交響曲第7番 ホ短調

 Symphonie Nr.  e-moll

もう30年以上前になるがN響の演奏でこのマーラーの7番を聞いたことがある。指揮者は当時売り出し中の

ミヒャエルギーレン。たぶんまだ40代だと思った。高校生なので一番安い席。たしか2階か3階の一番奥だった

ような記憶がある。それで当時のN響はまだチェロが客席側で弾いていたと思うが、マンドリンとギターがちょうど

指揮者のまん前、セコバイとビオラにはさまれるような感じで配置されていたような気がする。面白いとこに座るん

だなと思っていたのだが、肝心の4楽章になったら後ろの席ではギターの音がぜんぜん聞こえない。曲もよく知らな

かったせいもあって、いったいなにやってんだかさっぱりわからなかった。マンドリンはそれでもキンキンする音が

すこし聞こえてきたが。後日FMと教育テレビで2回放送されたので両方とも聴いておさらいしたがつまらん曲だな

というのが当時の正直な感想。いつも自分の楽器(コントラバス)でパート譜を印刷してカラオケ演奏を楽しむのだ

が、コントラバス的にはこの7番が一番難しいと思った。評論家からは「陰々滅々」とか「支離滅裂」とかマーラー

の交響曲の中では評判が良くないが意外とチャレンジする指揮者が多いのにはびっくりする。そんな破天荒な曲なの

でベスト盤も両極端の2人とオーソドックスな1人を選んでみました。

お薦め度

ジャケット

演奏者

ちょっとひとこと

★★★★★

 

クレンペラー

 

ニューフィルハーモニア管

テンポがゆっくりのまま最後まで変わらない。最初は指揮者の意図が分らなかったが聴き終わった後でいろんなことを気づかせてくれる超名演

である。個性的という点ではシェルヘンと双璧。

★★★★★

シェルヘン

 

トロント響

この曲はシェルヘンのために書かれたのではと錯覚するような演奏。縦の線が全く合っておらずテンポも大揺れ、オケも下手で録音も悪いが

それでも感動的な演奏だ。

★★★★★

ベルティーニ

 

ケルン響

この曲への共感をビシバシ感じる名演。3楽章は遊び心があり、5楽章はとてもコミカルで楽しい演奏。テンポも抜群。正統派ではこれがピカイチ。

★★★★

シェルヘン

 

ウィーン国立歌劇場管

53年の演奏だが録音が抜群にいい。1楽章は躍動感あふれる演奏、3楽章は緊張感のあるスリリングな演奏、全体的に骨太で素晴らしい演奏だ。

★★★★

小林研一郎

 

チェコフィル

全体的にテンポをゆったりととった堂々たる演奏。3楽章は美しく、4楽章は非常に味わい深い演奏だ。

★★★★

ショルティ

 

シカゴ響

非常に流暢な演奏で機械的、人工的な演奏という感じもするが飽きのこないような工夫が随所に凝らされておりオケも抜群に上手い。

★★★★

マイケルティルソントーマス

 

サンフランシスコ響

LSO盤と比較するとテンポにめりはりがある。非常に迫力のある演奏でダイナミック。4楽章は味わい深く5楽章は快速で飽きのこない演奏だ。

★★★★

ギーレン

 

南西ドイツ放送響

全体的にまとまった高レベルな演奏。3楽章の妖しい雰囲気や4楽章の味わいなどは素晴らしい。

★★★★

レヴィ

 

アトランタ響

最初は全く期待していなかったが予想を裏切る名演奏。オケの実力も素晴らしいしテンポもいい、ものすごく充実感のある中身の濃い演奏。

★★★★

ハイティンク

 

ベルリンフィル

全体的にどっしり感のある足が地についた演奏である。4楽章は非常にいい雰囲気だ。

★★★

シャイー

 

ロイヤルコンセルトヘボウ管

奇をてらうことのないオーソドックスな演奏。

特に中間の2,3,4楽章は丁寧で雰囲気を大事にした演奏だ。

★★★

テンシュテット

 

ロンドンフィル

90分弱の大演奏。全体を通してこれといった特徴はないものの、壮大なスケール感のある熱い演奏だ。ライブながら完成度は非常に高い。

★★★

バーンスタイン

 

ニューヨークフィル

オケが圧倒的に上手い。両端楽章が非常に熱い演奏であるが、中間は普通。バーンスタインとしてはテンポ爽快で意外性あり。

★★★

マイケルティルソントーマス

 

ロンドン響

オケがいい。特に弦の伸びのある澄んだ音色が非常に魅力的。非常に音色が華やかでハイレベルな演奏である。

★★★

小林研一郎

 

日本フィル

正直日フィルがこんなに上手いとは思わなかった。1楽章は劇的な演奏だがコバケンの声が不気味でキモい。5楽章は非常に熱い演奏。もしかしたらチェコフィルよりいいかもしれない。

★★★

ノイマン

 

ライプツィヒゲバントハウス管

全体的にくどさがなくてさわやか。1楽章はいいテンポでぐいぐいいく感じだが金管が今ひとつ。3楽章は思わず踊りたくなるようなワルツのような演奏。5楽章はすこし重たくて残念。

★★★

ハラース

 

ポーランド国立放送響

1楽章の最後の部分のペットが落ちるなど致命的なミスはあるものの演奏は非常にいい。ただ、後半の金管の力不足がとても残念。

★★★

マーツァル

 

