エルミタージュ美術館のあるサンクトペテルブルグへの旅を想っていた。それも寝台列車に乗って…
申し込み後、少しきな臭い情勢になったものの和解の方向もみえ安心して旅立つ。
19(金) 関空9:30<>仁川<>モスクワ17:50<>ホテル20:30 (時差5時間)
今回はルーブルへの両替が空港しか出来ないので時間待ちも少ない。
アジア大会が行われている仁川で乗り継ぎ、9時間半の飛行。隣席が空いていて楽だった。
まだ明るいシェレメチェヴォ空港にはガイドさんが迎えてくれてホテルへ。10名の参加者なのでバスはゆったり以上。
大規模ホテルの22階からはモスクワの灯が瞬いている。
部屋は申し分ないが、バスタブにはコーヒー色の湯がしばらく出ていた。
20(土) ホテル<>無名戦士の墓…赤の広場…グム百貨店…歴史博物館<>昼食<>クレムリン<>公園<>ホテル
バスを降りると少し寒い。規律正しい兵士の交代を見て、いよいよ赤の広場へ。赤とは“美しい”の意味。
石畳で想像していたよりは広くない。鮮やかな歴史博物館は独特の色合いのワシリー寺院と対峙している。
2階が原始〜中世、3階が18世紀〜ロシア革命までの展示でエカテリーナ2世の服装など興味深い。
午後はクレムリンへ。トロイツカヤ塔から入るが、リュックは持ち込めないしセキュリティーチェックもある。
“武器庫”という博物館はロシア帝国の戦利品、貢物、歴代皇帝の王冠、衣装,馬具などが展示され、どれにも
煌びやかな宝石が輝いている。これだけの品を集めた皇帝と民衆の差を思わずにはいられない。
かつて国教大聖堂だったウスペンスキー大聖堂は皇帝が戴冠式をした教会である。
中はイコンとフレスコ画で飾られ、天井から下がる銀のシャンデリアは見事だが落ちないかと気になる。
木々が色づいた公園を行くと湖があり、ノヴォデヴィチ修道院が見えてくる。
、 チャイコフスキーがここを歩きながら“白鳥の湖”の構想を練ったとも言われている。
針葉樹に囲まれた村が見えてくる 無名戦士の墓での衛兵交代
赤の広場と国立博物館 レーニン廟と後は大統領府
9つの玉ねぎドームのあるボクロフスキー聖堂 モスクワ川から見たクレムリンの聖堂群
城壁と中央はボロヴィツカヤ塔 クタフィヤ塔とトロイツカヤ塔(入口)
フレスコ画が描かれたウスペンスキー大聖堂 チャイコフスキーも散策した湖畔と修道院
国立グム百貨店。ブランド店や車の展示も 一階には旬の大きなスイカも売ってある
21(日) ホテル8:00<>ウラジミール・黄金の塔…昼食…ウスペンスキー大聖堂…ドミトリエフスキー聖堂<>
スズダリ・スパソエフフィミエフ修道院、クレムリン<>ホテル17:30
モスクワ北東部の黄金の環へ。3時間半ほどでウラジミールに着くと、黄金の門が出迎えてくれる。
午後は丘の上に建ち5つの黄金のドームのある大聖堂へ。石灰岩を使った美しいロシア正教の教会である。
日差しがきつく暑いなかを歩いて、展望台、ドミトリエフスキー聖堂など巡る。浮き彫りが外観一面に施されている。
赤い実を付けたナナカマドの並木道を30分ほど走って、中世の趣を残したスズダリへ。
町全体が歴史博物館と言われるように、至る所に教会や修道院が見える。古都・奈良を彷彿させる町だ。
3時に合わせてエフフィミエフ修道院の鐘楼から、手足を使って鳴らされる鐘の音に心打たれる。
城壁を巡らした院内には3つの教会などもあり、食物が栽培された一画は興味深かった。
観光馬車が走る通りからクレムリンへ。屋根に星が輝くラジヂェストヴェンスキー聖堂に目を見張る。
この町で最も古い建物で13〜16世紀とは思えないくらい鮮やかである。
カーメンカ川に架かる木橋を渡ってバスに乗り、5分ほどでホテルに着く。
