Der Weg nach Bayreuth 02 申し込み編
さて、そんなことで音楽祭の申込をしようと思ったものの、どうしていいのかさっぱりわかりません。
とりあえずインターネットでまず「バイロイト音楽祭」で検索してみました、そうすると音楽祭の
ホームページらしきものが出てきました。ホームページはドイツ語と英語が選択できるようになって
いるので全くトンチンカンというわけでもなく、翻訳サイトなども使いながら読み進めていくと取り
あえず毎年10月ぐらいから翌年の音楽祭申し込みを受け付けるらしいことが分かりました。事務局
の住所がそこに記載されていたので、そこに手紙を出してまずは申込用紙だけでも送ってもらうこと
にしました。以下がその時出した手紙のコピーです。
ドイツ語訳はグーグルの翻訳を使用したと記憶しています。文法があっているかどうかは分かり
ません。職場にドイツ語が堪能な人がいればよかったのですが、あいにくドメスティックな部署
にいたせいで点検してもらうことはできませんでした。ただ後日申込書類が届いたところをみる
と意味は通じたのだと思います。それで念には念を入れて返信用のドイツの切手も同封しました。
こうすれば無視されることもないだろうと思ったので。これもまたネット検索でドイツ国内から
出すエアメールの切手代を調べて、日本でドイツの切手を売っているサイトを探し出して€0.55
の切手を購入し、それを2枚同封しました。エアメールは職場の近くの郵便局の本局から出した
のですが、郵便代は110円と国内とあまり変わりませんでした。それでこれが2010年の9月2日
のことです。NHKの生中継があったのが8/22なので、自分的にはかなり素早い対応だったなと今
振り返ってみても思います。それで返事がくるかどうか半信半疑だったのですが、なんと2週間後
の9/15にバイロイトからエアメールが届きました!!いや、うれしかったですね。ようやくスター
トラインに立てた気分になれました。下のようなレターが届きました。
(写真は翌年2012年用の申込用紙です)
ご覧のとおり2011年と2012年は指環のない年で2011年はオランダ人を除く5演目を2012年
はマイスターを除く5演目を各6回ずつ公演するようになっていました。自分のカスタマーIDと
パスコードが記載されていますので、音楽祭のホームページからログインしてオンラインで申込
をします。それで一回登録されると今度は毎年音楽祭終了後の9月はじめに郵便が自動的に届く
ことになります。(2016年から郵便はやめたみたいです。ホームページに2017年の予定が詳細に
アップされて、それを見てログインして申し込みます。)ただここで問題なのが、来年の夏の予定
なんてこの時点ではまったくわからないことです。とりあえず夏休みが固定されているサラリー
マンとか、引退されている高齢者の方なら問題ないかもしれませんが、そういうわけにもいかない
身分なので、8月の中でも一番休暇の取りやすい1週間を選択しなくてはなりません。基本的に長
期休暇は私の職場は土曜日から次の日曜日までの9日間が基本ですので、これに合うように申し込
みを行います。この年度のように単発の演目が並んでいる時は問題ないのですが、「指環」の場合4
つセットで申し込まなくてはならないため、日曜にラインゴールドが始まらないと次の日曜に日本
に戻ってこられないことになります。指環は4演目ですが実際は6日間を要するため自分の休暇に
合わせようとするとかなり無理があるわけですね。実際2013年から指環の新演出が始まりましたが、
2013年は日曜開始の指環がなかったので申し込みせずに、しかたなく単発の演目を4つ申し込みし
ました。あと席のカテゴリーを第1希望と第2希望の2つ入れなくてはいけません。2011年は一番
高いA1というカテゴリーが€280、一番安い4階席のG2が€35とピンキリですが、とりあえず8年
待ちなのでカテゴリーAのいい席を申し込みました。ここで疑問なのが座席の選択によってはすぐに
回ってくるのかどうかというところですが、正直わかりません。
2014年には指環の新演出が非常に評判が悪く従来のバイロイト人気にも翳りが出てきたなどという
話しも伝わってきました。それでも相も変わらず毎年夏の終わりにバイロイトの申込をするのが私の
ルーティーンになっていたわけです。この間2013年の夏には私も銀行を卒業して第2の人生として
関連企業に移ることになりました。本体の銀行にいるよりは休暇なども取りやすい環境なので、より
バイロイトが近づいたなと感じました。2015年の11月に縁があって第9交響曲の演奏会に出ません
かというお誘いを頂きました。合唱ではなくオーケストラの一員としてです。どうしようかなと迷っ
ていたのですが、なかなか第9の演奏会に出るというチャンスもないこと、しかも本番は東京文化会
館ということで思い切って出演させて頂くことにしました。本番まで半年弱練習期間があるので大丈
夫だろうと考えたわけです。そしてその1週間後の11月30日、社長に付き合って遅くまで飲んで帰
ってきたら、なんとバイロイトから郵便が届いているではありませんか!それもなんとなくプレミア
ム感溢れる封筒で。かなり酔っぱらっていたのですが、急いで開封すると…
ドイツ語で書いてあるので正確なところは分からないのですが、なんとなくチケットが取れたような
雰囲気の文面が!!翌日冷静になってグーグルの翻訳サイトなどで文面を確認すると確かに指環と
トリスタンのチケットが取れたようです。しかしよく見ると支払期限が12月15日となっており、
なんとあと2週間しかない無いではありませんか…まずやらなくてはいけないことは、第一に妻の
説得(これが最難関)がありました。2017年冬に娘の受験があるため、妻はこれが終わらないと一緒に
行かないと最初から言っていて、申し込みもずっと1名でしていたんですね。図らずも予定よりかなり
早くにバイロイト行きが実現してしまったので単独で行くことになってしまったわけです。そもそも
うちの妻は音楽もやっていないですし、ワーグナーにもあまり興味がないのであまり行く気はなかった
みたいなのですが…それで猫なで声で「ねえ、一生のお願いがあるんだけど…」とか言ってお願いした
ところ、快く応諾を頂きまして(といっても金銭的要求ももちろんあり)とりあえず初のバイロイト訪問
の環境はここにめでたく整ったわけであります。バイロイトにゆかりのある第9交響曲を演奏する年に
バイロイト訪問が実現する…非常に不思議な縁というものを感じました。