2001年 10月29日,30日
London Lyric Theatre、 

"Cat on a Hot Tin Roof "観劇レポート
 

いよっ!ご両人っ!・・・って歌舞伎ぢゃないの〜・・・(^^;)

(by MI-HAさん


 劇場入り口は,
正面Stallsと,Circle, Balconyへの入り口に分かれており,
思ったより狭い。
1階入り口から入ると,
Stallsはさらに席番号によって左右に通路が分かれており,
D列の左側一行とC列の右側一行とは泣き別れてしまった。

アリの巣のような狭い曲がり階段を下りると客席への扉があり,
ようやくステージの広がる客席空間に出た。
見渡すと3階席まであり,天井は高い。
豪華な広い洞窟といったイメージだ。古いがきれいな劇場だ。

目前に写真で見た舞台が広がる。幕はない。
客席に向かって部屋は斜めに展開しており,
その舞台をゆるやかな弧を描いて客席が囲んでいる。
 
1番前の席は舞台にほとんどついており, 
そこに座る者が通る程度の隙間しかない。
しかも,舞台縁はまっすぐではなく
部屋の部分とヴェランダの部分を分けるためにW字型をしている! 
Wの角にさえぎられて、1番前の席は左右からしか行けない。
面白い!

我々は5列目,6列目に陣取ったが,
この席は後に思えば実にいい席だった。
1番前から2〜3番目はあまりに足元で,
ブレンの視線はその辺りにはめったに落ちて来はしなかった。
しかも,常に首を上に向けていなければならず,
「モンキーボーン」のクリス・カタン状態になる事必至であったと思われる。

ただし,舞台前面での演技の時は目の前にブレンの裸足の足があって,
足の爪などしげしげと観察出来たに違いないし,
いく度か転ぶ場面があり,
その時には苦痛にゆがめた顔が触れられるほどの位置に来ていた。


開幕のブザーが鳴ると,観客がドッとなだれ込んで来て,
空いていた席はすべて埋まってしまった。満席状態だ。
みな,体格の立派な客ばかりで
黒髪の乙女(?)一団は,
たちまち森のクマさんの中に埋まりこんでしまった。

座布団でも持って来るべきであったか・・・等と思っているうち場内暗転し,
なにやら憂うつなギターの音がボロンボロンと一時流れると,
ざわついた場内は一気に静まり照明が灯って,
南部農園邸宅の部屋が明るく浮かび上がる。

舞台の一部。ふ〜む・・・こんなんだったのか〜!!


☆第1幕

舞台中央奥の扉からマギー(フランセス・オコーナー)が小走りで登場。
大変な剣幕で“首なしお化け”(兄夫婦の子供)にドレスを汚された事を
しゃべり続けている。あまりの勢いに息継ぎがあえぐようだ。
淡いグリーンのきれいなレースのタイトドレスを
かなぐり捨てるように脱いでしまい,
白いシンプルなスリップ一枚になってしまう。

舞台右手の曇りガラスの入ったシャワー室と思われる中から,
少しこもったような声が答える。
ブレンの声だ!!

そして,シャワー室の扉が開いて,
白いトランクスに首から白いタオルをかけて,
右手には小さな薬ビンを持って
ブリック(ブレンダン・フレイザー)が片足とびで出て来る。
と,場内に静かなざわめきがはしる。

この登場場面はとても印象深い。
足首のギプスだけではなく,
すねから膝にかけて赤い傷跡がついており,痛々しい。

マギーの奔流のようなせりふを軽い受け答えで流し聞きしながら,
膝の傷の手当てなどしている。
マギーが,映画に出て来るアル中の療養所の話などすると,
「僕は映画になんか出てないよ」という答えに笑いが起こる。

傷の手当てを終えたブリックは
松葉杖を使って左手の部屋の寝椅子まで行き,
首にかけたタオルも取って白いトランクスと松葉杖だけになって立つ。

しかし,正面にすっくと立つと,改めてその大きさに驚く。
肩幅広く,胸にも腕にも全体に適度な筋肉がついて,体の線は美しい。
肌は白くなめらかで胸の毛も薄く気になるほどではない。
腹部は歳相応にいくらか太めだが出てはいない!!
照明にはえて栗色の髪がつやつやと光り,ブルーアイが美しい。

