交響的エグログ(1982)
@ 井上道義=野坂恵子 京都市交響楽団 TYCY-5926 1992.7.17
A 井上道義=野坂恵子 東京交響楽団 FOCD3143 1983.210
二十絃筝とオーケストラのために書かれた協奏曲である。「エグログ」とは「対話
形式をとった田園詩」というような意味だそうだ。筝とオーケストラという異文化の
組み合わせではあるが、全く違和感の無い傑作に仕上がっている。伊福部は現代
邦楽の第一人者とでもいうべき野坂恵子の為にいくつもの筝曲を作曲している。
その一番最初の曲が「物云舞」だ。「物云舞」は昭和50年代にFM放送でいち早く紹介
されており、かなり早い段階から私も耳に触れることが出来た。この後、本作「交響的
エグログ」、「踏歌」、「トッカータ」、「日本組曲」、「幻哥」、「箜篌歌」、「胡哦」、「琵琶行」
と続き伊福部昭の作曲活動後期の大きな柱へと成長していった。野坂恵子と伊福部の
関係はブラームスとR.ミュールフェルトとのそれに似ている。80歳を越えた巨匠に更なる
創作意欲を湧き立たせる天才音楽家野坂恵子は現代のミュールフェルトといえるだろう。
さて、演奏であるが@の井上=野坂、京都市響がベストだ。演奏の完成度が高く、細かい
部分も丁寧に演奏されている。「1000年の古都」と筝とはやはり相性が良いのだろうか。
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