
ここでは、セレウス菌による食中毒について説明しています。
土壌細菌の一種で,土壌,空気,水など自然界に広く分布しています。
古くから腐敗菌として知られていましたが,20世紀のはじめ頃から食中毒菌として注目されています。
好気的(空気の多いところ)にも嫌気的(空気の少ないところ)にも増殖可能な為、極めて増殖能が旺盛です。菌の発育に適した温度は、10℃〜45℃です。芽胞形成菌のため、100℃で40分加熱しても芽胞は死滅しません。
この菌による食中毒には,「嘔吐型」と「下痢型」があり,嘔吐型は食品中に産生された毒素を摂取することにより,下痢型は食品中の菌を摂取し,腸管内で芽胞形成時に産生する毒素(エンテロトキシン)により発症します。
嘔吐毒は,分子量4,000以下の毒素で,126℃,90分の加熱でも失活しません。下痢原性毒素(エンテロトキシン)は,分子量45,000のタンパク質 です。
嘔吐型食中毒は,チャーハンやオムライスなどの米飯類,スパゲティーなどのめん類など主にでんぷん食品が原因となります。
下痢型食中毒は,スープ,プリン,生クリームなどが原因となります。
【嘔吐型】
ぶどう球菌食中毒と似ており、食品中で菌が増殖し、嘔吐毒が産生された食品を人が食べると、1〜5時間の潜伏期間の後発症します。悪心・嘔吐が主症状として現れ、全般的に軽症でありほとんど1両日で回復します。
【下痢型】
ウエルシュ菌食中毒に似ており、食品中に混在する菌が腸管内で増殖し、下痢原性毒素(エンテロトキシン)を産生し、8〜16時間の潜伏期間の後発症します。腹痛・下痢が主症状として現れ、全般的に軽症でありほとんど1両日で回復します。
セレウス菌は、加熱調理後にもその一部が生き残り、増殖するので、調理済み食品は保存しないということに徹するのが一番です。我が国に多い、米飯類を原因食品とする嘔吐型のセレウス菌食中毒の予防として次のことに注意しましょう。
1:調理から喫食までの時間を短縮する。
2:セレウス菌が増殖する10℃〜45℃を避けるため、調理後はできるだけ早く、冷蔵庫に入れる。