ここでは、黄色ぶどう球菌による食中毒について説明しています。知りたい項目をクリックして、答えの部分にJump!
今、最もホットな食中毒菌といえば、雪印ですっかり有名になったこの黄色ブドウ球菌でしょう。最終的には、原料の脱脂粉乳の汚染と、製造工場での汚染の複合汚染が原因ということになりそうです。
それにしても、毒素がいかに熱に強いか、菌は死んでも食中毒は起こりうるという教訓的な事件だったように思います。
この細菌は、化膿したところ、おでき、水虫、
にきび、のどや鼻の中、動物など私達の身近にあり、この菌が付着した手指などから食品を汚染する機会が多いため、この細菌による食中毒が多発します。
この菌は、食べ物の中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素をつくり、この毒素が人に危害をおよぼします。この毒素は100℃30分の加熱でも分解されません(ただし、菌そのものは熱に弱い)。酸素のない状態でも増殖可能で、多少塩分があっても毒素をつくるため、汚染を受ければ、あらゆる食品が原因食となる可能性を持っています。
本菌による食中毒は,ブドウ球菌そのものによるものではなく,菌が増殖するときに産生したエンテロトキシンという耐熱性の毒素によるものです。
化膿性疾患の原因菌であり,手指などに化膿巣がある場合には手指を介して食品を汚染することになります。したがって,原因食品としてはおにぎり,いなりずし,赤飯,折り詰め弁当,惣菜など多彩で,手を使って調理する限りは,すべての食品が原因食品になるということです。
潜伏時間は、約30分から6時間で、最初は唾液の分泌が増加し,次いで激しい吐き気,嘔吐,腹痛などの症状を示します。
発熱がほとんどみられないのもこの菌による食中毒の特徴です。
<発生状況>
平成@年4月□□日、A旅館に宿泊した修学旅行中の生徒197名のうち56名に嘔気、腹痛、嘔吐などの食中毒症状があらわれた。この日の朝食で出されたメニューは次のようなものであった。
朝食メニュー :バターロール、スクランブルエッグ、コンソメスープ、レタス、トマト、きゅうり、扇形ソーセージ、スパゲティーサラダ
<原因食品>
調査の結果、発病者全員が扇形ソーセージを食べており、スクランブルエッグ、スパゲティーサラダ、扇形ソーセージから黄色ブドウ球菌が検出された。これらの調査結果より、原因食品は扇形ソーセージと推定された。
<汚染経路>
扇形ソーセージは、食中毒発生2日前にハム工場で2本がスライスされたのち、販売店に納品された。このうち1本はその日の午後4時にA旅館に納品され、別の学校の朝食として事件発生前日に使用された。残りの1本は、事件発生前日の午後にA旅館に納品され冷蔵庫に保存され、別の学校の朝食として使用されたものの残品とともに事件当日の朝食として使用された。最初に納品されたソーセージ(事件発生2日前)は、事件発生前日の別の学校の朝食準備のときに室温に置かれており、作業終了後30分経過後にラップをかけられ、冷蔵庫に保管されているが、夕食準備の際にも冷蔵庫は頻繁に開閉されており、ソーセージの温度が十分に下がらず、黄色ブドウ球菌が増殖し、エンテロトキシンが産生したものと考えられた。
<発生状況>
平成7年8月、集団給食施設で、昼食を食べた260名のうち、36人がおう吐、下痢などの症状を訴える食中毒事件が発生した。
<原因食品>
調査の結果、患者便、保存食の冷し中華の具(きゅうり、ハム、錦糸卵)から黄色ブドウ球菌が検出された。さらに、食材の納入業者を調査したところ、ハムのスライサー上部に付いている砥石部分からも検出された。
<汚染経路・原因>