どんな病気? 原因は? 症状は? 治療は? お家ではどうする?
網膜の血管の未熟性に基づく疾患。在胎週数34週未満、出生体重が1800g未満の低出生体重児に起こり易く、生後3〜6週ごろ発症する。 ヒトの眼は妊娠第3週ころにできはじめ、眼球の形がほぼ完成するのが7週ごろ。光の刺激を脳に伝える神経の膜である網膜もこの時期には形成されており、そこから伸びる視神経も神経管を伝って大脳にまで到達しているが、網膜を養う血管は妊娠16週以降に視神経乳頭部から網膜の外側へと発達し始める。この視神経乳頭部は中央よりやや鼻側にあり、鼻側の網膜血管は妊娠第8ヶ月くらいには網膜の端まで発達し終わるが、耳側の網膜血管は長いため9ヶ月以降にならないと発達し終わらない。 したがって多くは耳側の網膜に病変が起こる。 |
胎児が予定より早く生まれてしまったため、網膜血管の発達が終わっていない為に生じる。 高濃度の酸素の投与も要因の1つと考えられているがこれだけが原因ではない。 高濃度の酸素はこれから伸びていこうとする網膜の血管を収縮させます。これがある程度以上続くと血管の先端部が閉塞してしまいます。 子宮の中から体外にでるだけで、赤ちゃんがさらされる酸素の濃度は2〜3倍になります。これだけでもまだ発達途中だった網膜の血管は収縮します。未熟児の場合多くは保育器の中で高濃度の酸素が投与されるのでさらに血管が収縮し、閉塞を起こしてしまうわけです。保育器の中にいる間は高濃度の酸素のために、血管が閉塞しても、酸素は十分行き渡り、血管ができていない部分の網膜も酸素が足りている状態になります。しかし、酸素の投与がなくなると、血管のない部分の網膜は酸欠状態になってしまいます。 酸素不足を解消するために、血管を伸ばして酸素を供給しなければならないのですが、延びるべき血管が閉塞してしまっているために、その周囲から新生血管という、未熟で異常な血管が周囲に向かって伸びて行きます。この新生血管は非常にもろく破れやすいので、出血をしたり、重症例では、伸びていくときに、線維性の組織を伴って伸びてゆくので、これが収縮して網膜を引っ張り網膜剥離を起こして失明することもあります。 しかし、ほとんどの場合は途中で進行が止まり自然に治癒します。 |
網膜の中で起こる変化なので、外からは全くわかりません。 網膜症をおこした赤ちゃんのうちの5%くらいは、急激に病状が進んで網膜が剥離し失明するラッシュ型というタイプで、このタイプは失明を予防することは困難です。 出生体重が1000g未満で生存した児の4%では、血管成長の異常が進んで網膜剥離を起こし出世以後2〜12ヶ月以内に失明する。 未熟児網膜症が治癒した小児には、高頻度で近視・斜視・弱視が起こる。どの程度の視力障害がでるのかは、瘢痕の程度によると考えられています。 |
未熟児網膜症の発症原因は高濃度酸素だけに検定することはできませんが、酸素の量を制限することで患者数が激減したことから、酸素投与の適正管理による予防効果は高いと考えられています。小さな命を救うために酸素は必要です。重症化を防ぐように酸素管理を行っています。 また点滴の量も要因のひとつと考えられています。体内にはいる水分の量が多いと網膜が浮腫(むくみ)を起こし網膜剥離を起こしやすくなると言われています。 NICUでは、小さな命を、障害を残さないように救うために酸素の管理、点滴の管理を行っています。 生後2〜3週間ぐらいから定期的に眼底検査を行い、網膜症を発症しているかどうかや、進行の程度を検査します。 軽症の場合は自然に治癒することが多いので、治療を必要とすることはあまりありません。 予防がうまくいかなかった場合は、網膜症の進行を抑えるために光凝固法・冷凍凝固法という眼科手術が多く行われます。 <光凝固法> 患部にレーザーを光線を当て、網膜のたんぱく質を凝固させることで、病気の広がりをとめる治療方法。 <冷凍凝固法> 液体窒素で眼球の外側からマイナス60〜70度の低温を加える方法。 いずれの治療法もまだしっかりした治療効果の判定が行われていないので効果に関しては論議がある。また極小・超未熟児の未発達な眼の組織をレーザーや液体窒素で固めてしまうことが将来の眼の機能にどのように影響を及ぼすかと言う点もまだはっきりと確認されていません。 定期的に検査を受けあった、時期にあった治療を受ける必要があります。進行具合によって治療法が変わります。
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網膜症は生まれたときの体重や、時期、全身状態などによって、一人一人その程度は大きく異なり、その病変も日に日に変化をするので、必要な時期に、速やかに眼底検査を受けることが大切です。 網膜血管の収縮と増殖は、個人差が大きいが2〜3ヶ月がピークといわれ、生後半年を過ぎるとそれ以上病気の進行はおこりにくいと言われていますが、医師の指示があった場合は必ず定期検診を受けてください。 適切な弱視治療によって視力の低下を予防することができますから、眼科の定期検査が必要と言われ場合は定期的に検査を受けましょう。 視力の低下に対してめがねによる矯正が必要になります。小さなうちからめがねはかわいそうと思われますが、視力の悪いままいると、どんどん眼を酷使し、さらに視力の低下を招きます。指示通りにめがねをかけ視力の低下を防ぐ必要があります。 |