踏歌(1967)
@ 阿部保夫(ギター) CZ30-9017 1968年頃?
A 西村洋(ギター) FOCD3144 1985.3.26
B 野坂恵子(二十絃筝) TYCY-5488 1995.5.24
正式な曲名は「古代日本旋法に依る蹈歌」。1967年秋に作曲され
翌年阿部保夫により初演された。踏歌とは奈良時代から平安時代
にかけて宮中で演奏された歌曲つきの舞踏であり重要な朝廷の儀
式であったようである。現在は廃れてしまってまったく残っていない
とのことである。ちなみに「踏歌」でネット検索してみたところ熊本の
ほうの神社で同様の名前の神事を行っているところがあり興味深い。
多分形を変えながら地方に伝わり続けているものと推測できるのだが。
演奏はオリジナルの@をベストとして挙げたい。この曲の演奏は強弱
緩急といった変化をかなり思いきってやらないと平易でたいくつな演奏
になってしまう。いい例がAの演奏だ。その点からいうとBの野坂盤は
緩急のアクセントを強調した非常にいい演奏となっている。古代日本旋
法とうたっているので二十絃筝での演奏が雰囲気としては正統なのか
もしれないが個人的な趣味からいくと@の阿部盤が一番好きだ。前述の
緩急、強弱のアクセントにしても野坂ほどではないが意識されており15分
あまりの大作を飽きさせず聴かせてくれる。秋の夜長にウイスキーでも飲
みながら聴くのにもってこいの渋い大人の演奏だ。