交響曲第4番ト長調
Symphonie Nr.4 G-dur
トロンボーンというのはオケの中でも微妙なパートで、ものすごく上手いオケでレパートリーの選択肢が
たくさんあるというところなら問題ないが、初心者中心の大学オケ、アマオケともなるとその処遇に頭を
悩ますのが常である。選曲もメインなら運命、田園、未完成、新世界など限られてくるところである。
それで大学生の頃の話なのだが、その年の定期演奏会でブラ2をやって出来は散々だったのだが打ち上げ
の席上で次は何をやるかという話で盛り上がった。例によってトロンボーンパートの面々は出来もしない
難曲を連呼。「マーラー、マーラー、マーラーやりてえ」と騒いでいたら当時の指揮者の先生が「よし、
わかった次はマーラーだ!マーラーの4番!決まり」とひとりでうけていた。当時このギャグに気づいた
のはごくわずかだった。ちなみに次の定期演奏会のメインは反省の意味も込めてハイドンのロンドン。
なにもそこまで初心に戻らなくたって…
お薦め度 |
ジャケット |
演奏者 |
ちょっとひとこと |
★★★★★ |
ノイマン
チェコフィル |
ここがいいというのが書けないが全体的にテンポもよく透明感も溢れてなにより楽しさがある演奏。聴き終わったあと、いい時間を過ごしたなと感じる名演である。 |
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★★★★★ |
ベルティーニ
ベルリンドイツ響 |
はつらつとした元気のいい演奏。全体的にテンポにメリハリがあり冗長にならないところがすばらしい。4楽章のニルンドの独唱は絶品である。 |
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★★★★★ |
クレツキ
フィルハーモニア管 |
古い録音の割には音がいい。1楽章のテンポが絶妙で、3楽章は幸せをかみしめるような渋い演奏。4楽章はしみじみとしていて味わい深い。全体を通して高レベルな演奏。 |
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★★★★ |
広上淳一
ロイヤルフィル |
最初は期待していなかったが、失礼ながらびっくりの名演奏。各楽章オーソドックスな解釈ながら充実した演奏で聴き応えのある1時間だった。 |
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★★★★ |
ケーゲル
ライプツィヒ放送響 |
非常に品のいい演奏で天上の音楽に相応しい名演奏。4楽章はソプラノの音程が若干危なっかしいが飾り気のない自然のままの音楽だ。 |
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★★★★ |
ベイヌム
ロイヤルコンセルトヘボウ管 |
これも最初あまり期待していなかったが全体が引き締まった名演奏。1楽章は緊張感が溢れておりテンポが抜群。3楽章はメリハリがあり大変美しい演奏だ。 |
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★★★★ |
ノリントン
シュトゥットガルト放送響 |
ピリオド楽器をまったく感じさせないパワーのある演奏。全体的に響きが厚くすばらしい。ただしソプラノの声がキンキンして頭が痛くなるのが減点要素。 |
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★★★★ |
クーベリック
バイエルン放送響 |
冒頭からうきうきして楽しくなる演奏だ。全体的に緊張感がありしかも透明感もある引き締まった演奏。 |
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★★★★ |
シノーポリ
フィルハーモニア管 |
1楽章は雄大な流れを感じる大きな音楽。2楽章のヴァイオリンソロは面白いがちょっとわざとらしい感じも。4楽章のソプラノは上品で味わい深い。 |
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★★★ |
アバド
ウィーンフィル |
昔からの愛聴盤。非常に高レベルな演奏なのだが没個性的な印象は各曲共通である。3楽章は美しい演奏。 |
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★★★ |
ハイティンク
ベルリンフィル |
かちっとした着実な演奏で若干面白みに欠けるきらいも。3楽章のしっとりとした美しい演奏、4楽章の自然な表現がすばらしい。 |
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★★★ |
ハーディング
マーラー室内管 |
1楽章はあっさりだが2楽章は特徴的。ソプラノの出来がよく全体的にまとまっている。 |
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★★★ |
ラトル
バーミンガム市響 |
1楽章はハイテンポで元気な演奏。2楽章は不気味でいい味を出している。後半も気品があり味わい深い。天上の音楽の趣きを持った演奏。 |
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★★★ |
クレンペラー
フィルハーモニア管 |
テンポをゆったりととったクレンペラーらしい演奏。特に3楽章は音に厚みがありテンポもいいが4楽章のソプラノが力みすぎでいまひとつ。歌い方も俗な感じが出ていて残念る |
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★★★ |
マーツァル
チェコフィル |
ゆったりとした音楽作りでオケも上手である。2楽章のヴァイオリンソロが艶っぽくて魅力的。ただ最後のソプラノが弱くて今ひとつの出来。 |
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★★★ |
カラヤン
ベルリンフィル |
全体的にカラヤンらしからぬゆったりとしたテンポの中で音楽が進みそして終わる。3楽章は非常に濃厚だが終楽章は非常に控えめ。 |
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★★★ |
インバル
フランクフルト放送響 |
1楽章は飄々とした感じ、中間部の響きは厚い。3楽章はメリハリがあり引き締まった演奏だが4楽章は一転して普通の演奏でいささか拍子抜け。 |
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★★★ |
ショルティ
シカゴ響 |
音色がクリアー。テンポは全体的に早めで若干機械的な印象も。キリテカナワの歌唱は天使の歌声と言っていい絶品。 |
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★★★ |
メンゲルベルク
ロイヤルコンセルトヘボウ管 |
出だしから超個性的でおもわず惹きこまれるが、やりすぎなところも多くかえって流れが悪くなっている。録音も古く音の強弱に難あり。セピア色のマーラーという趣きだ。 |
