箜篌歌(くごか)(1969)

@ 西村洋(ギター) FOCD3144 1985.3.26

A 木村茉莉(ハープ)TYCY-5369,70 1993.5.1

B 野坂恵子(二十五絃筝)28CM-558 1998.7.10

 

箜篌とは古代楽器で角型ハープ(アングラーハープ)の一種である。

天平の昔、遠く西アジアから正倉院に伝えられた箜篌が現在その残骸

だけ残っておりそこから復元された箜篌が下の写真である。この写真

は「循環するシルクロード実行委員会」と

いうところが出した復元箜篌による演奏の

CDのジャケットなのだがこれが箜篌の形

なのである。竪琴のようだがちょっと違う

不思議なスタイルである。さて音はというと

ハープというよりはリュートみたいな感じ

である。ワーグナーのマイスタージンガーの劇中でベックメッサーが

弾くへたくそなリュートを思い起こさせる音色だ。このCD1500円

と安いので是非購入をお勧めする。ただし曲は一柳慧の現代曲なので

伊福部ファン向きではないかもしれない。さて、現在CDでは3種類の

演奏を聞くことが出来る。それもみんな違う楽器で。@のギターの演奏

が元々のこの曲のオリジナルである。演奏は素朴な味わいで大人の香り

がする。しかし多彩な表現という点からいうとギターという楽器の限界

を感じさせるのだ。ベストはB野坂恵子の二十五絃筝ヴァージョンを挙

げたい。冒頭から気迫のこもった熱演である。絶妙な間の取り方といい

強弱のつけかたといい絶品といって差し支えない名演である。ただし、

エキゾティックという観点からいうとAのハープヴァージョンも捨てが

たい。私も最近はこちらのハープのほうをよく聴く。箜篌のふるさとを感

じさせるこの演奏は二十五絃筝が純和風なのに対して、ちょっと青い目の

混じった不思議な味わいを感じさせてくれる演奏である。筝ではちょっと

流れが止まる部分も淀みなく聴かせてくれる。本物の箜篌で聴いてみたい

というのは無いものねだりか。