ピアノ組曲(日本組曲)

<オリジナル> 

@  遠藤郁子    TYCY−5369,70  1993.5.1

A  堀陽子     MTWD-99009 1990.12.10

<管弦楽版>

B  広上淳一=日本フィルハーモニー交響楽団  KICC176  1995.8,9

C  小林研一郎=新交響楽団         TYCY5424,25 1994.7.23

D  井上道義=新日本フィルハーモニー交響楽団 FOCD3292  1991.9.17

<二十五絃筝版>

E  野坂恵子=佐藤由香里  TYCY−5488 1996.1.29

<弦楽合奏版>

F 兎束俊之指揮 東京音大アンサンブル・エンドレス MTWD-99009 1998.10.14

 

 

この曲はだいぶ昔から全音ピアノピースに入っていて楽譜だけは見ることが

できた。今から20年ぐらい前のことと記憶しているがNHK教育でやっていた

ピアノ教室とかいう番組があって、たしか講師は館野泉?か井上直幸?(記憶

が定かでない)だったような気がするが、その中でやる練習曲に「七夕」があって、

その模範演奏を聴いたのがこの曲の実音に接した最初である。伊福部の曲を

レッスンにいれるとは随分マニアックな先生だなあと当時は思ったものである。

この曲も「オホーツクの海」と同じくオリジナルより管弦楽バージョンの方が有名

になってしまった。さて演奏であるがオリジナルは遠藤盤と堀盤の2種類が出て

いる。遠藤郁子は私が大学1年のときグリーグのピアノコンチェルトを競演させて

いただいた思い出深いピアニストである。まあよくもこんな下手な学生オケにお付

き合いいただいてとその当時は恐縮したものだった。演奏の方はオーソドックスだ

が、もう少し抑揚があってもいいのではと思う物足りない演奏だ。堀盤は出だしは

おっと思う演奏だが全体的にいまひとつという感じだ。それに比べるとオーケストラ

版は素晴らしい演奏が目白押しだ。オーケストレーションも管弦楽法の権威伊福部

の面目躍如たる力作だ。ピアノと比べると表現がより多彩で複雑になっておりこの曲

の魅力を十二分に引き出しているといえよう。さて演奏だが「七夕」で選ぶならAの

広上=日フィルだが、佞武多の迫力で選ぶならCの井上=新日フィルだ。どちらも

いい演奏なので七夕のすばらしいA広上=日フィルをベストとして挙げたい。

最近リリースされた弦楽合奏版はなかなか聴き応えのある名演奏だ。特に出だし

の盆踊りと3楽章の演伶がいい。ただ全体的にお上品というかエレガントな演奏で

イムジチがヴィヴァルディ弾いてるみたいな感じがするのが残念といえば残念だ。

もうすこし松やに飛ばしてきたない音出してもいいのでは?と思うのは私だけか。

しかし何度聞いても「七夕」は名曲中の名曲だ。この曲には日本人の忘れてしまった

大事なもの、たとえば情緒とか自然への畏敬の念とか純粋な気持ちとかを思い出さ

せてくれる力がある。私の家の庭からは周りが明るすぎて見えない銀河の流れを

星のよく見える田舎で静かに眺めたい気持ちにさせてくれる。

  

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