■秋 霖■


霖霖と雨が降りつづく。




行き交う車の轟音と 次々と跳ね上げられる水しぶき。

それがキミの言葉を かき消した。




頬に添えられた手は 熱を失い とても冷たく

意味あるものだったはずの言葉は

白い吐息に姿をかえ

ボクの周りを漂いながら 消えてしまう。




雨を防ぐはずの道具が 吹き込んだ風に煽られ

バランスを崩し 大きく傾いた。




つかみ取りたい カタチのないそれを

キミの言葉の微かなカケラでもいいと

吐息が消える瞬間 ボクは望んだのに……




ボク達は 秋の雨に打ちすえられ

ずぶぬれになったまま ただ 立ちつくすだけだった。




秋霖
sentence/illustrating
sayumi watayuki






霖霖とは雨が長く降り続いて、止まない事。
秋霖とは、秋の長雨の意です。
気象にまつわる言葉には、どこか古風さが漂っていて
ひびきも美しく、とても好きです。
2002.10.22.up
主線/丸ペン
着色/PSP