すぐに寝椅子に置いてあった青いガウンをはおってしまう。惜しい!
ガウンのひもを結ばず寝椅子に横たわると,
白い胸元と腹が見えてなまめかしくさえある。 

マギーが
「お酒飲みは容姿が衰えるのに,あなたはそうじゃないのね」
と言うのに答えて
「体はヤワになったさ!」と裸の腹をピシャリッ!とたたいてみせると,
客席からは苦笑のような笑いが起こった。

寝椅子から立ち上がり,松葉杖をやや斜めにかかえこんで
舞台中央奥のキャビネットまで酒をとりに歩いて行く。
松葉杖を使っていながら,優雅なリズムのある歩き方だ。

マギーはハイテンションでしゃべり続けているが,
酒のグラスを手に部屋の寝椅子に横たわったブリックは
ほとんど聞いてない様子。
ひっきりなしにグラスから茶色の液体を飲んでいる。
舞台向かって左側辺りを見ている感じ。

何かにつかれたようにしゃべり続けるマギーが,
ふいにスキッパ−の名を出すと,
無関心だったブリックの目に火が宿る。表情の変化は見事だ。

動揺して立ち上がり,松葉杖を落としたブリックに
マギーが駆け寄って
「私の肩につかまって!」と彼に触れたとたん,
「君の肩にはつかまりたくない!!」と思いがけない大声を出す。
首筋の血管が浮いて見える。
観客はブリックの初めての大声にドキリとする。

立ち聞きしていたらしいメイ(義姉)が入って来て一騒動。
メイが出て行くとマギーは“親密な話”をしようと
窓や部屋のドアのカギを閉めてまわり,ブリックに迫るが,
彼は動揺し,とっさに椅子を突き出してマギーをさえぎる。
あの椅子はあんなに軽い物なのか?と言うくらい
彼の動きは早く闘牛士のようだ。

が,そこへ,ビッグママがにぎやかに部屋に押し込んで来る。
ビッグダディの病気の検査結果はOKだった,と言われて喜んでいる。
ブリックは素早くシャワー室に逃げ込んでしまい,
その後ママが出て行ってから再び姿を現した時は
ブルーグレーのパジャマを着ていた。劇の終わりまで,ずっとこの姿だ。

マギーは,
ビッグママははしゃいでいたが,
ビッグダディはガンで今日は最後のBirthdayだと言う。
グーパーとメイはそれをわかっていて,
この農園をとろうとしている等の話を懸命にするが,
ブリックは部屋の寝椅子に横たわって口笛など吹いている。
澄んだきれいな音で,曲は“My Funny Valentine”だ。

何を話しても反応の薄いブリックに,
マギーは禁句であるはずのスキッパ−の話をしだす。
自殺(?)した元親友スキッパ−の名が出ると,
彼はにわかに豹変する。
立ち上がって,その名を口にするな,と警告するが,
マギーはひるまずスキッパーとあった出来事を言いつのる。
ブリックはマギーの言葉をさえぎろうと
ヴェランダから下に居る者に向かって,
皆上がって来い!と呼びかけたりするが,
マギーの攻撃はやまない。

さらに焚き付けるように,スキッパ−に
「私の夫を愛するのはやめて!!
じゃなければ,彼に愛してる事を告白して!」
と言ったと,ブリックに告げると,
彼はついに逆上し松葉杖を振りかぶって
テーブルの上の物を砕いてしまう。
マギーはそれでもひるまない。
観ている方は彼の危険な様子にハラハラする。

鋭いキリのようなマギーの言葉の奔流を止めようと,
ブリックは松葉杖を槍のように投げつけて,激しく倒れこむ。
舞台縁ギリギリへの転倒で,
1番前の観客は,目の前に横たわるブリックに息も出来ない様子。
苦悶の表情が真に迫っていて,
心も体も傷ついて横たわる様子がたまらない。

