ここでは、キャンピロバクター菌による食中毒について説明しています。知りたい項目をクリックして、答えの部分にJump!

はじめに

この菌による食中毒は多いですが、潜伏期間が長く、少量の菌でも発症するため、原因がはっきりしないことも多いです。

キャンピロバクターに対する一般的知識

 菌の分布状況について

 菌の特徴について

 原因食品について

 症状について

 予防のポイント

最近の事例

 ケース1:調理実習における食品


キャンピロバクターに対する一般的知識

 菌の分布状況について

サルモネラと同じように鶏や牛、豚などの家畜や、犬などのペット類の腸管内に分布しています。そして、これらの動物のふんに汚染された肉や水を介して食中毒を引き起こします。

 菌の特徴について

この菌は、微好気(少量の酸素がある状態)という特殊な条件下で増殖し、常温の空気中では徐々に 死滅してしまいますが、4℃以下の温度ではかなり長い間生きています。また、少量の菌量でも発病するため、飲用水の汚染があった場合には大量の患者発生をみることもあります。

 原因食品について

鶏のささみ、バーベキュー、焼豚など生肉の生食や、加熱不十分によることが多いようです。サラダ、生水なども原因となります。

 症状について

潜伏時間は約2日から7日で比較的長いのが特徴です。主症状は通常の場合発熱、けん怠感、頭痛、めまい、筋肉痛などで、その後下痢が起こります。

 予防のポイント

  1. 生肉を冷蔵庫で保存するときは、ビニール袋や容器に入れ、他の食品に接触、汚染しないように努めること。
  2. 食品を調理するときは十分に加熱すること。この菌の消毒には、熱湯が有効なため、包丁・まな板は熱湯により消毒し、消毒後はよく乾燥すること。
  3. 調理のとき、生肉を扱った包丁・まな板などの調理器具は、専用のものを使用し、食品を汚染しないように使い分けること。また、生肉を取り扱った後は、手指の洗浄・消毒を必ず行うこと。
  4. ビルやマンションの貯水槽は周辺を清潔にし、ハトなどのふんが入らないようにするなど適正に管理すること。また、井戸水や沢水は動物のふんに汚染されている場合があるので、塩素消毒したり、沸かしてから飲むこと。

最近の事例

 ケース1:調理実習における食品

<発生状況>
 平成@年5月12日から18日にかけて高校の家庭科の調理実習を行った生徒278人中117人が下痢,腹痛,発熱(37℃〜40℃),頭痛,悪寒,吐気などの症状を訴えた。

<原因食品>
 発症者に共通の食品は,5月11日から14日に調理実習で作った親子丼,酢の物,吸い物であった。ほとんどすべての食品が摂取されており,献立別の解析は不可能であった。患者の糞便および原料の鶏肉からキャンピロバクター・ジェジュニが検出されたことから,原因物質をキャンピロバクター・ジェジュニと断定した。

<汚染経路>
 1班5名で親子丼,酢の物,吸い物の3品を5名分調理されたが,まな板が1班に2枚,包丁が2丁しかないにもかかわらず,切るものは7種類もあった。したがって,食材による器具の使い分けができず,また洗浄も不十分であったものと考えられる。また,親子丼の加熱調理も十分に行われなかったことも推測される。

<対策>
 まな板や包丁などの調理器具は,肉専用,魚専用,野菜専用などのように食材によって使い分けること,食肉は十分に加熱することが重要である。