北海道一の秘湯 黄金の湯 探検記 19年7月8日

 

先日テレビ東京でジャガー横田夫妻が挑戦していたが、我々が行ったのは

その2週間後。テレビだとわずか15分ほどの放映だったが、あれでは真

の大変さが伝わらないと思った。一応「探検記」とはしているが正直人に

はまったくお奨めできないところなので、そこのところは最初にお断りし

ておく。はっきり言ってやめたほうがいいです。ものすごく大変です。行

くにはそれなりの覚悟が必要です。

 

黄金の湯の歴史

黄金の湯(金花湯とも)はある意味人為的に作られた秘湯といっても過言で

はない。なぜなら1980年代まではかなり簡単に行くことが出来て、しか

もかなり立派な石造りの露天風呂が組まれていた。このへんのところは島牧

のユースに写真があるので見ていただきたい。もともと黄金の湯周辺は林業

が盛んで、木材の運搬のためかなり広い林道が整備されていた。いまのコイ

クチ林道などはその昔11トントラックが頻繁に往来していたというから驚

きである。ところが木の切り出しが何らかの理由でされなくなったそうで、

そうすると林道も整備されずに荒れてくるので車も入れなくなる。林道の随

所でがけ崩れが発生し危険なため、ついに千早川温泉からの道から林道への

分岐のところのゲートを常時閉鎖するようになってしまった。こうなると入

れるのはオフロードバイクぐらい。それも道がいくつも枝分かれしており簡

単には辿り着けない。歩いていく場合はこの林道コースは距離にして27K

ほどあるのでまず無理。河鹿の湯から泊川沿いの廃道を歩くことになる。

今回我々が行ったのもこのコース(ジャガー横田も)であるが、この廃道、

とても一筋縄でいく代物ではないのである。

 

所要時間

まず我々は山登りの経験はそこそこあり脚力にも自信があるのだがそれでも

往路5時間

復路5時間半

温泉滞在1時間

合計11時間半かかってしまった。だから基本的に12時間見ておいたほうが

無難。だから最低朝の6時には出発しないと駄目。だから6月から8月ぐらい

までしか挑戦できないと考えたほうがいい。

 

装備

地図:2万5千分の一「賀老」は全く役に立たないから購入しないほうがまし。

島牧村役場で「管内図」(370円)を購入することをお勧めする。しかしそれも

完全ではないので、それに島牧ユースなどで情報を仕入れて加筆することが必要

である。

服装:長靴は絶対必要。あと完全防水のレインウェア上下。あと軍手も絶対必要。

レインウェアは雨対策ではなく朝露用。素手だと葉っぱで手を切ります。

その他:熊鈴とラジオ。ラジオは温泉に入っている間の熊対策。スコップもあると

いい。湯船が沈殿物のため埋まっているのでスコップで掻き出す必要がある。

 

行程概略

まず河鹿トンネルを抜けると道が行き止まり

になり車はここまで。ここからひたすら泊川

沿いの廃道を歩く。歩き始めてすぐ左へ大平

山への登山道への分岐がある。このあたりか

ら基本的に藪漕ぎ状態。慣れていない人は帰

りたくなります。この廃道歩きが約3時間。

途中橋が1箇所出てくるが、ここが一番まと

もなところ。その他崩壊箇所が数箇所あり歩

行注意。ただ基本的に川と崖に挟まれた狭い

空間を通るため道に迷う心配はほとんどない。

ひたすら歩きやすいところを見つけるのみ。

ただ、実際に歩いた感じでは最後の1時間の

藪漕ぎが最悪。もう絶対に歩きたくないと思う

ような藪を入っていきます。ここが正念場。3時間歩き続ければコイクチ林道との合流地

点に出ます。この林道から温泉までは約2時間かかります。これも道は先ほどの廃道と比

較すると天国と地獄なのですが、意外と時間がかかるため疲れます。林道とはいえ道はか

なり荒れていてどちらかというと広い登山道という感じ。30分ほど歩くと小金井沢を橋で

渡ります。そこから程なくすると通称「バカ殿岩」という大きな岩でてっぺんに松の木が生

えている目印があります。ここで林道は分岐してこれを左に行きます。ここからは登山道と

いった感じの道ですが、もちろんオフロードバイクも充分通れる道です。この道は小金井沢

の大部上を行く道で沢の音も聞こえずちょっと不安になりますが、一本道なのでひたすらこ

こを歩きます。この周辺は大きな熊が3頭いるとのことなので注意が必要です。道の中央に

巨大なクマの糞がいくつもあったので(それも新しそうな)それだけでもびびります。地図

だと道が分岐しているように見えますが、実際は一本道です。岩の分岐から1時間ほど歩くと

道がどんどん下りになってきます。下りきったところで小金井沢を渡渉します。渡渉といって

も水の量がそんなに多くないので大丈夫です。ここでまっすぐ山道を入らず川沿いに右に行く

と通称「大判・小判の湯」があるのですが我々は行きませんでした。渡渉してすぐに登り返し

て約20分ぐらいでようやく黄金の湯に到着です。地図上よりも若干手前にあるようです。

イメージだと小金井沢のすぐ脇にある感じですが、実際は沢のかなり上にあります。温度は

かなり熱いですが入れないほどではありません。

最初の廃道はだいたいこんな感じ     林道との合流地点

これが「バカ殿岩」           沈殿物で埋まっていて小さくなっている

入浴後の記念撮影 帰り道が本当に地獄でした。帰りがなければいい温泉です……

注意点

  1. 温泉付近にはアブが多くいるためかなり刺されます。ご注意を。あと温泉の付近に得体の
  2. 知れない虫が這っていますが、これはアブの幼虫とのことでヒルなどではなく刺される事

    もないので安心してください。

  3. 温泉でビールは飲まないで下さい。帰りの廃道歩き3時間が絶対に歩けなくなります。非常
  4. に緊張感をもって歩かないと危険な道なので、ビールは宿に帰ってからのお楽しみに。

  5. 我々は男2人で行きましたが、単独行は危険なのでやめましょう。
  6. 携帯電話は行程中全区間「圏外」です。
  7. 情報収集場所としては島牧ユースのペアレントが何回も行っているようなので詳しく教えて

   くれます。