やけど(熱傷・火傷)

どんな外傷? なぜ起こる? 症状は? 治療は? 応急手当 お家では

どんな外傷?

 皮膚に高温が作用したために起こる傷害。皮膚症状が中心だが、熱傷を受けた面積が広ければさまざまな全身症状があらわれる。
 炎による熱傷は、熱湯に比べて熱傷が深く重症であることが多い。

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なぜ起こるのか?

 家庭では熱い液体に触れて起こる熱傷が最も多い。沸騰したやかんのお湯をひっくりかえす、熱い味噌汁やカップラーメンをこぼしたり、熱いお風呂に落ちたり、アイロンに触れたりと、日常の生活の中で多い外傷のひとつである。特に子供の事故としても多い。
 炎による熱傷では、花火の火が衣服に燃え移ったり、火事によるものが多い。
 また、見落としがちなのが、低温やけどである。湯たんぽやカイロなどのそれほど熱くないものに、同じ場所が長時間触れていても重症のやけどのおこすことがあるので注意が必要である。

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症状は?

 熱傷の範囲が狭く、軽度のものであれば皮膚症状(赤くなったり・はれたり・痛み)のみで数日で治るが、範囲が広く深いものでは皮膚症状のほかに、血圧の低下やショック状態などのさまざまな全身症状が現れる。
 熱傷の程度は熱の温度と皮膚に作用する時間によって決まる。(ex.熱いアイロンに一瞬触れた場合ではT度。それほど熱くない湯たんぽに長時間触れていた場合、U度といったように温度と時間が作用する。)
生命の危険度
(重症度)
受傷面積とその深さによって決まる。(人の手のひら1つ分が約1%)
成人では受傷面積が体表面積の40%以上で生命の危機、20%以上でショックをおこす危険があり、乳幼児や老人では30%以上で生命の危機、10%以上でショックをおこす恐れがある。
(人の手のひらの大きさが約1%。乳幼児の体表面積の10%は大人の手のひらの2つ分に相当する。)
受傷の深さ T度熱傷 U度熱傷 V度熱傷
症状 ・発赤(赤くなる)腫脹(はれる)がある。
・痛みがある。
・数時間から数日であとを残さず治る。
・通常医療の対象とはならない
(海水浴で見られる日焼けはこれに入ります)
・皮膚が赤くなる。水泡ができる。
・受傷後数時間たってから水泡ができることもある。
・感染をおこさなければあとを残さず治る。
浅いもので10日〜2週間
深いもので3〜4週間
・皮膚の深いところにまで及ぶ熱傷。
・受傷部は白くなってひどい時には焦げている。
・痛みを感じる神経も焼け死んでいるので痛みは感じない。
・受傷部の皮膚は焼け死に落ちてしまうので、あとを残して治る。
やけどの重症度
重症 ・U度の熱傷が30%以上
・V度の熱傷が10%以上
・熱傷の程度は軽症でも、高温蒸気やガスを吸い込んで気道にまで熱傷が及んでいるもの
中等症 ・15〜30%のU度の熱傷
・10%以下のV度の熱傷
軽症 ・15%以下のU度の熱傷
・2%以下のV度の熱傷

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治療は?

 やけどの傷は感染から見を守る皮膚が損傷をうける上に、血液の通わない死んだ組織が表面にあるために感染をおこし易い。ひとたび感染をおこすと傷が深くなり治療期間が延びるだけでなく色素沈着やケロイドを残しやすくなる。そのため、できるだけ傷を清潔にし、新しい皮膚が早くできるように治療を行う。
 受傷部分が深く、広範囲な場合は、皮膚の治療のほかに全身の治療が必要となる。
 熱傷は受傷直後の応急処置が最も重要で、初期治療が遅れるとキズは深くなり、治療期間も長くかかることになる。また受傷の程度によって治療方法も変わってくる。
 子供の場合は色素沈着・瘢痕・ひきつれ・関節の変形・ケロイドが起こりやすい。
程度に応じた治療方法
熱傷の程度 T度熱傷 U度熱傷 V度熱傷
治療法 ・普通は医療の対象にならない
・皮膚の赤み(発赤)、痛み、ひりひり感には油性軟膏(オロナインなど)や副腎皮質ホルモン軟膏を塗布する。

