交響曲第3番 ニ短調

 Symphonie Nr.3  d-moll

私の一番好きなアニメ「銀河英雄伝説」はこのマラ3の冒頭のホルンでその物語の幕を揚げるこの

アニメは全編クラシックを挿入音楽に使用しているのだが特にマーラーを多用しており9番の1楽章

など通常は絶対にBGMに使わないような選曲もありそのマニアック振りには驚かされる。マラ3の

思い出というと20年近く前に下北沢に勤務していたことがあり、横浜からの通勤時間が1時間40分

とかなりの長時間通勤だった。ウォークマンで聞くクラシックで1時間40分とくればマーラーの3番

しかないということでアバド/VPOの演奏を聞きながら通勤したのだが、井の頭線が下北沢のホーム

につく頃に曲が終わり、なんかそれだけでもう充分疲れてしまって朝からげんなりしてしまった。

もともと通勤時間が1時間40分ということ自体が長すぎるのだが。それに途中座れると寝てしまう

ので座れる区間(主に横浜−品川−渋谷間)に流れていた3,4,5楽章はほとんど聞いていないのと

同じであったような気がする。そのうち通勤電車の中のウォークマンは難聴になるというのでやめて

しまった。いまでもこの曲のフィナーレを聴くと高架の下から見渡す下北の街を思い出す。

お薦め度

ジャケット

演奏者

ちょっとひとこと

★★★★★

ベルティーニ

 

ケルン放送響

全体的に厚い響きで特に中間楽章の出来がすばらしい。アルト独唱も良く、終楽章は圧倒的迫力で感動的。

★★★★★

マイケル・ティルソン・トーマス

 

サンフランシスコ響

冒頭のホルンから圧倒される。非常に質の高い演奏。特に金管の出来が出色。5楽章の児童合唱も質が高く、雄大な大自然を感じる名演奏。

★★★★★

バーンスタイン

 

ニューヨークフィル

両端楽章がまず素晴らしく、圧倒的迫力で感動的。5楽章が若干力みすぎという感じがするのが残念。2楽章は大変美しい。

★★★★

ノイマン

 

チェコフィル

1楽章がちょっと遅すぎで金管も苦しい感じ。2楽章以降は一転して快速。3楽章のポストホルン、6楽章のテンポと美しさは絶品。1楽章が非常に残念。

★★★★

ギーレン

 

南西ドイツ放送響

躍動感あふれる演奏。1楽章はちょっとやかましいかなという感じも。中間楽章は濃厚な演奏。終楽章は室内楽的透明感を持った名演。児童合唱の出来が今ひとつで残念。

★★★★

小林研一郎

 

チェコフィル

かなり芝居掛かった演奏だが全体的にはまとまっている。1楽章はコバケンの声がうるさくて耳障り、指揮者が盛り上がっているわりにオケは冷静。フィナーレは肉厚で堂々とした演奏。

★★★★

ラトル

 

バーミンガム市響

全体的に壮大で劇的な演奏。テンポにもメリハリがある。特に4楽章のイングリッシュホルンや5楽章の児童合唱などが特徴的。5楽章はまさに天上の音楽といった趣。

★★★★

アバド

 

ウィーンフィル

20年来の愛聴盤。やはり優等生的な演奏で非常に高品質だが、くせというものがなく逆に没個性的な感じを受けるのも事実。

★★★

バルビローリ

 

ベルリンフィル

全体的に濃すぎる演奏。1楽章はテンポが間延び、2楽章はやりすぎ、4楽章は耽美的で表情つけすぎ、フィナーレはまるで9番のアダージオみたいでマラ3の目指す方向性とは違う感じがする。個性的という観点からはベストワン!