そこに,“首なしお化け”の1人が飛び込んできて,緊張が破られる。
びっくりして叱るマギーに「子供が出来ないから嫉妬してるんだー」等と
憎らしい事を言って出て行く。

その後,部屋の寝椅子にようやく戻ったブリックに,
マギーはやさしく「私,今日は妊娠出来る日なのョ」 と言う。
決意に恥じらいが入ってかわいい。
しかしブリックは
「君のそばに行くのもいやな男と子供を作れると思うか!?」
と吐き出すように言う。
マギーはひるまず「そう,それが問題ね,でも何とかするわ」
としれっと答えて場内からは笑いが起きる。マギー,強い!

部屋の外に人々の来る声がする。
マギーを改めて見つめるブリックの姿で舞台は暗転。
暗闇の中をブリックとマギーはすみやかに消える。


第一幕はマギーの奔流のようなセリフに押し流されて終わり,
ブリックはその流れの水底に隠れた,鋭い岩のようだ。
マギーの言葉の挑発に乗って,
その鋭い岩が不意に顔を出して観客を緊張させる。
静かな外見のうちに潜んでいる危険な手負いの獣といった感じが
ブレン上手い!

ざわめきの戻った場内に,我に返って時計を見ると,9時近い。
日によって多少の時間のズレはあったが,
第一幕はほぼ1時間近くあった。

なんのアナウンスもないが,
場内脇には,飲み物のコーナー,アイスクリーム売り等も出て
休憩タイムに入る。
15分位の休憩の後,開幕のベルが鳴り,場内暗転して
ブリックとマギーが素早く先程と同じ位置に戻るのが見えた。


☆第2幕

ビッグダディが部屋に入って来る。
グーパーやメイ,トゥッカ−師など人々が続々と部屋に入って来て
にぎやかにしゃべり出すが,
ブリックは1人ヴェランダの寝椅子に逃げ出して横たわる。
右手には酒のグラス。

そして,この時だ!!
人々の喧騒を横目に庭(客席)をながめているブリックの口元が
「Thank you」 と動いた!!!


6列目左側の黒髪乙女一団をヒタと見つめているブルーの瞳の奥には
いくらかおかしそうな色合いも見える。
照明に映えて,目がキラキラしている。

カ・カ・カレがコンタクトを取っている!!!!
横で見ていたこちらも,心臓がいきなり暴走を始めるほどの衝撃!

その後も,1人1人に目を向けている感じ。
長い時間に感じたが,
ホントはほんのちょっとの時間だったのかもしれない。
彼の視線の先の乙女達は心臓クロコゲの心境だったに違いない。
ビッグママに呼ばれて部屋の中に入るまでそれは続いた!!
しばらく,劇に戻れないほど舞い上がった。

この第2幕は1番長丁場で,1時間10〜15分位あった。

前半の主役は始めに登場したビッグダディだ。
皆が出て行った後,
今日こそは,愛する息子とちゃんとした会話をしようと決心している。
ブリックはグラスの酒を飲みながら,
ずっと大人しく聞くともなく聞いているが,
酒をとりにキャビネットに向かう足元は次第にふらついて来る。
話にうなずく時は眉が上がったり,軽くひそめたり,
表情の変化はとても細かいが繊細で自然だ。

だが,やがてビッグダディは
目前の息子がアル中になりかけている,という事に初めて気がついて,
その理由を問い詰めて行く。ここからがこの劇の最大の山場だ。

問い詰められ,逃れようとするが,
ビッグダディに松葉杖を引ったくられギプスの足を椅子に引っ掛けて
床に倒れこむ。
1日めにはやや不自然に感じたが,翌日は実に無理なく倒れこんだ。
苦痛に顔をゆがめて,痛む足を抱え込む様子が痛々しい。
問い詰められ,攻められてついに彼は吼える。 

「DISGUST!!!」(むかつくんだ!!)

