シベリウス 交響曲第2番 ニ長調
大学時代からどうしてもやりたかった曲のひとつがこのシベ2だ。この曲の初体験は高校3年のとき場所は
県立音楽堂の神奈川フィル定期演奏会。指揮は渡辺暁雄だった。ただでさえ狭いホールにあの長身の渡辺氏。
指揮台を使わずにホールの床にただの赤いマットをひいた上で指揮していた。日本人とフィンランド人の
混血というのは知っていたが写真で見るとそんなに混血という感じがしなかったのだが、実際目の前で見る
とかなり日本人離れした風貌だった。曲は高校生には難解な内容ではあったがあの颯爽とした4楽章をぜひ
自分で弾いてみたいと思った。大学時代1度だけチャンスはあった。2年生の時の定期演奏会のメインの曲
決めが「ブラ2」か「シベ2」で競っていたのである。まあどちらも難しい曲なのだが当時のレベルからは
「ブラ2」が妥当とのトレーナーの意見等もあり投票の結果僅差で「シベ2」は落選してしまった。その後
オケの方針として実力に見合った選曲をするということから在学中演奏する機会は無くなってしまったので
ある。平成15年に大学オケでこのシベ2を演奏するというので約20年たってようやく夢が実現した。
実際に演奏してみると難しいのなんのって!ブラ2の比ではないのである。特に2楽章は聴いていても難解
だが演奏も難解で、「あーあの時やらないでよかったな」と思ったものである。3楽章は教則本弾いている
みたいだし、大好きな4楽章も3拍子の割にはpizzが入りにくくて苦労したりで、もう一度勉強して出直して
こいみたいな感じで終わってしまった。CDは何種類か聴いたが地元フィンランド勢とイギリス勢の戦いと
いう感じで、いい演奏にたくさんめぐりあえた。もうちょっと精進してから再挑戦したい曲である。
お薦め度 |
ジャケット |
演奏者 |
ちょっとひとこと |
★★★★★ |
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セーゲルスタム指揮 デンマーク国立放送響 |
癒し系シベ2とでもいえるやさしい演奏。テンポはゆったりとしてはいますが、けしてゆっくりしているとは感じませんでした。4楽章はまさに朗々と謳いあげるという感じで非常に感動しました。 |
★★★★★ |
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バルビローリ指揮 ロイヤルフィル |
有名なハレ管との66年の録音に先立つ62年の演奏で若干オーバージェスチャーなところが感じられるもののたいへんメリハリがあり、非常に共感するところの多い名演です。 |
★★★★★ |
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ベルグルンド指揮 ヘルシンキフィル |
フィンランド人の手による純正シベリウス。最初聴いたときは正直物足りなく感じましたが、聴き続けるうちにはまる素晴らしい演奏です。フィンランド人気質というのがあるのかは知りませんが多分この演奏のようなものかもしれませんネ。 |
★★★★ |
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オッコ・カム指揮 ヘルシンキフィル |
約20年前の来日時のライブ。ライブ特有の白熱した名演奏で聴いているうちにだんだん熱くなってきます。同じオケながら上記のベルグルンド盤とは全く違います。カムもまだ30代半ばで大変若々しいシベリウスです。 |
★★★★ |
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レヴァイン指揮 ベルリンフィル |
ベルリンフィルの輝かしい音色とオーソドックスな解釈による極めて高水準な演奏。カラヤン盤と比較するとこれが同じオケ?という感じ。 |
★★★★ |
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ヴァンスカ指揮 ラハティ響 |
ラハティはヘルシンキの100キロほど北にある小都市。日本だと群響みたいな感じか。演奏はいたってシンプル。余計なものはすべて削ぎ落としたという感じです。ヘルシンキフィルが都会のシベリウスならラハティは田舎の純朴なシベリウスといったところでしょうか。 |
★★★ |
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コリン・デイビス指揮 ボストン響 |
これもかなり古い録音になってしまったが捨て難い演奏。全体的に非常に引き締まった音楽作りをしており特に1楽章の緊張感は見事。ロンドン盤よりはこっちをお薦め。 |
★★★ |
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サカリ・オラモ指揮 バーミンガム市響 |
若いというよりも現代的なシベリウスとでもいったほうがピッタリくる感じ。すこし気負いも感じられるが随所に個性的な表現が見られる。フィンランド人にもジェネレーションギャップはあるんだなあと思う演奏。カップリングのシベ4は凄演といっていい出来。 |
★★★ |
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ベルグルンド指揮 ヨーロッパ室内管 |
ベルグルンド3回目の全集。シベリウスのエキスパートが辿り着いた最終結論らしいが、わたしは前のヘルシンキフィルのほうが好き。歌い方の好みが日本人とフィンランド人とでは違うのか、それともこれこそがシベリウスなのか、凡人のわたくしにはわかりません。 |
★★★ |
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バルビローリ指揮 ハレ管(1966) |
ロイヤルフィル盤よりはゆったりとしている。私の好みとしてはロイヤル盤のほうが好きだが、2楽章はこちらのほうがきれいな演奏といえる。 |
★★★ |
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バーンスタイン指揮 ニューヨークフィル |
演奏はともかくとして、とにかくコントラバスがいい。一説によると当時トップだったゲーリー・カーの前にマイクを一本立てたとか? |
★★ |
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コリン・デイビス指揮 ロンドン響 |
評判としては新盤であるこのロンドン響との演奏のほうが高いが、わたしはボストン響との演奏のほうがいいと思う。1,2楽章は旧盤よりも遅くなっており、3,4楽章も気持ち遅い感じ。全体的にしまりのない演奏という感じがする。 |
★ |
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バーンスタイン指揮 ウィーンフィル |
評論家には評価の高い盤だが、わたしは旧盤のニューヨークフィルのほうが好き。シベリウスをマーラーみたいに演奏するとこうなるのか?聴き終わるとどっと疲れがでる演奏。特に2楽章は聴いてるうちに何の曲を聴いていたのか忘れてしまいました。 |
× |
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カラヤン指揮 ベルリンフィル |
カラヤンらしからぬ中途半端な演奏。特に4楽章はぬるくていらいらする。カラヤンの醍醐味は素人受けする「かっこいい演奏」だが、この盤はあまりにもださい。 |
×× |
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トスカニーニ指揮 NBC響 |
音符の隅々にいたるまで悪趣味の極みともいえる演奏どうやったらこんな演奏ができるのか不思議。シベリウスをプッチーニみたいに演奏するとこうなるのか? |