マーラー ウィーン紀行 その2  2010.10.3-10.7

 

Hohe Warteからずっとトラムに沿って歩いてきたのですが途中からSchottentor方面に向かわず右側に折れてウィーンの市民病院

方面に向かいます。マーラーが亡くなったレーヴ療養所に向かうためです。市民病院の通りを歩いてちょうど病院の正門の前を左に

曲がって5階建てのオフィスビルが建ち並ぶ一角にその建物はありました。この建物が当時の療養所の建物かどうかはわかりません。

もしかしたら建てなおされたものかもしれません。現在も病院関係の建物として使用されているのかも外見からは分かりませんでした。

建物の壁面には記念のプレートが埋め込まれており、1911年5月18日この場所でなくなった旨が記されています。プレートの楽譜は

 

交響曲第10番の1楽章冒頭ですね。ここから今度はウィーン西駅に向かいます。マーラーがウィーンを去りアメリカに向かった時

仲間がこの駅に集合して見送ったという場所です。ここからはちょっと距離があるのでトラムの5番に乗って行きます。狭い路地を

くねくね曲がって10分ほどでウィーン西駅(Westbahnhof)に到着です。ここはザルツブルグ方面やフランス方面の長距離列車が

 

発着する駅で、立派な特急列車が何本も停まっていました。ただ残念なことに現在駅は改築中で古い駅舎は解体工事のため

見ることが出来ませんでした。マーラーはここからみんなに見送られて新世界に旅立っていったのですね。また病気でウィーン

に帰ってきたときもこの駅から直接先ほどのレーヴ療養所に向かっています。さて次は中心部のリング通りに戻ってみましょう。

地下鉄U3,U2を乗り継いでKarlsplatzに戻ります。まずここではゼセッション(分離派会館)に向かいます。ここは1897年に

  

            (ゼセッション)                         (ベートーヴェンフリーズ 幸福への憧れ)

 

クリムトをはじめとした若手芸術家の活動拠点として建てられたもので、マーラーとの関連性も非常に強い施設です。

1902年に行われた第14回分離派展のテーマは「ベートーヴェン」で各芸術家がこのテーマに基づいて作品を創作

したとのことで、このとき創作されたのがクリムトの「ベートーヴェンフリーズ」という一連の壁画でした。現在この壁画

はゼセッションの1階(というか半地下のようなところ)の専用スペースで常設展示されており、ここの目玉でもあります。

残念ながら内部は撮影不可のためここでお見せすることは出来ません。マーラーはこの分離派展の開幕日にウィーン

国立歌劇場の金管メンバーを引き連れて登場し、自ら編曲した第九交響曲の一節をここで演奏しています。またクリムト

のベートーヴェンフリーズのひとつに「幸福への憧れ」という壁画があるのですが、ここに描かれている黄金の鎧を着た「完全

武装の勇者」のモデルはマーラーではないかとも言われています。さて次は道路を挟んで反対側ウィーン工科大学を

横切ってカールス広場に向かいます。ここにはマーラーとアルマが結婚式を挙げたカール教会があります。非常に大きく

て立派な教会です。ちなみにマーラーの妹も国立歌劇場のコンサートマスターとその翌日ここで挙式を挙げています。

  

 

次に訪れたのは、ウィーンの老舗楽譜屋である「ドブリンガー」です。マーラーはよく自作の楽譜の売れ具合を確かめに

ここを訪れたそうですが、現在も音大生のような人たちが一生懸命楽譜を探していました。私も折角来たのでなにか購入

しようかと思ったのですが、まず食指が動いたのがマーラーの9番の自筆総譜のファクシミリ版。これは値段も43ユーロ

とそんなに高くなくこれは買いかなと思ったのですが、なんと3楽章までしかないため買うのを止めました。いったい4楽章

はどこにいってしまったのでしょう?次は5番のアダージェットの自筆総譜のファクシミリ版。これは値段も高かったのですが

嵩が異常にありスーツケースに入りそうもないのでこれも止めました。あと珍しいと思ったのは第10番のバルシャイ版の

スコアが50ユーロほどで売っていました。結局何も買わずに出てきてしまいました。さて、そろそろいい時間になってきたので

  (ドブリンガー 隣はCDショップもある)          (楽友協会ホール)                  (本日のコンサートの案内)

 

本日のメインイベントであるムジークフェラインザールでの演奏会に行きたいと思います。今回楽友協会とシュターツオーパは絶対はずせない

と考えていたので旅行の日程もコンサートに合わせて組みました。ウィーンフィルのチケットは入手困難であり、しかも11月に日本に来日する

ため今回は最初から除外して考えました。チューリッヒトーンハレが楽友協会でブラームスを、ベルリンドイツ響がコンツェルトハウスでマーラー

の1番をやるのでどちらにしようか迷ったのですが、やはりあの黄金のホールを体験しない理由はないだろうということで、ディスコグラフィでは

ちょっと辛めの評価をしているジンマンを聞くことにしました。ニューイヤーコンサートで見ているとはいえ、実際に本物のホールに行くと迫力が

   (1階のエントランスにある胸像)               (マーラーも指揮したGrosser Saal 非常にオケが近く感じる)

 

全く違います。逆に床とか手すりとかテレビで見るよりボロボロなんですけど、またそれが歴史を感じさせていいもんだなあと思いました。

曲目はピアコンの2番とシンフォニーの4番。けっこう重たいプログラムでしたがあっという間に終わってしまいました。終わったら10時を

過ぎていました。明日はマーラーのマンションからシュターツオーパへの道を歩いてみたいと思います。続きはその3で。