その,腹の底からの絶叫は
劇場の天井も砕け落ちんばかりの勢いでほとばしり出て,
空気がビリビリ振動する。

一瞬の大爆発の後,また大人しい息子に戻ったブリックだったが,
ビッグダディにそのむかつく理由も言え,とさらに問い詰められ,
やがてビッグダディが例のキーワード,スキッパーの名を出すと,
ブリックの表情と態度はガラリと一変する。

たぐいまれな友情だったものを,皆が汚れた目で見ていると興奮し,
まくしたてて手のグラスを部屋の隅に投げつける。
グラスの砕ける音はブリックの心の壁が砕ける音でもある。

気持の昂ぶったブリックは肩をいからし,
一回り大きく見えてくるほどだ。
彼のひっ迫した演技に圧倒され,客席は声も出ない。
この辺りの演技はすごい。

なだめられて,いくらかおちつきを取り戻したブリックだが,
父親は追及の手をゆるめない。
そして,とうとう,
苦痛と苦悶の表情で真実を語り出すブリックの目には
涙が光っていた! 本当に泣いている!! 
どうやったら,あんなに真に迫って泣けるのか!?

こんなにもつらい真実と向き合わせたビッグダディに,
「今日が最後の誕生日なのだ」と言ってしまうブリック。
場内に静かな衝撃がはしる。

ハッとして立ち尽くすビッグダディから逃げるように部屋の隅に行き,
自分もショックで立ち尽くすブリック。

一瞬の静寂。
ブリックは迷子になって当惑している幼い少年のようだ。

気を取り直し,口ごもりながら,
ヴェランダに出て花火を見よう等と言ってビッグダディをさそうが,
ビッグダディはもう聞いていない。

愕然とした様子で,今ブリックの口にした事を問いただす。
なんとか,ごまかそうとするがブリックは嘘がつけない。
黙って立ち去ろうとするが,振り返って,ビッグダディの前にひざまずき
胸にすがって泣いてしまう。
「ごめんなさい!僕は他の人がどんなに生きるか死ぬか,なんて事
気にしてるかわからなくなってるんだ。
死んだも同じ人間だから,真実を言ってしまうんだ。
僕に真実を言わせた。僕も真実を言ったんだ。」

ビッグダディはそういうブリックの言葉にうなずき,
胸に顔をうずめて泣く息子を抱くが,やがて背筋を伸ばし,
振りほどいて部屋の出口までくると,
「どいつもこいつも大嘘つきだ!!」
とののしりながら走り出て行ってしまう。

苦悶の表情で追いすがるように右手を伸ばすブリック。舞台暗転。


ほ〜〜っとため息が出る。手元の時計は10時20分を過ぎるくらい。
長い緊張を強いられる第2幕だった。
さすがに,疲労感も覚える。

立って行って,舞台縁まで行き,舞台そでを覗き込んだりしてみた。
客席脇で,セキュリティーの人がしっかり見ている。
部屋が斜めに展開しているので,奥行きのある舞台だ。
全体が舞台に向かって扇形になっているため,
1番前の席の端と脇の桟敷席の間は
せいぜい人が2人立てるくらいのスペースしかない。

15分の休憩の後,開幕のブザーが鳴り場内暗転。
いよいよ,最後の幕だ。


☆ 第3幕

ビッグダディが部屋を飛び出して行き,
ブリックは苦痛の表情ですがるように手を伸ばしている場面からだ。

だが,暗転でブリックが素早くその立ち位置に着くまでに,
3日目に観た人は舞台の扉にガンッとぶつかる音を聞いたそうな。
真っ暗な中で急いで出れば時にはそういう事もあるのだろう。
その時の苦痛の表情は,さらに真に迫っていたのではなかろーか?

人々が再び部屋に入って来ると,
ブリックはまたヴェランダの寝椅子に逃げ出す。

すっかり,傷ついて消耗している感じ。
何事があったのか気付いたマギーが,
そのブリックの背後から守るように抱きしめる。
と,触れられるのさえいやがっていたブリックが,
もうされるがままになっている。
マギーの手はやさしくブリックの頭を包んで,
本当に彼を愛しているという事が伝わって来る。
マギーが抱いてなでているブリックの髪はとても柔らかそうだ。
あんなふうに彼の髪の間に指を入れてみたい!!

