ギリヤーク族の古き吟誦歌(1946)
@ 成田絵智子=三浦洋一 SJX-1041 1974.4.6
A 藍川由美=斉藤京子 LD32-5078 1988.3.4
B 藍川由美=遠藤郁子 30CM-391-2 1995.2
C 宇佐美瑠璃=石井真木指揮 新交響楽団 KICC377/8 2002.5.19
(管弦楽伴奏版)
ギリヤークというのはサハリンの一民族である。大道芸のギリヤーク〇〇
とか殺し屋の「ギリヤーク兄弟」などとはまったく関係無い。ギリヤークと
いう民族がいることを知ったのはこの伊福部の作品を聞いてからである。
全音から出版されている歌曲集に若干解説が載っていたが、もうすこし
詳しく知りたかったので昭和56年に北海道を旅行した折ギリヤーク関連の
資料を探してみたことがある。網走の書店で見つけたのが山音文学会と
いうところから出版された「ギリヤーク民話」という本だった。はなしはアイヌ
の昔話と比べると荒削りで残酷なはなしが多い。司馬遼太郎の「街道を行く」
にも登場する網走郷土博物館の米村館長が解説を書いている。また、北海道
出版企画センターから出ている「ギリヤークの昔話」も同様の話を集めた本だ。
興味のある方は手に入りやすい本なのでぜひ一読をお勧めしたい。さて、この
曲の中で一番の聞かせどころである2曲目の「苔桃の実拾う女の歌」、ここに
出てくるコケモモとはどんなものだろうと永らく思っていたのであるが羅臼岳に
登山した際実物を見ることが出来た。実は赤いツブで、ホカ弁によく入っている
小粒の梅干しくらいの大きさのものである。食べてみるとすっぱかった。地元の
人はこれを採って(国立公園内だから本当は採っちゃダメなんだけれど)焼酎に
つけてコケモモ酒として楽しむらしい。私も岩尾別のユースホステルで飲ませて
いただいたことがある。ちなみに知床ではコケモモのソフトクリームというのを
売っていてかなりの人気だ。ただ本当にコケモモの実を使用しているのかは疑問
である。さて、演奏だが@成田=三浦がオーソドックスな演奏でお勧めである。ただ
成田は3曲目の「彼方の河び」を1オクターブ下げて歌っている。多分音域が高すぎ
て声が出なかったのであろう。藍川由美はキチンと楽譜どおり歌っている。藍川の
演奏ならば新盤の方が断然良い。こちらもすばらしい演奏である。最近出たCの
管弦楽伴奏版は伊福部の編曲ではなく師弟の手による編曲版だ。個人的な趣味から
いうとピアノ伴奏のほうが好きだ。アイアイゴムテイラはまさに芥川らしいオーケストレ
ーションで涙が出てくる。
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