埼玉県川越市氷川神社の万葉歌碑
川越市の氷川神社にある万葉歌碑を訪ねてきました(2013/5)。氷川神社の境内の中、具体的には、大鳥居をくぐり参道を進んだ左に柿本人麻呂神社があり、山上憶良の歌の碑があります。
なお、人麻呂が奉られている神社は全国にもあまりなく、人麻呂の直系の子孫である綾部家が戦国時代に川越に移住してきたことから祀られているようです。
歌碑には、万葉集巻5-800とその反歌5-801が彫られています。下の写真です。また、更に下の写真は碑陰です。
歌
(作者) 山上憶良。
(大意) 父母を見れば尊く、妻子を見ると胸が痛くなるほど可愛いくいとしい。世間ではそれが道理である。モチに掛かった鳥のように、なかなか離れられない。世間を逃れて行く先が分からないのだから。穴の開いた靴を脱ぎ捨てるように、世の中を抜け出て行こうとする人は 石木から生まれでた人なのだろうか。貴方の名を名のりなさい。貴方が天に行くのであれば貴方の思うままでよいだろうが、もしこの大地を進むのならば、大君がおいでですから、勝手なことは許されません。この照り渡る太陽や月の下は、雲の横たわる果てまで、ヒキガエルの這いまわる果てまで、大君がお治めになる素晴らしい国である。あれこれと欲するままにしても良いのだろうが、私の言うことが正しいのではなかろうか。
ひさかたの 天路(あまぢ)は遠し なほなほに 家に帰りて 業(なり)を為(し)まさに(巻5-801) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(作者) 山上憶良。
(大意) はるかな天への道はとても遠いのだから、おとなしく家に帰って仕事に励みなさい。
この歌には序があり、「惑える情(こころ)を返(かへ)さしむる歌」となっています。仙人のような生活に憧れ、家庭を顧みない人を諌める歌です。
所在地
埼玉県川越市宮下町2丁目11-3 氷川神社。下の地図のマークの辺りです。