マギーが部屋の中に行ってしまうと,
彼はその後をすがるようなそぶりも見せる。
ブリックの心の壁はなくなったのだ。

部屋の中では
ビッグママにビッグダディの死期が近い事を告知したグーパーやメイが,
この巨大農園の管理譲渡の書類にサインさせようと必死になっている。
醜い争いの声を掻き消すように,ブリックは歌を歌ったりして,
グーパーにがなられる。

この幕は人々の会話(言い合い)が活発で展開が早い。
客席の笑いも多い。
外には雷鳴が轟いて,さすがのブリックも部屋の中に入って来る。
グーパーとメイはブリックをさんざん小ばかにしてからかう。
こういうヤツにこの農園の管理などできるわけない,というわけだ。
マギーが一生懸命ブリックをかばって言い返す様子がいじらしい。

ついに本気で怒ってつかみかかり,メイと小競り合いになると,
キャビネットの前に居たブリックが素早く動いて
メイの両腕をはさむように両手でつかみ,
部屋のはしまでスーッと持ち上げて運ぶとポイッと投げ捨てた。
スゴイ!!
メイはびっくりして声も出ない。
マギーのしてやったりの表情がかわいい。

激しい雷鳴の音がする。この部屋の中の争いの伴奏だ。 
サインをキッパリ拒否するビッグママ。偉い!!
争いの後,ビッグママはブリックに側に来てほしいと求める。
そして,小さい頃とちっとも変わらず可愛いネエといいながら
ブリックをかき抱くが,ブリックの表情には場内ドッと受けた。 

ビッグダディ,再び登場。
この部屋で何があったか察している。
あわてて散らばった書類をかき集めたりしているグーパーやメイに
からかうようなまわりくどい品の悪いジョークを話して聞かせたりする。
客席はおおいに受けている。原作にはないビッグダディの話が続く。

ビッグダディが話したりしている間に
正面に居たブリックの視線がこちらに来た!
まっすぐこちらを見て,
何事か口を動かして言っている様子に心臓大暴走!

彼の目は大きくてキラキラしているので,
視線がどこへ向いているかは見間違いようもない。
思わず,大きくウンウンとうなずいてしまう。
と,すぐに視線ははずれた。
何と言ったのかは分からなかったが,コンタクトには違いない。
目の中に,一瞬やわらかさが宿るのを見た気がする。
そして,気がついたが,
彼はこういう客席との瞬時のコンタクトを楽しんでやっている!!??

ビッグダディには運命を受け入れた者の威厳のようなものが感じられる。
今日は自分のソフト・バースデイだというビッグダディに
マギーは猫のようにひざまずいて甘える。
ビッグダディもまんざらでない様子。

そして,マギーの爆弾宣言,
「私のお腹の中にブリックの子供がいます。
これが,私からの特別なプレゼント!!」

一瞬の間の後,
唖然といった表情でビックダディと顔を見合すブリック。
その表情に場内笑い。
ブリックの顔を見てビッグダディも察した様子だが,
マギーを立たせて
「確かに,新しい命が宿ッている!!」 と認める。

ビッグママも驚いて
「ビッグダディの夢がかなえられるヮ!」と喜ぶが,
当のブリックは心底驚いた様子で「JESUS!!!」
場内笑いが起こる。

ビッグダディとビッグママが出て行った後,
メイは「一緒に寝もしないのに,どうやって子供が出来るの!? 嘘つき!」
と,マギーをなじるが,
ブリックは「誰もが愛し合う時,騒々しい物音を立てるとは限らない。」
と反論する。客席から,また笑い。
言われたグーパーの表情も面白い。
「ひっそりと,愛し合う者もいるんだ」と,
マギーの爆弾宣言を認める事を言う。

