記事タイトル:肺生検の是非について活発な討論を望む!
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お名前: 中島 洋
肺生検のリスクについてですが、132施設で410例(開胸肺生検23例を含む)の肺生検例
で、医師にアンケート調査を行い、検査としての位置付けを検討した報告によると(びま
ん性肺疾患の外科的肺生検アンケート、日本呼吸器学会雑誌 38(10):770-777, 2000)、
合併症は32例にみられ、発生率は7.8%であった。主な合併症としては、出血、空気漏れ、
感染、原病の急性増悪などがあり、合併症の転帰は、治癒11例、軽快14例、悪化2例、死
亡5例であった。術後原病の急性像悪は9例にみられ、5例はステロイドで軽快したが4例は
死亡した。死亡5例のうち4例は術後原病の急性像悪(残りの1例については記載なし)
で、その病理診断は、UIPが2例(42歳、70歳)、Organizing pneumonia 1例(68歳)、
PN-IP 1例(37歳)であった。死亡例の生検前の病変がどの程度のもので、リスクを承知
であえて施行したのか?、軽度の病変であり、生検によるリスクは全くないと考えられた
例で死亡したのか?、については記載がないので不明ですが、やはり、生検によって死亡
する場合があることを認識しなければなりません。生検に伴う急性増悪の予防や治療法に
関しては、今後の課題であると結んであります。患者への利益については、82.2%の症例
が、肺生検によって利益を得たと主治医は判断していた。この調査では。患者には質問を
していないので、結果は必ずしも客観的とはいえない。しかし、ともすれば患者に負担が
大きいこの医療行為が患者への利益として還元されたと主治医は考えてることを示してい
るものと思われる。治療についてですが、UIP、NSIP、BOOPなどにおいて、治療の有無、
治療内容は施設によって異なっていた。ステロイドの初期投与量もバラツキが大きかっ
た。これらの疾患に対するステロイド投与量や投与法に関する無作為前向き試験が行われ
ていないことが理由と考えられる。肺生検が次第に普及してきた現在、多施設の共同研究
などにより生検結果に基づく治療法を確立
[2001年4月16日 14時3分44秒]
お名前: 鎌谷直之
中島先生の考えは非常によくわかりました。
解決すべき問題は、肺生検の合併症とその頻度、
および
呼吸器内科の肺生検に対する考え方との整合でしょう。
肺生検を依頼する部門が我々と適応の考え方が違うのでは
うまくいかないでしょう。少し、向こうの考え方を聞いてみましょう。
レントゲンカンファランスに来ている、本学の呼吸器内科の先生
のお考えはどうだったでしょう。
[2001年4月15日 6時31分21秒]
お名前: 中島 洋
その2(下記に続く)
『呼吸器の専門家が必ずしも間質性肺炎患者全員の肺生検を支持せず、』とありますが、
私は、『基本的には治療の対象となる全ての関質性肺炎患者』を対象と記載しています。
また、呼吸器の専門家が必ずしも支持せず、とは、肺生検を否定している呼吸器の専門家
がいるのでしょうか?、支持しない理由は何だと主張しているのですか?、文献があれば
教えて下さい。『症例を制限して行うに留めるほうが適切では、』とありますが、なにを
基準として制限するのでしょうか?、お答え願います。
山中先生の指摘した肺生検のガイドラインについてですが、欧米では盛んに肺生検が施行
されており、UIPも対象に含まれているようです。特にガイドラインはないようで、びま
ん性肺疾患は肺性検で診断するといった風潮のようです。対して、わが国では呼吸器学会
認定施設における肺生検実施率は40.7%に留まっており、まだ、びまん性肺疾患を積極的
に追求している施設が中心のようです。日本呼吸器学会としても、まだ正式なガイドライ
ンを作成していないようです。肺生検の適応について、以前、自治医大の杉山教授に直接
尋ねたところ(学会終了後、たまたま同じ居酒屋で痛飲する機会があった)、『ステロイ
ドの反応性の有無を確認するため』と言っておられました。
次に、肺生検のリスクですが、132施設で410例の肺生検例で、医師にアンケート調査を行
い、検査としての位置付けを検討した報告があります。これについては長くなるので次回
記載します(もちろん肺生検を施行する意義は高いと結んで
[2001年4月14日 20時58分14秒]
お名前: 中島 洋
鎌谷先生の御指摘に回答します。
『呼吸器専門の病院なら正しい診断をするために必要、という理論で十分かもしれません
が、』についてですが、我々は、リウナチ医で、呼吸器専門ではないので、正しい診断は
