交響曲第6番 イ短調

 Symphonie Nr.6  a-moll

さすがにマーラーの交響曲の中でも一番の充実した作品だけあって聞き応えがありました。スコアを見ても

音符の密度というか細部にわたって凝っているのが良く分ります。私が高校生の時に買ったオイゲンブルグ

のスコアには3回目のハンマーが載っているのですが、聞いた中で再現していたのはごく少数でした。また

スケルツォとアンダンテの順番ですが聞いた49種類中逆だったのは11種類でした。フェルツが論文の中

でも言っていましたが、やはりスケルツォ→アンダンテが流れからいえば自然でしょう。私は5番のアダージェット

よりはこの6番のアンダンテの方が好きです。ロマンチックな音楽というとこちらの方を推したいですね。

大学時代オケの合宿で行った千葉県岩井の海岸沿いの民宿で好きだったフルートの女の子と一緒に聞いた思い出

があります。翌年見事に振られましたけど‥‥

お薦め度

ジャケット

演奏者

ちょっとひとこと

★★★★★

バルビローリ

 

ニューフィルハーモニア管

1楽章はゆっくりだが歯切れがよく確実な演奏、終楽章は金管が圧倒的迫力で説得力のある演奏。録音もよく、あっという間に時間が過ぎてしまった名演奏である。

★★★★★

ベルティーニ

 

ベルリンドイツ響

怒れる演奏とでもいうのが相応しいアグレッシブな演奏。アンダンテは弦の表現が美しく、4楽章は粗暴かつ粗野、野性的といった表現が似合う演奏。若干録音のバランスに難有りだが、全体的には秀逸な演奏である。

★★★★★

テンシュテット

 

ロンドンフィル

90分を越える大演奏。特に終楽章はど迫力、金管が最後まで余力を残しており素晴らしい。テンポにめりはりがあり全く遅いとは思わせない堂々たる演奏。

★★★★

ブーレーズ

 

ウィーンフィル

アンダンテはウィーンフィルらしいエレガントな演奏。終楽章は圧倒的音量と迫力で迫る息の全くつけない演奏。特にコラールの重々しさは絶品。はるか彼方からの音楽との対比も素晴らしい。

★★★★

アバド

 

ベルリンフィル

ベルリンフィルとアバドの演奏はあまりいい印象がなかったがこれはすごい演奏。1楽章は集中力がありのびのびとした演奏。アンダンテは熱い響きが感動的。終楽章は密度が濃く凄みのある演奏だ。ハンマーももの凄い。

★★★★

マイケル・ティルソン・トーマス

 

サンフランシスコ響

1楽章は感情移入が激しい劇的な演奏。アンダンテも思い入れたっぷりの情感あふれる演奏。終楽章はテンポ移行にためが利いており絶妙。迫力も申し分ない。

★★★★

アバド

 

シカゴ響

1楽章はアルマのテーマが素晴らしい。アンダンテは前半禁欲的だが後半爆発する。終楽章は肩の張る演奏が多い中、力の抜けた自然体の演奏である。

★★★★

ハイティンク

 

ベルリンフィル

全体的に金管の音量がすごい。特に終楽章はボリューム感のある重厚な演奏。アンダンテは非常にゆったりとした音楽作りをしている。

★★★★

ヴィト

 

ポーランド国立放送響

5番同様すばらしい演奏。1楽章は怒涛の演奏、スケルツォはスリリング、アンダンテは感情の起伏の激しい。終楽章はもうすこしテンポに厳しさがあれば完璧な演奏。ムチの音が今ひとつしょぼくて残念。

★★★

ホルヴァート

 

スラヴァンカフィル

怒涛の演奏。一気に突っ走る演奏で隠れた名盤と言えるだろう。ただオケが若干下手なのと終楽章が息切れしている感じが残念。タムタムの音が凄い。

★★★

ショルティ

 

シカゴ響

テンポは快速でオケの上手さが光る好演奏。非常に高レベルなのだがすこしカチッとしすぎていて機械的な印象が残るのも事実。息苦しい感じもする。

★★★

ヤンソンス

 