★★★

ハイティンク

 

シカゴ響

まずオケが圧倒的に巧い。これに尽きる。ハイティンクの3種の録音の中ではこれがピカイチ。

 

 

★★★

ジンマン

 

チューリヒ・トーンハレ響

弦の響きが厚く素晴らしい。1楽章はテンポが軽快でいい。5楽章の鐘がものすごいので一聴の価値あり。

★★★

ブーレーズ

 

ウィーンフィル

全体的に高レベルな演奏。1楽章はテンポは快速だがこくのある演奏。3楽章はじっくり聞かせて、終楽章は音符の長さをたっぷりと取った非常にボリューム感のある演奏。

★★★

レーグナー

 

ベルリン放送響

全体的に音色が独特なところが特徴。1楽章はグロテスクな感じ。3楽章のポストホルンも独特。4楽章のオーボエ、イングリッシュホルンもおもしろい。バルビローリ盤に次いで個性的な演奏。

★★★

マーツァル

 

チェコフィル

全体的にあっさりした演奏でやや期待はずれで残念。特に1楽章はテンポに一貫性がなく今ひとつの出来。終楽章は聴かせる演奏に仕上がっている

★★★

セーゲルスタム

 

デンマーク国立放送響

両端楽章がカチッとしたしまりのある演奏。2,4,5楽章の出来が素晴らしい。

★★★

ハイティンク

 

ベルリンフィル

1楽章は軽快、3楽章はコントラストが見事な演奏。終楽章はゆったりとした美しい演奏。全体的にもうすこしテンポに抑揚があってもいいと感じた。

★★★

小澤征爾

 

ボストン響

全体的に金管がいい。特に1楽章は素晴らしい。5楽章はちょっと早すぎて好きになれない。聴いた中では最速の87分という超特急演奏。マゼルとの差はなんと23分!!

★★★

シノーポリ

 

フィルハーモニー・オーケストラ

1楽章は一生懸命な演奏の割りに奥行き感に乏しい。3楽章のポストホルンが今ひとつで残念。フィナーレはかなり濃厚。

★★★

ケント・ナガノ

 

ベルリン・ドイツ響

全体的にテンポは速め。1楽章はカチッカチッとした演奏だがせわしない印象が強い。5楽章も早い。フィナーレは素晴らしい。

★★★

レヴァイン

 

シカゴ響

オケが巧く非常に質の高い演奏に仕上がっている5楽章が異様に早いがそれに続くフィナーレは一転してゆっくりで朗々と謳い上げる感じ。

★★★

マゼル

 

ウィーンフィル

聴いた中では最長の1時間50分という大演奏。マゼルのマーラーはどれもゆっくりで趣味に合わないが、ことマラ3に関しては許せる。聞き終わったあとは一大叙事詩が完結したような感じ。

★★

インバル

 

フランクフルト放送響

全体的に禁欲的な演奏でもの足りない。特に1楽章は線が細くて迫力不足。5楽章も今ひとつ。フィナーレは室内楽的な透明感のある演奏。

★★

シャイー

 

ロイヤルコンセルトヘボウ響

非常に繊細で美しいのだがなんとなく全体的にスルッとスルーしてしまう演奏で、主張を全く感じない。くせのない演奏。

★★

朝比奈隆

 

大阪フィル

相変わらずオケは下手だが復活よりは許せる演奏。こういう大自然を感じさせる曲は朝比奈向きなのかもしれない。

★★

テンシュテット

 

ロンドンフィル

意外とあっさりとした演奏でちょっと不満。可もなく不可もなくといったところか。

★★

アバド

 

ベルリンフィル

全体的に主張のない演奏。無色無臭といった趣。延々と拍手を録音するのはやめてほしい。

★★

バーンスタイン

 

ニューヨークフィル

宇野功芳は新盤より旧盤のほうがいいと言っていたが果たしてそうか?全体的に軽い感じがするしオケの表現も粗く下手な感じがする。なんか勢いだけでいってる感じ。

★★

ハイティンク

 

アムステルダムコンセルトヘボウ響

金管が下手。5楽章が味気ない演奏で残念。

★★

 

 

クーベリック

 

バイエルン放送響

冒頭から早い。ちょっと急ぎすぎという感じで落ち着きがない印象を与える。全体的にあっさりした演奏。

 

 

ショルティ

 

シカゴ響

間というものが全くなく音楽が機械的に進んでいく印象。オケの質も高く、非常に美しい演奏なのだが気持ちが入っていない感じ。なぜそんなに結論を急ぐのかという感じの演奏。