花期に葉はなく、晩秋になって線形の葉を出し、翌年の夏に枯れてしまいます。花茎の高さは30〜50セ
ンチ、茎先に赤い花を5〜10個つける。日本では不吉な名前が多いせいか、あまり庭で栽培されないが、外国では花の美しさを買われて観賞用に好んで栽培されるとのこと。
彼岸のころに決まって咲くことから「彼岸花」と名付けられたようで、別名は「曼珠沙華(マンジュシャゲ)」。法華経の「摩訶曼陀羅華(まかまんだらげ)曼珠沙華」から出たと言われ、梵語(ぼんご=古代インドの文語で
あるサンスクリットの称)の「天上界の花」「赤い花」の意味と言われている。
外見は鮮やかな赤で、美しい花だが、根茎には毒性の強いリコリンという有毒物質を含んでいて、食べ
ると下痢や嘔吐を催すことがある。そのためこの花には「ドクバナ(毒花)」「セキリバナ(赤痢花)」「毒ユ
リ」といった方言がある。
ただ、ヒガンバナは稲作が始まったころ「救荒植物」として中国から持ち込まれたものという説が有力で、「救荒植物」とは、
作物が不作のときのために植えられた植物で,代用植物として植えられたもの。ヒガンバナの鱗茎は割合上質のデンプンを含んでいるが、アルカロイドを含んでおり、そのまま食すると有毒である。水にさらしてデンプンをとったと考えられる。
また、墓地に多く咲くことから「ハカバナ(墓花)」「シビトバナ(死人花)」「ソウシキバナ(葬式花)」「ユウレイ
バナ(幽霊花)」といった「死」に関連した方言もあります。その他にも、ヒガンバナには約400の方言がある
と言われています。 |