兄夫婦が捨てゼリフで出て行った後
2人きりになって,ブリックは寝椅子に枕を持って行くが,
マギーはそれを奪ってベッドへ投げると
続けて素早い動作でキャビネットのお酒を外へ投げ捨ててしまう。

驚いて,大声をあげたブリックだったが,
ベッドの端に座ってマギーにやさしくさとされると,大人しく納得する。
マギーもベッドに座ってブリックにそっと手を伸ばして触れる。
ブリックは拒まない。

「ビッグダディに言った事は嘘だったけれど,
嘘を真実にする事は出来るわ」
と,さらにやさしくブリックに触れながら少しづつそばに寄る。
「なんて,弱い美しい人なの。
あなたに必要なのは,やさしく抱きとめてくれる人よ。
それが出来るのはトタン屋根の猫の他に居ると思う?」
と,やさしくささやく。部屋は暗くなってくる。

「ウン,ほんとだね」ブリックがそっと言う。
マギーとブリックが寄り添うような動きをするうち,舞台暗転。
終わった。


☆ カーテンコール

嵐のような拍手が劇場内に起こる。
明るくなった舞台に両脇奥から看護婦,使用人が走り出て
中央で手をつないでお辞儀すると脇に寄る。
続けて,ドクター,トゥッカー師,子供達も出て来る。
そして,ビッグダディとビッグママ。
ひときわ拍手の音がたかまり,ヒュウヒュウと指笛までする。

最後にマギーとブリックが足取りも軽く中央に走り出て,
手をつないで深々とお辞儀。
一段と拍手の音が高まり,歓声と指笛で劇場内は熱くなる。

ブリックのパジャマのままだが,もうブリックではない。
ブレンダン・フレイザーに戻っている。
劇場内を見渡してものすごく嬉しそうに,
そしてちょっと得意そうに眼が輝いて,
いく度もお辞儀する。私達も力一杯拍手を送る。

観劇2回目のカーテンコールの時,万雷の拍手の中,
晴れ晴れとした笑顔の視線を私達に向けて,
さらにニッコリとしてうなずいてくれた!!
1人1人にきちんと視線を向けて,うなずいてくれたのだ!!!


ああ,しかし客席にセキュリティが出てしっかり見ているので,
写真のフラッシュはたけない。
一同,手をつないでお辞儀の後退場。
拍手は鳴り止み,一斉に帰り仕度のざわめきが満ちる。

時計は11時10分ほど。

一緒に観劇した仲間と
「見てくれた!うなずいてた!!見てたねー!!!」
と手を取り合って飛び跳ねてしまう。
もう,気持はすっかりハイになっているので何にも恐くない。
出待ちしよう! と走り出て建物裏のステージドアに向かった。

舞台観劇はこれでオシマイ。

カーテンコールの笑顔!(天井の扇風機も見える!)

って肝心なとこでやめるな!ですネ。

ま,結論から言えば,出待ちは失敗でした。

ブレン以外の出演者(フランセス・オコーナーさんまでも!)は
出会えたのですが,
肝心のブレンには会えずじまい。ものすごくガードが固い!
観劇の後,1時間近くねばってもダメで,
しまいに劇場の係りのお姉さんまで出て来て
「彼はもう居ないわよ」なんて言って,帰って行ってしまう。

連日,空振りに終わって,
後で検討すると,案外,正面から出ていたりして説,
隣のアポロ劇場のドアから出ている説,
毎日出る場所を変えている説等出ました。
そのいくつかの組み合わせとも考えられます。
窓シート張りのアヤシイ車が
日によって劇場裏に止まっていたり,
劇場正面に止まっていたりで,
運転手がさかんにトランシーバーで連絡を取っている様子で,
スーッと移動して行ったりしてました。
その車も日によって違っており,
これは1ヶ月くらい,100人チームになって張り込みしないと,
どーやらムズカシイようです。

残念でした。

(管理人注:お疲れさまでした!
でも、ブレンダンとアイ・コンタクトとれたし、
"Thank you!"まで言ってもらえて良かったですね!)





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