ホームステイ(1986)

1986年7月15日から8月26日までの約43日間、アメリカでホームステイしてまいりました。
初めてのアメリカでどんな生活を送ってきたのか、簡単にご紹介します。

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     初めてのカルチャーショック
       7月15日16:00成田空港を出発し、同じ日の9:40ロサンゼルス国際空港に
       到着するという、
なんだかよくわからない状態のまま、今回のホームステイのお世話を
       して下さる教会へ向かった。
       そこで昼食をごちそうになった後、片づけの
手伝いをしようとキッチンへ。
       わけを話すと、ひとりのおばさんが「食器を洗うから、それを拭いてくれ」と言う。そこで、

       タオルを手に待機していると、目の前に出されたのは、まだ洗剤の泡が山のように
       残っている食器だった。

       ちゃんと流さなくてもいいのかなー、と思っても、むこうはいっこうに気にする様子もなく、
       あぶくのついた食器を積み上げていく。
       目が点になってしまうような、アメリカ到着以来初めてのカルチャーショックだった。
      

     静かな農業地帯
       ワタシが1ヶ月間ステイしたのは、ミネソタ州のSlaytonという小さな町。と、言いたい
       ところながら、実のところその町から車で15分くらい離れたところなのであった。
       周りにはなーんにもない。ほんとに。あるのはトウモロコシと大豆の畑。見渡すかぎり。
       バスなんか当然走っていないし、一日家の前の道路に立っていても、通る車は数えるほど。
       生まれてからずっと比較的都会に近いところで暮らしてきたワタシにとって、ほんとに
       別世界なのだった。でもすごく気持ちいい。空も雲もきれいで、感動しちゃいました。

     グレートスタントマンな夜
       そんなのどかなところで、都会では考えられないような事故が起こった。
       それは、ホームステイが始まって1週間ほどがすぎた頃。
       長女のSharon(17才)が、「ストリートダンシングに行こう」と、真夜中ワタシを車で
       連れ出した。
       真っ暗な中(ホントに真っ暗。あるのは車のヘッドライトだけ)、1時間ほど車に揺られて
       着いたのは、とある農家の倉庫のようなところ。
       そこに大勢の若者たちが集まって、踊っていた。
       映画で見たような風景。もちろんみんなの手にはアルコールの瓶。
       ワタシたちも仲間に加わって、1時間くらいいたでしょうか。その間にワタシは
       ワインクーラーを数本空けており、帰る頃にはすっかりいい気分。
       Sharonに運転を任せて、ワタシは助手席でいつの間にか眠っていた。
       突然、がったんこ と衝撃があってワタシは目を覚ました。何が起こったんだろう。
       Sharonがいつの間にか車の外にいて、ワタシに「大丈夫?」と声をかけている。
       状況がよくわからないまま(まだちゃんと目が覚めていなかった)「大丈夫、大丈夫」と、
       シートベルトをはずす。なぜか身体が落下する、頭の方に。
       ちょっと違和感を覚えながら、車の窓から外に這い出た。(これもよく考えればおかしいよね)
       「どうしたのー?」と脳天気に尋ねるワタシ。次の瞬間、酔いは吹っ飛んだ。
       車は道路の脇のトウモロコシ畑に落っこちていた。逆さまになって・・・。わーお。
       どうやら、車の前に野生の鹿が飛び出してきて、それをよけようとハンドルを切り損ねて
       道路より2メートルくらい低くなっている道路脇の畑に転がり落ちたらしい。
       ふたりはショックから立ち直れないまま、道路にはい上がり、とぼとぼと家に向かって
       歩き出した。
       昼間でさえ数えるほどしか車が通らないところで、たまたまトラックが通りがかり、それが
       知り合いだったというのは、すごいラッキーだったかも。
       トラックに乗せてもらい、すぐに家に到着。事故ったのは家のすぐ近くだったらしい。
       シートベルトのおかげでふたりとも大事には至らなかった。Sharonは必死でハンドルを
       切ったりブレーキを踏んだりで、膝や背中をちょっと痛めたけれど。
       事故の次の日、Sharonがこっそりと「お酒飲んでたことは、言っちゃだめだよ」と
       ささやいた。
       野生の動物を守ろうとした事故だったけど、飲酒運転となると話は別だからね。

