このページは、「溶連菌感染症」について説明しています。以下の質問項目から、見てみたいものをクリックしてください。このページの答えの部分にジャンプします

どんな病気・症状ですか?

診断・治療とホームケアは?


●どんな病気・症状ですか?● 扁桃炎と発疹が特徴的。猩紅熱はまれです。

Q:溶連菌とはどんな菌ですか?

A:溶連菌とは、 ”溶血性連鎖球菌” という細菌(いわゆるバイ菌)のことです。血液を混ぜた培地の上で培養すると、菌の回りの色がなくなる、溶血反応を示すことから ”溶血性”と、球状の菌体がネックレスのように鎖の連なるような集団を作っていることから ”連鎖球菌” といいます。
 溶連菌には、健康な身体の中にも住んでいてほとんど悪さをしないものから、あまり見かけない病原性の強いものまでいろいろな種類があります。このうち、よく小児科の外来で問題になるのはA群β(ベータ)型溶連菌(この型のものだけでも数十種あります)というものです。この菌は、無症状の保菌者も案外いるわりには実は比較的病原性が強い、つまり大きな病気の原因になりやすいということで知られています。

Q:溶連菌感染症にはどのようなものがありますか?

A:正しく言うと、A群β(ベーター)溶血性連鎖状球菌感染症ですが、略して溶連菌感染症と呼ばれます。子供に多い病気で、これは[溶連菌一次症]と[溶連菌二次症]に分けられます。

Q:溶連菌一次症とは?

A:普通、溶連菌感染症と呼んでいるのがこれで、溶連菌による扁頭炎や猩紅熱がその代表です。そのほかにリンパ腺炎、中耳炎、とびひなどの一部も溶連菌の感染で起こることがあります。潜伏期間は2〜4日です。

Q:溶連菌による扁頭炎の症状は?

A:のどの痛み、突然の高熱を伴って発症し、咳や鼻みずはほとんどありません。のどの発赤が強い(のどの粘膜の色が朱色から紫紅色になる)ことや、最盛期を過ぎた頃から苺のような”ぶつぶつ”が舌に出ることがあることも特徴的です。(こういう舌を ”苺舌” と言いますが、これは溶連菌感染症に限らず他の病気のときにも、でることがあります。また、軽い発疹が皮膚の柔らかいところに出ることもあります。

Q:猩紅熱とはどんな病気ですか?

A:菌の出す毒素の起こす炎症が全身の皮膚に広がると、猩紅熱となります。ここまで進むと、以前は法定伝染病として隔離して治療を受けましたが、抗生剤の治療の発達した近年では(軽い発疹が認められることはありますが)、猩紅熱はほとんど見かけられなくなり、隔離して治療する必要性もなくなりました。猩紅熱は溶連菌感染症の一つで法定伝染病ですが、溶連菌感染症自身は法定伝染病に指定されていません。

● 診断・治療とホームケアは?● とにかく抗生物質の内服をきっちりと。

Q:溶連菌一次症の診断は?

A:のどの赤く腫れている部分を綿棒などで擦りとり、培養して溶連菌を証明します(咽頭培養)。

Q:溶連菌感染症の治療は?

A:ペニシリン系かセフエム系の抗菌剤が100%有効で、服用して1〜2日で熱の下がってくることが多い(この段階で周囲への感染力はほとんどなくなっている)のですが、完全に治すためには1週間から10日位服用を続ける必要があります。途中で薬をやめてしまうと再発することが多く、またいったん治ってから腎炎やリウマチ熱(溶連菌二次症)をおこすことがありますので、「指示通りに最後まで飲む」ことが大切です。

Q:溶連菌二次症とは?

A:溶連菌感染症が重要なわけは、溶連菌一次症に続いて3〜4週間後に急性腎炎やリューマチ熱を引き起こす可能性があるからです。この急性腎炎やリューマチ熱を溶連菌二次症と呼びます。これは一次症の治療が適切でなくて病巣感染が作られてしまい、これに対する一種のアレルギー反応として急性腎炎やリューマチ熱が引き起こされるのです。もちろん、溶連菌感染症(一次症)にかかれば必ず二次症になるというわけではなく、体質とか色々の要素が関係するので、実際に二次症まで進むのはまれと言えます。しかし、一次症を完全に治しておけば二次症になることがほとんどなくなるので、一次症を予防し、たとえ感染しても一次症の段階で正しく診断し、適切な治療をすることが大切なのです。

Q:再度受診するタイミングは?

A:基本的に、治療開始後2〜3日後に、受診することになりますが、3日以上熱が下がらない場合や、のどの痛みが強くて、食事や水分が十分とれないときは、早めに受診しましょう。

Q:家庭でのケアは?

A:のどの痛いときは、熱いもの・辛いもの・すっぱいものは避けましょう。水分補給を中心にのどごしの良いものをとらせて下さい。熱がなければ入浴もかまいません。あと、家族への感染が問題になります。うがいなどを十分おこないましょう。もし同じような症状があれば、すぐに受診して検査・治療を受けましょう。

Q:登園・登校はいつから可能ですか?

A:2〜3日後の指定された日にもう一度受診して、熱が下がって発疹も消え、抗生物質が効いていることが確かめられたら登園(登校)しても構いません。その後は必要に応じて検尿などの様々な検査を行います。