どんな病気? 原因は? 症状は? 合併症は? 治療は? お家ではどうする?
咽頭扁桃(アデノイド)とは? のどの周辺には多くのリンパ組織があります。(咽頭扁桃(アデノイド)もその一つで、鼻の奥のほう、口蓋垂(コウガイスイ=のどちんこ)の裏側にあります。 「扁桃(実は扁桃組織には線組織はないので「扁桃腺」と呼ぶのは正しい呼び方ではありません)」はリンパ組織からなり、鼻や口から侵入する病原体に対する免疫を作ったり、病原菌が体内に侵入するのを防ぐ働きをもっている。「扁桃」は乳児期以降に生理的に大きくなり、、幼児期から小児期に最大となり、思春期にはほぼ小さくなります。これは真っ白な免疫システムに、乳児期以降色々な病気にかかり免疫システムをたくさん書き加えるために活発に活動しているためです。ですから子供の扁桃は大人より大きいのが普通で、大きいだけでは病気ではありません。 しかしこの咽頭扁桃(アデノイド)の肥大が原因で、鼻や耳、のどなどに慢性の炎症を引き起こすことがあります。これを咽頭扁桃増殖症(アデノイド)と呼んでいます。 |
咽頭扁桃(アデノイド)は鼻のず〜っと奥にあり、ちょうどのどちんこの裏にあって、口からはみることはできません。この場所は鼻呼吸の際の空気の通り道や、耳と鼻の奥をつなぐ耳管の入り口があります。咽頭扁桃(アデノイド)は乳児期以降に生理的に大きくなり3〜5歳前後に最大となり、10歳ごろから小さくなり始め、思春期にはほぼ消失します。この咽頭扁桃(アデノイド)の生理的肥大が大きくなったり、感染で咽頭扁桃(アデノイド)が大きくなることで鼻のとおりが悪くなったり、耳管を圧迫したり、のどの異物感が現れたりします。 |
咽頭扁桃(アデノイド)の前方にある鼻では、鼻詰まりや鼻呼吸の障害による口呼吸(口をぽかんと開けている)、夜間のいびきや睡眠時無呼吸症候群、睡眠障害、鼻水の排泄障害による鼻炎や副鼻腔炎(ちくのう)の慢性化が起こります。 下方にあるのどでは、食事摂取困難やいびき、咽頭扁桃(アデノイド)のある部分の側方には耳管があるので、中耳炎の慢性化や難聴などが現れます。 咽頭扁桃(アデノイド)の肥大の程度や感染の強さによって出現する症状は様々です。 アデノイド症状が長期に持続すると睡眠が浅く、発育異常を起こすこともあります。耳や鼻の局所だけでなく、全身的にも影響を及ぼし、鼻呼吸が原因と考えられる鼻性注意不能症、耳管狭窄による難聴に基づく耳性注意不能症、胸郭異常、夜尿症、舞踏病、てんかん、吃音症などの誘引にもなることがある。 |
滲出性中耳炎、副鼻腔炎、下気道の炎症症状(喉頭炎・気管支炎) これらの病気が治りにくくて、アデノイドが発見されることがあります。 |
咽頭扁桃(アデノイド)は年齢によって肥大度が異なり、どこまでが正常範囲でどこからが病的であるかを決めるのは難しい。さらに免疫に関する重要な器官であること、3〜5歳をピークに自然に退縮することを考慮し、一過性の症状であれば経過観察をしながら、小さくなるのを待つ。 しかし咽頭扁桃(アデノイド)の肥大が原因で、周囲器官の耳や鼻のどに慢性の炎症を引き起こしている場合にはアデノイド切除術が必要になることもある。 アデノイド切除術は小児では全身麻酔が必要。アデノイドを切除した創部は10日〜2週間で完治する。 |
アデノイドが原因で起こっている鼻や耳やのどの病気の治療は医師の指示に従いしっかりと行います。その状態でアデノイドの肥大の程度や病気の進行の程度、治り具合を見て、手術が必要か決めるので、アデノイドが原因で起こっている病気の観察を十分行ってください。 風邪をひくと咽頭扁桃(アデノイド)以外の扁桃の腫れも加わり症状が悪化することも考えられるので、普段から手洗い・うがいを励行し、体調管理を十分行いましょう。 アデノイド切除術を受けたあと、子供は癖で口呼吸をし、口をぽかんと開けてしまいがちです。口を閉じることを習慣づけるようにしましょう。 鼻呼吸をするためには「おしゃぶり」が有効と言われています。家にいる時だけでも「おしゃぶり」を加えることによって、口がふさがり、鼻呼吸を促す効果があります。日本ではこれまで授乳やおしゃぶりを早くに辞めさせる傾向がありましたが、最近では「鼻呼吸の重要性」言われるようになり、「おしゃぶり」」が耳鼻科でも推奨されるようになりました。 |
(2003.10.20更新)