頭痛のQ&A




頭痛の目次



(Q1)私は月に一回くらい頭がガンガン痛み、吐き気のすることがあり、薬局から薬を買って飲んでいますが、それでよいの でしょうか? また、くも膜下出血にならないでしょうか?

(Q2)最近肩こりが強く、頭や首が重く、目がシパシパして、瞼が重く感じますが、どこが悪いのでしょうか? (42才女性)


(Q3)頭痛持ちの人がくも膜下出血になりやすいのでしょうか

  


(Q1)私は月に一回くらい頭がガンガン痛み、吐き気のすることがあり、薬局から薬を買って飲んでいますが、それでよいの でしょうか? また、くも膜下出血にならないでしょうか?

(A1)お答えします。 痛みの性状を聞きますと、どんな原因で起きた頭痛か分かります。まず急に起きた痛みなのかどうか、時々あるのか、頭のどのあたりがどのように痛いのか、吐き気を伴うのか、手足のしびれなどがあるのか、などがそのポイントです。この質問の方では、以前から時々ある頭痛で(一ヶ月に一回くらい)、急に起きた頭痛のようですが、いつもの頭痛が繰り返し起きているようです。そうしますと、くも膜下出血や脳出血の頭痛は否定してよいでしょう。しかも頭痛のない時が多いようで、常に起きているわけではなく、脳腫瘍ではないようです。頭痛の部位は明らかではありませんが、逆に一部分ではないようで、後頭神経痛や典型的な片頭痛ではないようです(典型的片頭痛はこめかみが痛むことが多いです)。前駆症状もなく、この点でも典型的片頭痛ではありません(典型的片頭痛では目の前がキラキラします)。痛み具合では、ガンガンしていますので、血管から起こる痛みのようで(風邪や二日酔いの頭痛と同じで、ガンガンとかズキズキと感じることが多いです)、また市販の鎮痛剤が効くようですので、普通型の片頭痛か血管性頭痛の可能性が高いと思われます。昔から言われる頭痛持ちや脳持ちというタイプです。この方にもう少し聞きたいことは、肩こりがあるのか、月に一回くらいだがどのような時に起こるのか、天気との関係は、生理や食べ物との関係は、睡眠不足になっていないかなど、です。これらを聞くことで一層診断がつきやすくなります。勿論頭の中の病気が疑われる時はCTスキャンをとる必要があります。外来で扱う頭痛では、一般的にはストレスから起こる肩こりを伴う緊張型頭痛が一番多く、次に片頭痛と言われています。それとこの方がくも膜下出血を心配されていますが、この方のように慢性的な頭痛の型がくも膜下出血になるわけではありませんので、その心配はいりません。とにかく頭痛でご心配なら是非一度ご来院下さい。       目次へ



(Q2)最近肩こりが強く、頭や首が重く、目がシパシパして、瞼が重く感じますが、どこが悪いのでしょうか? (42才女性)

(A2) このような症状を訴えられる方が非常に多いようです(程度の差はありますが)。この方の症状は緊張型頭痛が中心と考えられます。これは首から肩や「へき」と言われる背中の肩胛骨の内則あたりの凝りがあり、頭が重く、すっきりしない感じの頭痛です。やる気がおこらず、集中力を欠く事もあります。一見物忘れが始まったように思えます。眼精疲労から起こる場合もあります。午後から悪くなり安く、天気が悪くなると起こりやすくなります。睡眠障害がある方に多く見られます。この原因には、首を痛めたり小さい仕事を根を詰めてして肩こりなどの起こる場合と、心配事・考え事・いらいらなどの精神的緊張によって起こる場合が有ります。このタイプの頭痛の一部に、この質問の方のように目の症状を伴うことがあります。これは首にある自律神経の一つの交感神経の調子が狂うからです。この神経は首の大きな動脈(椎骨動脈や頸動脈)に作用して眼や耳などの血流を調節したり、眼や心臓の機能にも関与しています。よってめまい、耳鳴り、難聴などの内耳の症状や眼のかすみ、目の疲れ、視力低下、目のシュパシュパ感などの眼の症状、胸の苦しさ、息苦しさなどの心臓の症状、のどの違和感、かすれ声、飲み込みにくさなどの咽喉頭部の症状が出ることがあります。これらの症状は特に首に病気のある場合に見られます。また鞭打ちなどの頸椎捻挫でよく見られます。変形性頸椎症や頸部椎間板ヘルニアなどの病気が潜んでいることもありますので、首の精査が必要で、首に明らかに病変がある時は頸性頭痛と呼ぶこともあります。さらに緊張型頭痛には二次性の血管性頭痛や後頭神経痛を伴うこともありますので、眼の奥までズキンと痛んだり、頭がズキンズキンと痛みます。さて、質問の方ですが、42才とお若いので首の変性疾患は疑わなくて良いでしょう。それより働き盛りですので、仕事上のストレスや家庭内のストレスが原因ではないでしょうか。この方にお聞きしたいのは以前に首を痛めた事はなかったか、更年期障害の他の症状はないか、生活や仕事の環境に変化はなかったかなどで、これらがはっきりすれば原因が一層はっきりするかもしれません。最後に、必ず眼科に行って、目を診て貰って下さい。老眼等が始まり、眼精疲労から緊張型頭痛が起こっていることもありますので。 
目次へ


(Q3)頭痛持ちの人がくも膜下出血になりやすいのでしょうか?

(A3)いいえ、違います。頭痛持ちの頭痛と言うのは片頭痛や緊張型頭痛のことです。片頭痛というのは頭の中や頭皮の動脈から起こる痛みです。典型的な時は頭皮の動脈に起こり、目の前がキラキラ光るが暗くなる(閃輝性暗点)前兆があってしばらくして、頭の半分がズキンズキンと割れるように痛み出し、吐き気や嘔吐を伴います。数時間でかなり痛みが和らぎますが、また起こることもあります。痛みが出やすい体質に、疲れや天気や生理などの影響が重なって引き起こされます。実際にはこの典型的な片頭痛より一般型と言われる片頭痛が多く見られます。一般型は前頭部が痛み、前兆が有りませんし、時間も一日から数日と長く続きます。緊張型頭痛というのは頭や首の筋肉の緊張から起こるもので、首や肩が凝り頭は重くすっきりしない感じの頭痛です。精神的なストレスで引き起こされる事が一番多いです。ストレスと言うとすぐ皆さんは「イライラ」を想像されますが、そんなに大げさなことでないこともあります。他人の言ったちょっとした事が気になったり、自分が何か悪い病気ではないかと気になったりするくらいのことでもこの頭痛は起こります。他には目の疲れや首の病気からも起こります。さて、くも膜下出血は一月号で説明しましたように脳の動脈に動脈瘤というこぶが出来てそれが破裂して起こるものです。動脈性の出血ですので勢いがよく、ハンマーで頭を殴られたように急に激しく起こるものです。勿論そのまま意識が戻らずになくなることもかなりあります。一度目の出血が軽くても二度目三度目と出血を繰り返し、その都度亡くなる確率が増える病気です。ですから慢性の頭痛ではありません。頭痛持ちの頭痛と全く別の頭痛で、頭痛持ちの人がくも膜下出血を起こすことはあるかも知れませんが、起こしやすいとは言えません。                  目次へ