<USAWeekend.com '03年10月26日付けインタビュー>


「さっ!みんなでにらめっこしよっかぁ〜?!」・・・なんて言ってるんだかどうだか〜?^^;
↑'04年3月日本公開予定の
「ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション」から。


<<自分自身とうまく付き合う人>>

ブレンダン・フレイザーには
スーパースター気取りが無い。
新米パパの彼にあるのは、
父親としての誇りと、
共演したダフィ・ダックへの賞賛の気持ちだけ。

by Lorrie Lynch

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ブレンダン・フレイザーは現在のショウビズ界で
上昇気流に乗ってるスターなのかもしれない。
だが、洗練された優美さについていうなら、
彼は、'40年代〜'50年代を代表する主演俳優達
(ジミー・ステュワートやケーリー・グラントのような)
の再来である。

私は、今まで多くのスター達と話してきた。
その中でも、
ブレンダンほどの礼儀正しさ、マナーの良さを
持ってる人というと、
ジョン・トラボルタかハリソン・フォードくらい
しかいない。
ポストモダンな紳士である。

彼はほぼ一年ほどスクリーンにご無沙汰していたが、
11月14日に
「ルーニー・テューンズ・バック・イン・アクション」
が全米公開されれば、
そのハンサムな顔を見逃すことは難しくなるだろう。

「ルーニー・・・」は実写とアニメを混合した
アクション映画で、
配給のワーナーとしては、家族客を惹き付けたいという
狙いがある。
この作品は、この前のホリディシーズンに公開された
"The Quiet American"の次に出演する作品では
ないように思われるが、
ブレンダンは、
多くの理由でこの作品に惹かれたという。
その中には、彼の息子、一歳になるグリフィンのことがある。
そのうち、きっとこの作品を観て大喜びするだろうから
・・・というのである。
だから、
彼の最新作の共演者は、マイケル・ケインでなくて
ダフィ・ダック。
実在しない者を相手に演技すると言うのは
簡単ではない。
が、ブレンダンはチャレンジするのが好きだ。

『ブレンダンは、ある決められたポイントを
何気なく見つめていることができる。
そのポイントの向こう側を見通しているとは
思わせずにね。』

と、「ルーニー・・・」の監督ジョー・ダンテは語る。
これは、
<後で描き加えられるキャラクター>と
何も無いグリーンのスクリーンの前で共演する俳優達への
絶賛のことばだ。

ブレンダンがその魔法のネタを少し明かしてくれた。
リハーサルで
ダフィやバッグス・バニーのマペット版のような人形を使って
皆が自分のいる位置を確認できるように
しているのだそうだ。
『バカバカしく思えるけど、
この方法で、
どこにキャラクターがいるのかわかるんだ。』
とブレンダン。
そして、俳優としての秘訣は
『そこに確かに居るんだと自分が信じれば、
観客も信じてくれるんだ。』
と思うことだと言う。

観客も批評家も、
同じように、ブレンダンの才能を信じているようだ。
彼が「ジャングル・ジョージ」「ハムナプトラ」
のような映画に出演しようが、
あるいは「ゴッド・アンド・モンスター」のような
シリアスドラマを演じようが。
たとえ評論家が映画自体をそれほど気に入らなくても、
ブレンダンの演技については好意的に述べるし、
ダンテ監督は、
彼がオスカーを獲るのもそう遠い先ではないだろう
と信じている。

彼が主演した二本の「ハムナプトラ」シリーズが大成功を収め、
たいていの俳優達は(そういう成功の後)
大きな報酬を伴う大スターへの道を目指すものだ。
『だが』と、
彼の友人で、NBCテレビの人気番組"Scrubs"
(注:ブレンダンもゲスト出演)のプロデューサー、
ビル・ローレンスは言う。
『ブレンダンは次の世代のアクションヒーローには
なりたがらなかった。
<<この成功を別のおもしろいことに利用できるかも?>>
・・・なんて言うんだよ。』


スーパーマンというキャラクターも
おもしろくてヒロイックだろう。
ブレンダンも今、彼を演じることについて
考えている。(注:有力候補だという噂がある)
『映画が実際に作られるのかどうか、僕には確信が無い。
だから、
このまま、関心は持っていて欲しいね。』

と、彼は言う。
ただ、もしタイミングが良ければ
このキャラクターを気に入るはずだ。

問題は?
『あの役をやった俳優は、常に
<スーパーマン>というキャラと同一視される。
それって、僕にとって良いことなのだろうか?
わからないよ。』


彼にとって良いこととは、ロスでの家庭生活だ。
ハリウッドで働く仲間達が、
ストリップクラブを訪れたり、
リハビリに入ったり、不倫問題を処理してる一方で、
ブレンダンは幸せな結婚をしている家庭人であり、
息子に夢中な新米パパなのだ。
『僕のハートは無限に膨らんでいくんだ。』
携帯(TEL)に映った赤毛の息子の写真を私に見せながら、
彼は言った。
同時に、彼は役に立つ父親でもある。
休みがとれたからといっては、
グリフィンを連れて遊ばせたり、
赤ちゃん向けの体操のクラスに通ったり、
あるいは、ただ自宅で一緒にいたりすることが
できる人だ。