       まあ、大騒ぎになりましたね。
       次の日曜日、教会に行くと、みんなが事故のことを知っていて(すごい)、声をかけて
       くれたりして、事故は大変だったけど、コミュニケーションのきっかけになってくれて、
       よかったのかも。
       

    ★たくさん食べれば大きく育つ
       ここで食生活について触れてみよう。
       アメリカは食事が多いよー、って行く前に聞いていたけれど、これは地方やその家にも
       よるね。
       ワタシのステイした家では、比較的軽いような気がした。
       朝食(breakfast)は目玉焼きとトースト(日本のパンよりふたまわりくらい小さい)2枚
       くらいと、コーヒー。後は好みでシリアル。
       昼食(dinner)が一番量が多くて、メインは肉。牛肉か豚肉が多かったけど、大体は、
       塊のままジャガイモなどと一緒にオーブンでゆでる。
       肉はケチャップとかマスタードを付けて食べる。
       付け合わせに、一緒にゆでたじゃがいもとか牛乳で煮たインゲンとかゆで卵とか。
       あとびっくりしたのが、畑から取ってきたトウモロコシ(日本で売っているのよりはかなり
       小振り)をゆでてバターを付けてかぶりつく。ワタシなんかは、2、3本が精一杯。
       ほかにも肉とかジャガイモとか食べるから。でも、ほかの家族はかるく5、6本いく。
       すごいぞー。
       夕食(supper)はほんっとに軽かった。ゆで卵1コとハッシュドポテトとトースト1枚とか、
       パンケーキとか。
       3度の食事の間には、コーヒータイムがあってお菓子をちょっとつまんだりするんだけど、
       大して腹の足しにはならない。
       お昼にがんばって食べないと、ほんとにおなか空きます。でも肉とかってそんなに
       たくさんは食べられなくて、ワタシはステイしてる間に胃袋が小さくなってしまいました。

     農家は大変
       ワタシのホストファミリーでは、トウモロコシと大豆の畑をやり、豚さんを育てていました。
       Dadと次男のLeon(20才)は日が昇る頃には畑に出て、お昼に帰ってくる以外は
       日暮れまで帰ってこない。
       Momは老人ホームで働いており、やっぱり朝早くでかけて、午後戻ってくる。
       長女のSharonは町のピザ屋でアルバイトをしており、ほとんど家にいない。
       次女のCindy(14才)が家事をこなす。忙しい人たちだ。
       農業をやっているので、一年中休みがない。旅行もできないし。
       時々畑に行ってお手伝いをしたけれど、ほとんど無力なワタシ・・・。畑といっても
       信じられないくらい広くて、何をやるにも機械が活躍するのだ。
       でも、そうやって一生懸命がんばって手間をかけても、竜巻やひょうの被害にあって
       全滅してしまうこともあるんだよね。大変です。




行く前は不安でいっぱいでした。英語だって満足に話せないし、全然知らないところで
やっていけるのか、と。たった1ヶ月だけどね。
でも、帰る日、空港で家族と抱き合いながら、帰りたくないって思ったよ。
いろいろあったけど、すごく勉強になりました。
農家にステイしたこともあって、家族といろいろなところに出かけたり遊びに行ったりと
いうことはあんまりできなかったけど、とても楽しかった。
言葉の違う国で暮らすというのは勇気のいることかもしれないけど、
興味がある人はがんばってみてください。

ただ、ホストファミリーについてはきちんと選んだ方がいいですね。ワタシは学校の先生の
知り合いの方の教会を通したので心配はなかったけれど、いろいろ悪い噂も聞きますから。



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