々とうつっていきます。潜伏期は2〜4日。終生免疫はつきません。またロタウイルスにはいくつかの種類があるので、二度かかることもあります。

Q:どんな赤ちゃんがかかりやすいですか?流行する季節は?

A:5ヵ月ごろから1才代が多くかかります。母乳だけを飲んでいる4ヵ月ごろまでは、まず感染しません。寒くなると発生し、春先まで流行します。

● どんな症状ですか?● 水のような激しい下痢がほぼ1週間続きます。

Q:どんなふうに病気が進み、治っていきますか?

A:突然吐きだして、ほとんど同時か半日くらいの差で下痢が始まります。吐かずに下痢だけのこともあります。吐くのは2日ぐらい、下痢は1週間ぐらい。白い便は25%で、クリーム色や黄色のこともあります。

Q:合併症の心配はありますか?

A:ロタウイルスが原因でけいれんを起こすことがありますが、脳波に異常はなく、後遺症の心配もありません。ほかに腸重積を起こすこともあります。

● 治療とホームケアは?● 食事と水分は工夫して、おしりは洗ってケアを。

Q:どんな治療をしますか?くすりは?

A:くすりより食事療法が一番大切。それから脱水症の対策、この二つに尽きます。吐き続けるときや脱水症がひどいときは、点滴や入院が必要となることもあります。吐き気があるときは水分は少量ずつ、母乳もかまいませんが量は少なめにしてください。ミルクの場合は、乳糖を含まない大豆乳や乳糖除去乳(ラクトレスなど)などがおすすめですが、味が変わるので気に入ってくれないこともあります。

Q:離乳食を食べさせているときに注意することは?

A:炭水化物は消化吸収がよいので、重湯やよく煮たおかゆがベスト。その他、にんじんやりんごは便を固まらせるので、にんじんスープにしてみてはどうでしょうか。本当は、腸を休ませるために半日ぐらい絶食で、電解質と水分の補給のみのほうがよいでしょう。治ってくると食事を欲しがりますが、2〜3週間かけてゆっくり戻しましょう。

Q:脱水症を防ぐための水分補給で気をつけることは?

A:下痢で失われたものを補うには、湯冷ましや番茶では不十分です。乳幼児用のイオン飲料(アクアライトなど)がおすすめ。吐き気があるときは少量ずつ、飲めるだけ飲ませてあげましょう。

Q:下痢が長引くとおしりもかぶれてしまいますが、どのようなケアを?

A:お風呂は体力を消耗するので、洗面器でおしりだけ洗う坐浴やシャワーがおすすめ。とにかくよく洗い流して、おむつかぶれのくすりをつけておくことです。

Q:この下痢症をうつさないようにするにはどうしたらいいですか?

A:お母さんは手をよく洗い、おむつはすぐに取り替え、きちんと始末することです。しかし、兄弟にはまずうつります。