彼が妻のアフトン・スミスと出会ったのは、
1990年シアトルのコーニッシュ・カレッジを卒業して
ロスに着いた後まもなくしてからのことだった。
(注:↑この文章は時間的な経過を少々端折り過ぎなのでは
と思います・・・)
ウィノナ・ライダーの家で開かれたバーベキュー・パーティ
・・・ブレンダンはその場で、彼女に夢中になった。
『僕は、個人的な望みと職業的な望みを
結び付けられると思ったし、
彼女となら友達になれるとも思った。
五年後、光栄にも彼女は僕の妻になってくれた。』


妻について話すとき、
こういう<うやうやしい>言い方を
するというのが、いかにもブレンダンらしい。
『ブレンダンは彼女をとても愛してるの。』
「ルーニー・・・」での共演者ジェナ・エルフマンは言う。
『男性が妻への愛を優しく表すのを観るのは、
とても素晴らしいことね。
お子さんが生まれた後、訊いてみたの、
<<奥さん、具合いかが?>>って。
そしたら彼、
<<すごく疲れたって。
でも、あんなに美しい彼女は観たことないよ。>>だって。
・・・その場に彼女は居なかったんだけどね。』


エルフマンによると、
ブレンダンは他の人に対しても、同様に、
思いやりがあるのだという。
撮影中のできごとを話してくれた。
『ブレンダンったら、私の車のフロントグラスの上に
ちょっとしたくだらない贈り物を置いていったの。
おかげで、車に乗るといつも、
その小さな飾りが私を笑わせてくれるのよ。』


映画のセットでの彼は、誠実で親しみやすいが、
ジョークを言ったりはしない。
スナップ写真を撮ってる姿を見つけられることが
多いようだ。
彼は、そうやって、写真やカメラ(主にポラロイド)への
情熱を満足させている。
『私が車の中の不安定な場所に座って、
半分逆さまになったりしてると、
カメラの出番よ。』
と、エルフマンは言う。
『彼が選び取る一瞬って、いつも可笑しかったわ。』

彼女がブレンダンと最初に会った日、
よそよそしい人だと思ったそうだ。
『私は、映画のセットの彼の家の前で、
芝生の上に座っていたの。』
『彼がこちらに歩いてきて、ちらっと私を見たの。
敵意を持ってる感じじゃなくて、
ほんとに恥ずかしそうにね。
そのまま歩き続けて私の前を通り過ぎて
家の中に入っていったわ。
私、思ったの。<<あらら。
彼、“こんにちは”も言わなかったわ。>>
で、<<そうだわ。私がイニシアティヴを取ればいいのよ。>>
って考えて、家の中に入って行って
“ハイ!”って言ったの。
そしたら、彼
<<やあ。来てくれてとても嬉しいよ・・・。>>って言ってくれた。
彼のことを知っていくうちに、
そんなにシャイなわけでもないとわかったわ。』


とはいっても、<シャイ>というのは、
ブレンダンを知る人々と話をすると出てくる言葉であり、
私が最初に彼と会ったときも、同じことを考えた。
だが、ブレンダンが打ち解けてくると、私にもわかった
・・・彼が<シャイ>なのは、ごく自然な慎みの表れなんだ
ということが。
(前出のTVプロデューサー)ローレンスは、
『ブレンダンは<<6ヶ月間隠遁生活を送っても平気>>な男
だよ。』
と言う。

彼がそういう風に生きられるのは、
幼い頃ずっと引越しをしていたからだろう。
ブレンダンはどこにいても、
たいてい<最近来たばかりの子>だった。
カナダ系アメリカ人の両親のもと、
インディアナ州に生まれたブレンダンは、
父親の仕事(=カナダ旅行局)のおかげで
アムステルダム、ロンドン、シンシナティ、
デトロイト、トロントなどに移り住んだ。
彼の兄弟三人を含めた一家は、
最終的にシアトルに落ち着いたが、
子供時代に<放浪>するのも
それなりに役に立つものだ。
『だんだん快活になるよ。
コトバがわかろうがわかるまいが、
人と話すためには
より熱心に努力しなきゃならないからね。
そうすると、飛行機に乗ってどこかに行くのも
簡単にできるようになってくるんだ。』


良くない点は、<故郷>と呼べる場所が無いことだ。
だから、ブレンダンはロスに根を下ろしたのかもしれない。
『ロスは、僕にとって最も心地良いと感じる場所なんだ。』
と、彼は言う。
『23歳からずっとここにいるからね。』

ブレンダンがハリウッドに着いたとき、
ちょうど
テレビ番組のパイロット版を放送するシーズンの
準備中で、気が付くと、
彼はその中の一本にキャスティングされていた。
出演した番組は放送されなかったが、
彼は(ロスに)留まる決心をした。
『僕は
(何をするのかということに)焦点をきちんと合わせていたし、
気力もあった。
この世界の一員になりたいと強く願っていた。』

と、ブレンダン。
『ところが、そんな夢を持つ以前に、
すでに僕はその世界で生きていたんだ。
それに、
プロとして気に懸けていることよりずっと大切な、
<個人的な人間関係>で自分自身と釣り合いをとることが出来て、
ラッキーだったよ。
だから、多分、
個人的な部分の方が少しだけ<重い>
(=個人的な方により傾いている)かもしれないけどね。』

ジェームズ・ステュワートだって
これ以上うまくは言えなかっただろう。





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