鎖肛

どんな病気? 症状は? 治療は? お家では?

どんな病気?

 生まれつき肛門ができなかった病気。
 肛門の近くが閉鎖している低位鎖肛、その奥が閉鎖している中間位鎖肛や高位鎖肛に、腸の閉鎖している位置で分けられる。
 肛門の閉鎖の状況によって、1.肛門の狭窄(肛門の穴が極端にせまいもの)、2.膜様の閉鎖(薄い 膜で肛門が閉じているもの)、3.高位での閉鎖(肛門もなく腸もおなかの中で閉じているもの)、4.肛門は開いているが直腸が閉鎖(見かけ上の肛門はあるが途中で途切れている)、の4つに分類される。低位鎖肛が約半数で400人に1人の割りで発症する。消化管の先天的異常の中では頻度は最も高い。お尻を観察すればわかる場合もあり、多くは生まれたときに発見される。

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症状は?

 排便ができないため、おなかが膨れて、胆汁を含む嘔吐をする。
 しばしば、ろう孔(普通はない器官や粘膜・皮膚に通じる穴)を伴い、そのろう孔から胎便が排出されることがあって発見が遅れることもある。
 症状はろう孔がないときにもっとも激しく、胎便の排泄がなく、腹部膨満(おなかが膨らんでパンパンになる)や胆汁(黒っぽい消化液)を含んだ嘔吐をする。

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治療は?

 肛門の出口の近くで腸が閉鎖している低位鎖肛の場合は生まれたときに手術で肛門を作る。
 ろう孔から便が排出されているときには、そのろう孔がふさがってしまわないようにブジー(穴がふさがってしまわない様にするための細長い管状の器具)を挿入したり、浣腸によって排便を促し、肛門を作る根治術を待つこともある。直腸の端が肛門から遠かったり(中間位鎖肛や高位鎖肛の場合)、膣や尿道にろう孔がある場合は生まれたときに、一時的におなかに人工肛門(ストマ)を造設し、6ヶ月〜1歳頃になって、肛門括約筋の発達した時期にお尻に肛門を作る手術をする。肛門を作る手術の後は通院して、排便訓練をする。
 鎖肛は新生児の緊急手術の対象となる疾患です。

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お家ではどうしたらいい?

 根治術の時期は鎖肛の型によって適切な時期が選ばれます。ろう孔がないときは人工肛門(ストマ)を作る手術をします。この人工肛門は一時的なもので、お尻に肛門を作るまでのあいだ、肛門の代わりをするものです。直腸の閉鎖している位置にもよりますが、だいたいおなかの左側の皮膚に腸の一部を出します。イメージとしては肛門がおなかの皮膚の上にできるようなものです。これによって排便ができミルクも普通に飲むことができるようになります。

 人工肛門の周囲の皮膚は排便により、汚れやすくかぶれやすいので、常に清潔を保ちかぶれを予防するようにします。
 人工肛門のケアの仕方は、病院によって大人と同じように皮膚保護剤をつけるところや、そうでないところと、いろいろあるようなので、病院の指示にしたがいましょう。

 お尻に肛門を作る根治術が治療の全快ではなく、その後お尻から排便ができるように排便訓練が始まります。長く時間がかかりますが、必ず普通に排便ができるようになるので、あせらずがんばりましょう。

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