公園の中にあるようなホテルで、部屋も可愛らしい感じで気持ちいい。
ウラジミール・12世紀半ばに造られた城門 大聖堂の最高位だったウスペンスキー大聖堂
シベリア鉄道駅と黒々とした森林帯 聖人、英雄、動植物が彫られたドミトリエフスキー聖堂
スーズダリ・プレオブラジェーンスキー聖堂 ジャムやジュース(モルス)などの売店
ロシア民謡『カリンカ』の実 昼食のサラダ・オリヴィエ
ペリメニ(水餃子)サワークリームなどをかける デザートのプリヌイ(ジャムがかかっていることも)
エルサレム・エントリー教会 クレムリンの中のラジヂェストヴェンスキー聖堂
夕食に出たピロシキ ジャルコーエ(ロシア風肉じゃが)
22(月) ホテル8:30<>セルギエフパサード・昼食<>修道院<>モスクワ・夕食<>クレムリン宮殿
<>レニングラード駅<グランドエキスプレス>23:40
6時半頃から散歩に出掛けるが目指す教会が分からず川の辺りで引き返す。
セルギエフ・パサードへ田園や黄葉のポプラ並木道を走っていく。
町の中心にあるトロイツェ・セルギエフ大修道院は城壁に囲まれていて、いくつもの教会があり、そのなか
でもウスペンスキー大聖堂は壮麗である。また熱心な信者が多く、ローソクを買って灯したり、家族の名前
など書いて願うなど日本でも見られる光景だと感じた。
また2時間ほどかけてモスクワへ。早めの夕食後はクレムリン大会宮殿でのバレエ鑑賞である。
6000席という大きな劇場で国際会議やオペラなども上演されるらしい。
“白鳥の湖”だったが、さすがに踊り、衣装、舞台装置などは素晴らしかった。
カーテンコールもそこそこに、寝台特急に乗るためレニングラード駅へ急ぐ。
列車のT等車は清潔感もあり、軽食・飲み物のサービスまであって、揺れもなくぐっすり眠れた。
案内係の女性の制服が可愛く笑顔も素敵である。
カーメンカ川に朝霧が立つ 家の窓などの飾りは男性の手作り
白樺林に朝陽が輝く シチー(キャベツのスープ・白いのはチーズ)
キエフ風カツレツ(豚肉を巻きチーズをかけて揚げる) トロイツェ・セルギエフ大修道院
ウスペンスキー大聖堂 聖堂内の聖人画
大修道院の建物群 黒い服の修道士たちも多く見られる
美味しかったピロシキ。ただし1ケのみ 寝台車内
23(火) サンクトペテルブルグ8:35<>朝食<>イサク聖堂<>青銅の騎士像<>血の上の救世主教会
<>昼食<>エルミタージュ美術館<>運河クルーズ<>ホテル19:30
サンクトペテルブルグには冷たい雨が落ちて、北の街へ来たことを実感させられる。
朝食後、イサク聖堂からの街めぐりは写真を撮るのみ。世界でも大きな教会建築の一つらしいが
街のどこからも金色のドームが望めた。入口の円柱の大きさだけでもかなりの重さに見える。
血の上の教会は、モザイクに覆われた内部は素晴らしいの一言で、親を思う気持ちの表れかとも思う。
午後は今回のハイライト、エルミタージュ美術館である。ここもセキュリティーがありコートも預ける。
外国使節を迎えた大使の階段、ピョートル大帝の間、紋章の間、大玉座などその広さと煌びやかさに驚き
続いてイタリア、オランダ、スペインなどの名匠の有名画、3階に上るとルノアールやモネ、ピカソなどの
絵がこれでもかというほどに並んでいる様は流石という他ない。
ガイドさんの案内で2時間、あとは個人で1時間ほど見て回ったが、それも急ぎ足で大勢の観光客の間を
抜けながら観るのは大変である。初日の歴史博物館もよく歩いたがそれにも増して歩き回る。
“エルミタージュ”とは“隠れ家”を意味しエカテリーナ2世がこれらを楽しんだとのことだが、宮殿の装飾を
含めて世界中の人が今見られる意義は大きいと感じた。歩き疲れてカフェで少し休憩。