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★★★ |
ブーレーズ
クリーブランド管 |
2楽章のソロヴァイオリンの音色が独特。全体的にまとまっておりレベルは高い。 |
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★★★ |
シャイー
ロイヤルコンセルトヘボウ管 |
音色が華やかで派手な演奏。2楽章もグロテスクな音楽作り。後半はあっさりめ。 |
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★★★ |
バルビローリ
BBC響 |
バルビローリらしい上品な音楽作り。特に最終楽章は天上の音楽らしくゆったりとした時間が流れていく名演奏。 |
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★★★ |
ベルティーニ
ケルン放送響 |
厚みがありしかも華やかな音楽。3楽章は味わいが深く4楽章は力強さが前面に出たしっかりした演奏。 |
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★★★ |
ライナー
シカゴ響 |
前半は軽快な音楽。全体的に力みのない肩の力の抜けた演奏。古い録音だが味わい深い。 |
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★★ |
バーンスタイン
ロイヤルコンセルトヘボウ管 |
中間楽章はすばらしい。特に3楽章は意外とテンポが早く透明感溢れる演奏。1楽章はあまりにも重たすぎ、また最後のボーイソプラノは聞いていて苦しくやはり無理がある。 |
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★★ |
マイケル・ティルソン・トーマス
サンフランシスコ響 |
聞いた中では最長の62分14秒。サンタの鈴のような出だしと音符の長さをたっぷりととった1楽章が特徴的。その後は普通の演奏だ。 |
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★★ |
ワルター
ウィーンフィル |
ウィーンフィルの音色がすばらしい。2楽章は起伏の激しい音楽でおもしろい。ただソプラノが力みすぎでピアノのない演奏で残念。カップリングのプラハが名演。 |
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★★ |
テンシュテット
南西ドイツ放送響 |
1楽章は若くてはつらつとした演奏なのだが後半が若干尻すぼみな感じも。ソプラノは躍動感があっていいのだがちょっとあっさりしすぎで残念。 |
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★★ |
テンシュテット
ロンドンフィル |
冒頭の鈴が早くてびっくり。後に続く音楽とアンバランスな感じも。全体的にはテンポがよく安心して聴ける演奏。 |
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★★ |
アバド
ベルリンフィル |
くせのないオーソドックスな演奏。フレミングの歌唱が味わいはあるのだが全体的に控えめで若々しさがなく今ひとつという感じ。 |
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★★ |
セル
クリーブランド管 |
1楽章の中間部のテンポがだれ気味で音楽が停滞している。ソプラノは禁欲的で控えめな音楽作り。全体的に渋い。 |
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★★ |
シノーポリ
ドレスデンシュターツカペレ |
かなりゆったりした演奏で若干しまりのない部分も。ソプラノも絡みつくような歌い方でねっとり系という感じだが今ひとつキレがない。 |
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★★ |
ギーレン
南西ドイツ放送響 |
1楽章の音符の処理が独特。あとはオーソドックスで特徴がない演奏。 |
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★★ |
セーゲルスタム
デンマーク国立放送響 |
テンポ、強弱のメリハリがありおもしろいが人工的でわざとらしい感じも。ソプラノが力みすぎていて流れが悪い。 |
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★★
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ジンマン
チューリヒトーンハレ管 |
1楽章の音色が華やか。2楽章は意識的に特徴を出している感じ。ソプラノは雰囲気はいいのだが歌い方がぶつ切りな感じで流れが悪い。 |
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★★ |
ルイージ
ライプツィヒ放送響 |
1楽章のテンポが必要以上に揺れすぎで安定感がない。ソプラノの出来はいい。 |
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★
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レヴァイン
シカゴ響 |
弦の高音部の音程が気になり全体的に今ひとつ。ただ4楽章の弦の音色はすばらしい。ソプラノは若干ソフトさに欠ける。 |
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★ |
ワルター
ニューヨークフィル |
最速の50分4秒。1楽章のパーカスがやかましい。ソプラノもせわしなく天上のイメージとは程遠い。 |
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★ |
マゼール
ウィーンフィル |
例によって非常にゆっくりなテンポでメリハリがない。特に3楽章の後半はだれる。 |
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★ |
バーンスタイン
ニューヨークフィル |
全体的に若さと粗さを感じる演奏。1楽章はせわしない感じで金管が浮いていて大味。3楽章は腰の据わっていない感じを持った。ソプラノは非常にいい出来。 |
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★ |
小澤征爾
ボストン響 |
バーンスタインの旧盤に似た演奏。オーソドックスだが4楽章はソプラノの品が今ひとつ。
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× |
井上喜惟
ジャパンシンフォニア |
2楽章のヴァイオリンソロがおそろしく下手なのとソプラノがメリハリがなく一本調子。ただしカップリングのルクーがとてもいいので一聴の価値はあり。 |