玉網作り

今年の夏は楽しい鮎釣りができた一方でトンビとの闘い、玉網(タモ)の流出などがありました。
今回はシーズンオフを少しでも楽しく過ごすため来シーズンに使うための36cmの玉網(タモ)作りを始めました。
興味や作りたいと考えている方は参考にしてしていただけると幸いです。
木の選定
●11月2日(火)に北方の某所でタモの枠となる天然木カヤの原木を採取する。
枝は36cmのタモの場合70cm以上長く、枝先で1cm弱ぐらい太さのものを選び、葉を少し残しておく。幹は40cm程度で切る。
工具:ノコギリ・ナタ・剪定ハサミ・手袋

採取のポイント
●原木はカヤやモミがある。モミは柔らかいので加工しやすいが折れやすい。一般的にはカヤがよいようだ。
●枠となる枝が幹に対してT字型となっているものを選ぶ。
写真1の状態で4、5日置いておく。枝は36cmのタモの場合は直径36cmになるように曲げ、テープやビニールで被覆されたハリガネで2、3箇所を固定する。
山で採取した木
画像1
写真1
皮を剥ぐ
11月6日の作業
●ノコギリで幹の長さ(35cm:好みだが)、枠の直径を決め枝を切り落とす(幹より65cm)。
皮を剥ぐときはナイフより竹ベラで剥ぐと削りすぎや傷が付かず失敗がない。
皮を剥いでから乾燥させるとき枝の切り口から空気が入り、そこからひび割れしないように切り口にはビニールテープを巻くかロウソクのロウをたらしておくと良い。
工具:ノコギリ・竹ベラ(竹ベラ作りに使うナイフ)
乾燥させるため再びビニールテープ等で2、3箇所を固定する。
1ヶ月間程度の間日陰で乾燥させる。
竹ベラで皮を剥ぐ
画像2
写真2

工具(竹ベラとナイフ)
画像3
写真3

皮を剥いだ天然木
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写真4
ワクを曲げる
12月6日の作業
●蒸気をあてワクを曲げる
ヤカンから出る蒸気をあて枠を曲げる。蓋は蒸気が漏れないように目張りをすると良い。
ため木を使って曲げても良いが木に傷を付けてしまうので手で曲げる。ダンボールに網のサイズの円を書いておき、この円に合うようにワクを曲げてゆくと作業がスムース。
コツはゆっくりと少しずつ作業をすること。
工具:ヤカン&コンロ
ワクを曲げる
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写真5

蒸気を出すためヤカンとコンロ
画像6
写真6
ワクの合わせ
12月6日の作業
●ノコギリやナイフを使って合わせ部分を削る。
この時削る面の方向と角度に注意しながら削る(同じ方向を削って失敗しないように)。
●ワクを接着剤で接着する。
合わせ部分の接着面は湿った布で拭いて乾いてから接着剤(ボンドEセット)を塗布する。
塗布したら万力や太糸(テープでもよい)などで乾燥するまで固定する。
合わせ部分がずれないように太糸で粗巻き、ずれていないことを確認したら写真8のように巻く。
工具:ノコギリ・ナイフ・万力・太糸(ナイロン)・ボンドEセット

接着剤が乾燥するまで自然放置。

合わせ部を作る
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写真7

接着剤塗布後の固定
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写真8

工具類
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写真9

枠の固定用接着剤(ボンド Eセット)
エポキシ接着剤
写真9-1

ワクの調整
12月8日の作業
●接着剤(24時間経過後)が乾燥したら太糸を外す。
●再度、ワクに蒸気をあて曲がりを微調整する。この時、接着部に蒸気があたらないようにする。蒸気をあてると接着が剥がれてしまう。
ワクの接着完成
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写真10
削り込み
12月8日の作業
●柄やワクを好みの太さに削り込む。節などは角を取ったりする。そのまま残しても味わい深くなるので好みである。
木を削る時ナイフを持つ手は動かさないようにし木を持つ方を動かすようにすると削り過ぎが少ない。
大きく削る場合はカンナを使うと良い。
道具:カンナ・ナイフ
削り込み
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写真11

削り込み完成
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写真12
サンドペーパーをかける
12月8日の作業
●削り込みを終えたらサンドペーパーを木目に平行にかける。斜めにしたりペーパーを木に巻きつけてまわしたりするとペーパーの跡が残り仕上がりが悪くなる。
傷などはナイフで削り補修する。
サンドペーパーは120番・400番・800番の順にかける。
工具:サンドペーパー(NO120・NO400・NO800)・ナイフ
ペーパーかけ
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写真13

サンドペーパー
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写真14
塗装
12月9日の作業
●1回目の塗装はカシューとうすめ液を1:1の割合で薄めて塗布する。塗布したら直ぐに手ぬぐいなどで拭き取ってしまう。1回目の塗装は木にカシューをしみこませる為で拭き取った後1,2時間乾燥させる。
塗装の色は茶系統とクリアーを混合して好みの色合いをだす。
ポイント:筆は毛足の短いものでカシューを薄く伸ばすように塗る。カシューを拭き取るには糸くずの出ない使い古しのハンカチでも良い。
●2回目以降の塗装はカシューとうすめ液の割合を1:10でで薄める。カシューがだれたりしないよう薄く伸ばして塗る。
塗布した後は2,3日乾燥する。
塗布と乾燥を7,8回程度繰り返し作業する。
塗装作業の工具類:カシュー(茶系統、クリアー)・うすめ液・筆・容器・手ぬぐい(ハンカチでもOK)
塗装作業
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写真15

カシュー・うすめ液・筆・容器
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写真16
枠の完成
1月23日に完成
●8回目の塗装と乾燥が今日やっと完成しました。
約3ヶ月間の作業でしたが残りはモノフィラメントの網を取り付けるだけになりました。
完成したタモ枠
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写真17
網の取り付け
1月24日の作業
●モノフィラメントの網を仕付け糸で取り付ける。
1.5mm目の替網(Shimizu)をα-BIC社の手網仕付けセットで仕付ける。
仕付けの間隔は3cm間隔(2.5〜3mm程度)で取り付けてゆく。
●仕付けの仕方はα-BIC社の飛騨・替網の取り付け方を参考にすると良い。
網と仕付け糸セット
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写真18

網の取り付け方
取り付け方
写真19
玉網の完成
玉網が約3ヵ月で完成しました。
今回製作したタモ枠は渓流用や予備を含めて4本ほどです。今年のシーズン中はこれを使用します。
完成した玉網(渓流用と鮎用)
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写真20