出血 |
妊娠中の異常症状の中でもよくみられる症状で、放置すると重大な結果を招くことがある。 出血を起こす疾患はいろいろあるので、たとえわずかな出血でも受診すること。 特に流産との鑑別には基礎体温が有効なので、妊娠前からつけておくと役立つ。(高温期は妊娠第4ヶ月目くらいまで続きその後だんだんと低下する) <妊娠初期> 切迫流産・進行流産:妊娠初期におこる性器出血を主症状とする疾患のうちもっとも多いもの。流産が進行すると、多くは下腹部痛を伴い出血量が増し、ついには胎芽・胎児を排出する。 進行流産の場合出血に伴い、基礎体温の急激な下降を伴う。 胞状奇胎:妊娠前半に起こることが多い。出血は暗赤色のことが多く、断続的で少量で始まり、次第に増量して持続的になりまれに大量出血を起こす。エコーにて胎のう内に胎児が確認できない。 子宮外妊娠の中絶:予定月経を1〜3週間過ぎた頃から少量のものが断続的におこる。そのうち下腹部痛が現れ、貧血症状も現れてくる。 月経様出血:妊娠後最終月経から27〜35日目ごろ(予定の月経の頃)に月経様の出血を見ることがある。量・持続日数とも月経より少ないが、月経と間違うことがあるので、量・持続日数を確認し、その後の経過を注意して観察しなければならない。通常1〜3日で自然に止血する。 <妊娠後半期> 前置胎盤:痛みもなく、発作性・断続性に新鮮血(真っ赤なきれいな血)を出血する。 常位胎盤早期剥離:子宮から外への出血は比較的少ないかほとんどないが、子宮内での出血が大量におこっているため急性貧血状態を起こし、全身状態が重篤になる。 子宮破裂:主に、体内への出血で、体外の出血は見られないことが多いにもかかわらず、強い痛みやショック症状をともなう。 帝王切開の既往のある妊婦、頻回の中絶手術、子宮筋腫の摘出術を受けた妊婦などは特に注意が必要。 早産:通常のお産と同じようにおこるが出血量は特に多くない。陣通様の痛みを伴う。 <妊娠の全期を通じての出血> 頸管ポリープ:出血は少量であるが、妊娠時に子宮が充血するため非妊婦よりは出血量が多くなる。そのまま様子をみることもあるが、安定期に入って切除する場合もある。 子宮膣部びらん:妊娠するとびらん(ただれ)が増強・増悪して出血傾向が高まる。性交時や排便のため力んだときに出血することが多い。出血量は普通少量。 子宮頸がん:接触出血として現れることが多い。 内診の刺激によるもの:内診の刺激によって起こるもので、膣鏡等の機械の接触が原因と思われる。通常1両日中に止血し、量も少量である。 |