・T度に見えても数時間たってから水泡ができることもあるので注意する。水泡ができたら受診の対象となる。
医療の対象となる。
・水泡はできるだけ破らないようにする。
・水泡の中にたまった液体は清潔な針で穴を開けて抜く(破れてむけてしまうのを防ぐ)
・水泡が破れてしまったり、膜を除去した場合は、特殊ガーゼ(ナースバン、リバノールガーゼ)を使い傷にガーゼがくっつかないようにする。
・感染を防ぐため抗生物質入りの油性軟膏を塗布する。
・ガーゼをはがすときには新しい皮膚をガーゼと一緒にとってしまわないように、消毒液などでガーゼを湿らせてゆっくりはがす。
・面積が小さいと周囲の皮膚が伸びて傷が治ることもあるが、皮膚組織が焼けてなくなっているので、原則として皮膚移植が必要。
・感染防止のため強力な外用抗菌剤を塗布し、時期を見て皮膚移植を行う。

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応急手当 (フローチャート) ネットスケープでご利用の方は申し訳ありませんがみられません。

まず十分に冷やす。
  
高温のものに触れた ・直接流水で5分以上冷やす。(目安としては痛みを感じなくなるまで)
・直接流水をあてられないときは、アイスノンなどで冷やす。


熱湯を服の上からかぶった場合
お風呂に転落した場合
・肩にかかったお湯が太ももまで流れていたり、思わぬところに熱湯がかかっていることもあるので注意が必要。
・水泡がやぶれたり、皮膚がむけてしまう危険があるので、靴下やオムツを含め直接皮膚に触れているものはとらずに流水(シャワーが便利)で冷やす。
・パニックになっているので、はさみで服を切るのはやめましょう。
・やけどの範囲が広範囲に及ぶ場合は、このまま流水で冷やすと体温が下がりすぎるので、ぬれたバスタオルで全身をくるみ、その上から毛布で保温し、受診するか救急車を要請する。

受診の目安
 広範囲のやけど・顔や指、性器のやけど・水泡ができたもの受診する
*乳幼児は体表面積の10%以上のやけど(大人の手のひら2つ分)でショックをおこすことがある。
*口や鼻の周りのやけどは、表面はたいしたことがなくても熱いものを吸い込んで内部が外見よりひどいことがある。 
*手や指の場合はくっついてしまうことがある。また指先などのやけどは、高温のものと接する時間が短くても熱の作用が一方向からだけでなく多方向から受けるので、重傷になりやすい。
*性器の周りは、尿道口がくっついて、おしっこが出なくなったりすることがある。
*水泡ができたものは破れると感染をおこす可能性がある。

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お家ではどうする?

 まずはやけどをしないように予防することが大切です。ポットややかんなどの置き場所に注意をする。
最近の暖房器具は全体が熱くなることは少ないが、噴出し口は熱くなることがあるので注意をする。熱くならなくても長時間同じ場所に温風があたっていると低温やけどの危険もあるので注意する。
 お風呂のふたも温度が上がるに従いやわらかくなり、熱湯の中に転落する事故もありうるので、お風呂場であそばせないようにする。
 花火やバーベキューなどで火を使うときは、バケツに水を用意しておくとよい。
 特に幼児に多い事故であるため、最新の注意が必要である。

 やけどをしてしまったら、まず水で十分に冷やし、その程度にあった治療をする。感染を予防するために、やけどをした部位に味噌やジャガイモのすったものなどをつけてはいけない。

 はじめはT度の熱傷に見えても、後から水泡ができることもあるので、十分注意し観察する。

 水泡がつぶれてしまった場合や皮膚がむけてしまった場合は、軟膏をたっぷりと(ケチってはいけません)塗ってもガーゼが傷口についてしまうので、特殊ガーゼ(ナースバンやリバノールガーゼなどの名で傷につかない加工をした物が売っている)をあて、新しくできてきた皮膚をガーゼとともにはがしてしまわないようにする。またガーゼが傷についてしまっているときはムリにはがさず、消毒液などでビショビショニなるまで湿らせてからゆっくりとはがす。

広範囲のやけどはどんなに十分な治療をしても、死亡率が高い外傷であるし、軽度でも醜い傷跡を残しやすいので予防がもっとも大切である。

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