日本狂詩曲(1935)

@ 山田一雄  東京交響楽団         CZ30-9017      1962. 3

A 山田一雄  新星日本交響楽団      FONC-5031(FOCD3222) 1980. 5.13

B 広上淳一  日本フィルハーモニー交響楽団  KICC-175       1995.8,9

C 小泉和裕  新交響楽団          TYCY-5424,5 1994.1.29

 

伊福部昭最初の管弦楽曲で作者21歳の時の作品。チェレプニン賞第1席受賞の記念碑的名作である。

初演は昭和11年ボストンで行われた。日本での初演はなんと44年後の昭和55年となっている。レコード

では昭和37年に出ているが永らく絶版となっていた。私はこのレコードを東京文化会館の資料室で54年に

聴いた。このとき同時にスコアもあったので借りたが今思えば貴重な資料であったのだ。その後神保町の

古賀書店に置いてないかとたまに探すがいまだにお目にかかったことがない。ちなみに伊福部昭の名著

「管弦楽法」(上巻)の中には第2章<祭り>の冒頭部分のスコアが収録されている。しかしスコアがあり

ながら44年間演奏会で取り上げられなかったのも不思議なものである。37年の録音は62年にCDとして

復刻されている。さて演奏のほうだが、文句なし山田一雄=新星日響だ。まず迫力が違うしテンポも素晴ら

しい。一気に突っ走った演奏といえるだろう。第1章だけみれば広上=日フィルの演奏が美しい。完成度も

高い演奏といえる。しかし全体的に広上の演奏は品が良すぎる。ハチャメチャさに欠けるとでもいおうか、

上品さがかえってマイナスなのである。小泉=新響のは演奏、録音ともいまひとつ、山田の旧盤はテンポが

遅すぎてこれも好きになれない。山田の新録の方の演奏は「パーカッションが主で管弦楽は伴奏」という

伊福部の言葉をそのまま体現したものといえる。私は山田の演奏を高校時代に神奈川フィルを指揮した時に

聴きに行った。からだは小さいがそれに負けない大きな棒を振るマエストロだった。演奏後出口でその日メイン

で演奏したチャイコの5番のスコアにサインをしてもらった思い出がある。この日本狂詩曲日本初演の実況録音

を聴いているとその指揮ぶりが目に浮かぶようである。

 

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