チェコフィル

全体的に一生懸命な演奏。若干金管が苦しい感じがするのが残念。3楽章は妖しい感じがよく出ていて秀逸。5楽章のテンポもいい。

★★★

バレンボイム

 

ベルリンシュターツカペレ

1楽章は引き締まった素晴らしい出来映え。全体を通して統一感のある高レベルな演奏。

★★★

ジンマン

 

チューリッヒトーンハレ管

両端楽章はそんなに特徴がないが、中間の2,3,4楽章が品がよくまとまった演奏。

★★★

沼尻竜典

 

東京フィル

東フィルは私も大好きなオケなのだがこれは非常に素晴らしい演奏だ。若干のミスもあるがそれも気にならない統一感のある高レベルな演奏である。

★★★

インバル

 

フランクフルト放送響

インバルのマーラーは線が細くて好きになれないがこの7番はくどさがないのが逆に吉と出ていて洗練されたスマートな演奏に仕上がっている。

★★

ラトル

 

バーミンガム市響

毒気がないというかあっさりしているというかそんな感じのスマートな演奏。これがライブ演奏というのだからレベルの高さには驚く。

★★

バーンスタイン

 

ニューヨークフィル

ちょっと軽めだが若々しい演奏。4楽章の音色はセクシー。終楽章の演奏が雑で緊張感が途切れた感じがするのが残念。

★★

ヤンソンス

 

バイエルン放送響

クビーク博士による校訂版使用の演奏。ちょっと力み過ぎで息が詰まる。特に前半。全体的に普通の演奏。どこが違うのか分りませんでした。

★★

フェルツ

 

シュツットガルトフィル

いろいろと指揮者が語っているわりには普通の演奏で特にこれといったものは感じなかった。しかしながらフェルツの論文は曲の理解のうえで

とても役立ちました。

★★

レヴァイン

 

シカゴ響

技術的には申し分ないが、感動が残らないのっぺらぼうな演奏に感じた。

 

 

★★

ベルティーニ

 

都響

都響のレベルの高さを感じたが、全体的に安全運転といった感じは否めない。とはいえ安心して楽しめる演奏でした。

★★

テンシュテット

 

ロンドンフィル

録音が今ひとつ。冒頭のテナーホルンも今ひとつでした。全体的にはオーソドックス。

 

 

★★

小澤征爾

 

ボストン響

全体的におとなしい演奏という印象。線が細い感じもした。

★★

アシュケナージ

 

チェコフィル

ところどころ首をかしげたくなるような部分がある趣味の悪い演奏。指揮者の意図が不明だ。

4楽章のギターが聞こえないし品がない演奏だ。

★★

コンドラシン

 

アムステルダムコンセルトヘボウ管

下のゲルギエフ盤と演奏時間はほぼ同じなのだがゲルギエフよりはテンポにめりはりがある。3楽章はかなりいいが、4,5楽章は早すぎ。あと金管に難あり。早いのはロシア人の特色なのか?

★★

ゲルギエフ

 

ロンドン響

1楽章はスケール感のある雄大な演奏で素晴らしいのだがそれ以降が快速駆け足でまったく面白くない演奏になっている。

★★

ノイマン

 

チェコフィル

全体に軽快なテンポで、特に2楽章が絶妙なのだが如何せんオケのレベルが今ひとつ。特に金管の出来が残念。

★★

シェルヘン

 

ウィーン響

オケはトロントよりも上手いが大人しくて常識的な演奏。

シノーポリ

 

フィルハーモニア管

やたら遅い出だしでどうなることかと思ったら最初だけであとは普通の演奏になった。4楽章はねちっこい演奏でやりすぎ。品がない。

セーゲルスタム

 

デンマーク国立放送響

いつものことながらテンポが遅くめりはりがない。

ブーレーズ

 

クリーブランド管

中間3楽章が駆け足の演奏。特に4楽章は味わうひまのない速さで、余韻を楽しむどころではなかった。

高関健

 

群馬響

一生懸命な演奏なのだが、弦の実力が今ひとつで最後は管も苦しい感じ。

クーベリック

 

バイエルン放送響

オケが細かいところが下手で大味な演奏という印象。

 

 

マズア

 

ライプツィヒゲバントハウス管

全体的にこもったような録音で今ひとつ。金管の力不足が目立つ演奏だ。

マゼール

 

ウィーンフィル

両端楽章がちょっとくどくてバランスが悪い。聴いていてちょっとうんざりという感じ。間延びして冗長といった演奏だ。

ロスバウト

 

南西ドイツ放送響

ベルリン放送響との演奏よりはましだが丁寧さに欠ける演奏である。3楽章の雰囲気などはいいので残念。

×

バルビローリ

 

ハレ管

オケが下手すぎ。特にアンサンブルに難あり。2楽章から持ち直すが4楽章あたりから再び怪しくなる。ハレ管のシベリウスとかはあんなに素晴らしいのになぜ?って感じ。

×

ロスバウト

 

ベルリン放送響

録音も悪いが金管特にペットが最悪。テンポ設定も中途半端だ。

 

 

××

朝比奈隆

 

大阪フィル

最後まで聴いた自分を褒めてあげたくなるような演奏。テンポにめりはりがなく冗長でしかも最後まで盛り上がりに欠ける。金管が苦しいんだからもっとテンポあげりゃいいのにと言いたくなりました。