交響的音画「釧路湿原」(1993)
@ 大友直人=新星日本交響楽団 FOCD9057
平成5年ラムサール条約の国際会議に際して上映された「釧路湿原讃歌」の
ために書かれた音楽である。カタログ上は@のほかに東芝EMIから出ている
盤があるようなのだが私はいままで一度もお目にかかったことがない。まだ絶
版になっていないのならぜひ購入したいものだ。私は上記のハイビジョン映像
「釧路湿原」を釧路湿原とうろユースホステルで見せていただいた。以前ニフティ
の音楽フォーラムの掲示板でこの曲を「映像と一緒に見なければ何の意味もな
い曲」とこきおろしていた人がいたが、私の感想はまったくその逆である。基本
的に映像が良くないのである。私はこの曲を映像を見る前にかなり聞きこんだ。
また、釧路湿原にも昭和60年以来何度も訪れている。なので自分なりのイメージ
というものを頭の中に作っていたのだがこの映像を見てかなりがっかりした。個々
の花とか動物とかの映像自体は美しいのだが四季全体を通してのストーリー性に
欠ける感じがするのだ。また曲とのコンビネーションもいまいちだ。せっかく巨匠に
音楽を書いてもらっているのだからもうすこし曲に合わせた映像を選択しても良か
ったのではと思う。たとえば第1楽章「夏」の4分すぎのところ、この章で一番の聞
かせどころだ。わたしはここの映像は湿原全体を俯瞰する映像、きらきらと光る
水面、ゆったりと流れる釧路川などを思い描いていた。キラコタンや宮島岬から
の映像を期待していたのである。だが実際の映像は花と蝶の映像であった。また
せっかく夏秋冬春という順番にしたのだから、動物や草花の生命のリレーを感じ
させるストーリーにしてほしかったと思う。映像についてけちをつけすぎたが、私が
提案するこの曲の楽しみ方は、CDウォークマンをもって釧路湿原の中でこの曲を
聞くことである。お薦めのスポットはキラコタン、宮島のほか細岡やザルボの展望台
などがいい。また、釧路川をカヌーで下りながらこの曲を楽しむのも贅沢な楽しみ方
だろう。ぜひ映像で楽しめない分、実物の釧路湿原を体感してこの曲を楽しんでほしい。
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