少し寒くなったなか1時間ほどの運河クルーズに出る。小雨で外へ出られず中からの見物となった。
それにしてもサンクトペテルブルグは美しく整った街である。300年前は沼地で、ピョートル大帝が建設したとの
ことだが、4万人以上がその犠牲になったと聞く。華やかな文化にも歴史の重みが感じられる。
窓からフィンランド湾が見えるホテルは大きく施設もいい。バスタブにも清潔なお湯が豊富に出て一安心。
102mの高さがあるイサク聖堂 聖堂の前のニコライ1世像
アレクサンドル2世が暗殺された血の上の教会 内部はモザイクで覆われている
4大美術館のひとつエルミタージュ美術館 エカテリーナ2世が愛した空中庭園
正面階段。花崗岩の円柱、鏡の窓など華やか 皇帝の謁見の間。正面に玉座がある
黄金の孔雀(カラクリ時計) エル・グレコの“使徒ペテロとパウロ”
運河クルーズから見る跳ね橋 この市の発祥の地・ペトログラード側
24(水) ホテル9:30<>ペテルゴーフ・下の公園<>昼食<>エカテリーナ宮殿<>夕食<>ホテル20:00
今朝はゆっくりの出発でペテルゴーフへ。気温は6℃で最高でも9℃にしかならないようだ。
バスから降りると小雨でかなり冷える。ダウンを着てホッカイロを両ポケットに入れていても寒く感じる。
フィンランド湾に面したピョートル大帝が作った夏の宮殿で、当時利用した運河も残されている。
下の公園の大滝の噴水が11時丁度、大音響と共に始まり、7段の階段と金箔の像、ライオンの
口を引き裂くサムソン像からは20mもの水が吹き上るのは圧巻である。
手入れが行き届いた美しく広い公園のなかには沢山の噴水があり、面白い“いたずら”や“太陽”
“アダム”“イヴ”などなど、かつての人たちの楽しみが伝わってくる。
午後はエカテリーナ宮殿見学で、300mという長さと青い色の涼しげな外観に感動する。
ここでもコートを預け、上履きをして入る。
眩しいくらいの大広間を通り、やっと目にすることが出来る琥珀の間に入る。
元々のものではないらしいがそれでも再現された琥珀は光り輝いている。
寄木細工の床も見事で、踏むのがためらわれるほどである。
緑の食堂や青の客間などには、ドイツ軍から逃れた当時の品も残っていて苦労も偲ばれる。
ロシア最後の夕食は“チャイコフスキー”というレストランで、ロシア民謡を聞きながらのフォークロアディナーショー。
バラライカとアコーディオン、歌手、踊り手の6人で、興に乗るとメンバーを誘い楽しいひとときとなった。
迫力満点の大滝の噴水 階段状になったチェスの滝
花に囲まれたローマの噴水 木々にも晩秋の趣が…
エカテリーナ宮殿 大広間(大黒屋光太夫が拝謁した)
当時の食卓を再現してある エカテリーナ2世の衣装
琥珀の間(撮影禁止の為絵ハガキから) 当時のままの寄木の床
民族衣装での演奏 デザート・その名もチャイコフスキー
25(木) ホテル8:45<>教会<>プ−ルコヴォ空港14:05<>モスクワ15:20〜19:55
今朝も寒く風が冷たい。ボクロフスカヤ教会は町の外れにあり、ノルウェーで見た建物に似ていた。
信者は立ったままで敬虔な祈りをしている。神父と聖歌隊の美しいハーモニーが響いていた。
新しい空港からモスクワへ。乗り継いで仁川へと発つ。
古い木造のボクロフスカヤ教会 丁寧に説明してくれたガイドさんたち
26(金) 仁川空港9:20<>仁川・散策と昼食<>空港13:20〜15:20<>関空16:55
仁川の待ち時間を昼食を兼ねて街まで往復する。
日本の町並みが少し残っていたが、あまり見る所もなく空港に戻る。
*カメラが使えなくなり、24 、25日の写真は同行のOさんよりの提供です。