かあさんの歌 窪田聡(ピアノソロ)
RealAudioで音楽・音声を鳴らす
1.かあさんが夜なべをして
手袋あんでくれた
木枯らし吹いちゃ冷たかろうて
せっせとあんだだよ
ふるさとの便りはとどく
いろりのにおいがした
2.かあさんは麻糸つむぐ
一日つむぐ
おとうは土間でわら打ち仕事
お前もがんばれよ
ふるさとの冬はさみしい
せめてラジオ聞かせたい
3.かあさんのあかぎれいたい
生みそをすりこむ
根雪もとけりゃもうすぐ春だで
畑が待ってるよ
小川のせせらぎが聞える
なつかしさがしみとおる
作者の窪田聡は、共産党の指令で中央合唱団に入ってアコーディオンを弾きながら、〈歌ごえ運動〉に専従していた。彼は東京の下町の生まれで、戦争中に疎開した信州時代の思い出がこの歌のテーマになり、31年2月に詞とメロディが殆ど同時に完成したという。"炉端で夜なべする母,,"あかぎれに生味噌をすりこむ母"といった母が遠く故郷を離れて都会に出て働く若者の胸に切々と響き、歌詞の語法や曲めあしらい方がスマートさを欠いていても、心温かい母を思慕する心情にフィットしていった。(『日本抒情歌全集』長田暁二より)