ロイヤルコンセルトヘボウ管

これがライブというのが信じられない。金管をはじめとして音色が輝かしい。終楽章はテンポがどっしりとしていて重量感のある演奏。

★★★

ジンマン

 

チューリッヒトーンハレ管

ジンマンのマーラーはどれもいまいちだったがこれはいい。1楽章ははつらつとしており、アンダンテも美しい。終楽章はどっしりとした重厚な音楽で非常に高レベルだ。

★★★

マーツァル

 

チェコフィル

前半は普通の演奏だが、アンダンテ、終楽章と素晴らしい。特に終楽章は若干雑な部分もあるが迫力、緊張感ともに抜群の演奏。録音もよく全体的に透明感がある。

★★★

ルイージ

 

ライプツィヒ放送響

雄大でスケール感のある演奏。テンポもめりはりがあり飽きのこない演奏に仕上がっている。

★★★

バーンスタイン

 

ウィーンフィル

スケルツォのテンポが重すぎ。アンダンテは雄大な演奏だが最後の最強音の音がつぶれていて残念。終楽章は非常に細かい部分まで気をつかった演奏だが部分的にテンポが重く脂っこいものを食べたような気分になるところが難点。

★★★

マッケラス

 

BBC響

ハンマー3再現版。1楽章は金管が突き抜けており起伏の激しいおもしろい演奏。終楽章は駆け足の快速運転でもうすこしじっくり聞かせてもいいのではと感じた。3回目のハンマーの音量など異論はあるだろうがそれなりに凄い演奏だ。

★★★

ヘルビッヒ

 

ザールブリュッケン管

アルマのテーマが生き生きとしており素晴らしい。全体的にのびのびとした広がりのある演奏。

★★★

セル

 

クリーブランド管

ライブ特有の白熱感があり全体的にまとまっている。スケルツォは骨太感がある。ただ全体的にテンポが早く突っ走った演奏になっていて、もうすこしじっくり聞かせてもいいのではないかとも思った。

★★★

レーグナー

 

ベルリン放送響

たっぷりと音符の長さをとった朗々とした演奏なのだがテンポが重く、くどくて胃もたれがする。アンダンテのグリッサンドの処理が独特。

★★★

レヴァイン

 

ロンドン響

1楽章はテンポがよく元気のいい演奏。終楽章は高レベルな演奏だが表情に乏しく単調な印象も。

★★★

マゼル

 

ウィーンフィル

マゼルにしてはテンポが快速で、いい意味で予想を裏切られた演奏。レベルも高い。

★★★

ドホナーニ

 

クリーブランド管

金管の迫力が素晴らしい。全体的に力のこもった演奏で息抜きの出来ない圧迫感がある。テンポ設定がよく音楽がどんどん前に進んで行く。

★★★

ヤンソンス

 

ロンドン響

技術的なレベルは高く細部までクリアーな表現だ。全体的に丁寧でおとなしい演奏というイメージも。

★★★

フィッシャー

 

ブタペスト音楽祭管

前半は骨のない演奏で物足らなさがあるが、後半は力強さが出てきて持ち直した感じ。

★★

 

 

シャイー

 

ロイヤルコンセルトヘボウ管

1楽章はテンポが遅くどっしりとした感じにもかかわらず音楽は軽くキレがない。後半は持ち直して充実した演奏になっているので、1楽章が残念。

★★

テンシュテット

 

ロンドンフィル

91年の同オケとのライブと比較するとおとなしいというか中途半端。1楽章は大枠はダイナミックなのだが細部は雑。終楽章はテンポが大揺れで落ち着かない。

★★

ベルティーニ

 

ケルン放送響

おとなしい演奏で厳しさがない。あと若干オケも下手な感じが。

★★

プレトール

 

ウィーン響

ライブ演奏だが可もなく不可もなくといった感じ。

 

 

★★

ラインスドルフ

 

バイエルン放送響

ライブ演奏。流れるような演奏で骨がなく、説得力に欠ける嫌いがある。

★★

カラヤン

 

ベルリンフィル

テンポは快速だが表面的な演奏。流暢な感じがするが感動は残らない。カップリングの「私はこの世に忘れられ」は絶品中の絶品といっていい名演。

★★

ロスバウト

 

南西ドイツ放送響

カップリングのモーツアルトの録音は抜群なのだが肝心のマーラーが良くない。終楽章はどっしり感のある腰の据わった演奏だがかなりくどく胃もたれがする。

★★

ザンダー

 

フィルハーモニア管

終楽章は新旧両版を録音しており、しかも3枚目にはザンダーの解説が入っているというお得なCD。ただし何を言っているのかドイツ語が出来ない私にはわからず猫に小判状態。演奏は1楽章が遅いテンポで間延びしており残念。

★★

ノイマン

 

チェコフィル

1楽章のテンポにキレがなく歯切れの悪い演奏になっている。ヘルデングロッケンがうるさくてセンスゼロ。終楽章もテンポが重く流れが悪い。

★★

フェルツ

 

シュトゥットガルトフィル

意外とおとなしくて常識的な演奏。1楽章はテンポがゆるく締りがない。3楽章もあっさり演奏しており拍子抜け。ライナーノーツのフェルツの論文は面白くて参考になりました。

インバル

 

フランクフルト放送響

室内楽的で繊細な演奏。感情抑制気味で迫力不足。

小澤征爾

 

ボストン響

1楽章はテンポがよくスマート。アンダンテは控えめで上品。肝心の終楽章は軽くて迫力不足でひとまわり小さい幹事の演奏だ。

ラトル

 

バーミンガム市響

前半は重たい演奏で音の繋がりが淀んでいる感じ。終楽章も遅いテンポの割には力強さに欠け内容が軽い感じを受けた。

クーベリック

 

バイエルン放送響

とにかく早い。勢いで駆け抜けたような演奏。小気味いいのだが早すぎてこの曲の凄さが十分伝わっていないような感じがした。

 

バーンスタイン

 

ニューヨークフィル

せっかちな演奏。勢いだけで丁寧さに欠ける。終楽章ものりはいいのだが音楽が軽く浅薄な感じが拭えない。

ノイマン

 

チェコフィル

1楽章のヘルデングロッケンの叩き方ががさつで雰囲気ぶち壊し。終楽章も音楽がぶつ切りで流れが悪く表現も大味。

セーゲルスタム

 

デンマーク国立放送響

音楽全体にキレがなく冗長。特にスケルツォはシャキシャキ感がなく萎びた感じ。

ギーレン

 

南西ドイツ放送響

テンポにキレがなく全体的に今ひとつ。アンダンテのテンポの揺れかたも不自然だし、終楽章も間延びしている。

シノーポリ

 

フィルハーモニア管

聴いた中では最長の93分。全体的にテンポが重い。特に終楽章はスケール感はあるのだが表情に乏しくこの楽章特有の厳しさというものが感じられない演奏である。

バルビローリ

 

ベルリンフィル

ライブという点を差し引いてもBPOにしては下手くそな演奏。アンサンブルもバラバラで残念。終楽章のハンマーがちゃちで演奏自体は起伏が激しくて劇的だったので残念。

朝比奈隆

 

大阪フィル

意外にテンポが早く、オーソドックスな演奏。安全運転といった感じだがさすがに終楽章は力不足で息切れした感が否めない。

ゲルギエフ

 

ロンドン響

全体的にテンポも音楽も軽い。特に終楽章は聴き終わった後の疲労感の全く残らない演奏だ。

バルビローリ

 

ニューフィルハーモニア管

録音がステレオという割には悪すぎて細かいところが不鮮明である。また最後のPizzが終わる前に拍手が始まってしまい、なんなんだこの演奏会は?という感じ。

×

コンドラシン

 

レニングラードフィル

こういうためのない演奏というのも珍しい。あまりにも早すぎてついていけない。曲の意味が分らない。唯一70分を切る演奏。