不要となるのでしょうか?。癌であれば別ですが、我々も間質性肺炎を治療するわけで、
その場合、呼吸器専門の病院と同等の最高レベルの治療を目指すのは当然だと思います。
あいまいな診断で、呼吸器専門の病院と比較し、治療が劣るのであれば、肺病変の治療に
関しては、呼吸器専門の病院に転院させるべきだと思います。
『医師が自信を持つために検査をする』という意味は、医師側に立った医療ではなく、患
者側に立った医療だと思います。別に、医師の個人的なこだわりで肺生検を施行している
のではなく、肺生検の結果から、
あなたの肺はステロイドを使用することによって、確実に良くなります。
あなたの肺はステロイドを使用しても、改善する見込みは乏しい。しかし、放置しても今
後さらに悪化する可能性はほとんどないので、外来で注意深く経過観察します。
あなたの肺はステロイドを使用しなくても、このまま放置して大丈夫です。
あなたの肺は非常に予後の悪い状態です。現状では、ステロイドと免疫抑制剤を併用する
しか対処方法がありません。出来る限りの治療をしますが、最悪の場合も覚悟して下さい
(実際には、家族向け)。
など、医師は自信を持ってムンテラすることができます。対して、肺生検なしでは、
あなたの肺病変に対して、ステロイドを使用します。多くの例では改善しますが、必ず良
くなるのかについては、実際に使用してみないとわかりません。
程度のムンテラになるでしょう。患者側に立った医療だと思います。
上記のように肺生検をすることで、治療のガイドラインが出来上がる。これは、『肺生検
が役に立つかどうかはこれからの問題だが、』ではなく、既に根拠があって(文献は以前
に記載済み)、もはや肺生検は、臨床研究の範疇ではないと思います。
『呼吸器の専門家が必ずしも間質性肺炎患者全員の肺生検を支持せず、』とありますが、
私は、『基本的には治療の対象となる全ての関質性肺炎患者』を対象と記載しています。
また、呼吸器の専門家が必ずしも支持せず、とは、肺生検を否定している呼吸器の専門家
がいるのでしょうか?、支持しない理由は何だと主張しているのですか?、文献があれば
教えて下さい。『症例を制限
[2001年4月14日 20時42分10秒]
お名前: 谷口敦夫
「免疫抑制剤の使用法やその効果の検討を行う場合でも、肺生検なしに、改善した、し
なっかた、と議論しても全く意味がないと思います。」確かに、腎生検でも組織型を分類
してデータを出すので、議論がかみ合うわけですよね。それは、組織によって治療法や予
後が違う、ということがある程度コンセンサスとなっているからでしょう。肺はどうで
しょうか?膠原病に限らず○○型ではステロイド有効率XX%とかいう数字があれば教えて
下さい。(多分、膠原病では無いのでしょう。)
医局の講演会に肺生検の必要性について講演を頼んで我々も勉強してはどうでしょうか?
[2001年4月14日 12時24分56秒]
お名前: 鎌谷直之
医師が自信を持つために検査をする、という主張は現在では受け入れがたいと思います。
自信を持って治療したほうが結果が良いという証拠を出せと言われるでしょう。
医師側に立った医療から、患者側に立った医療に急速に変化しつつある現状を
正しくとらえないと危険だと思います。
肺生検が役に立つかどうかはこれからの問題だが、それを確かめる必要性から
実施するなら、それは臨床研究でしょう。臨床研究を行うなら、それによる
患者負担と、その研究を行う体制が問題になってきます。インフォームドコンセント
の問題も生じるでしょう。患者が多いという理由だけでは正当化されないでしょう。
やはり現在の我々の体制では、しかも、呼吸器の専門家が必ずしも間質性肺炎患者
全員の肺生検を支持せず、しかも肺生検が患者のためになるという証拠が不足して
いる現状ではもし肺生検を行うとしても症例を制限して行うに留めるほうが適当
ではないでしょうか。
[2001年4月14日 11時11分29秒]
お名前: 中島 洋
肺生検のリスクに関しては後日記載します。
まず、3月12日に記載した『間質性肺炎について思うこと、UIPとNSIPを中心として』と、
3月26日に記載した『MTX肺炎について、肺生検の必要性』に目を通して下さい(同じ記載
を省くため)。
一般に、蜂窩肺を呈する間質性肺炎(UIPに相当)を除き、進行性の間質性肺炎では、多く
の例でステロイドの投与により改善が得られます。しかし、一部では同様に治療したにも
かかわらず、間質性肺炎は悪化し死亡する例も存在します。死亡する例は頻度も少なく例
外なのでしかたがない、としていいのでしょうか?。やはり、死亡例が仮に100人に1人
(1000人に1人でもいいですが)であっても、その間質性肺炎の病像について、我々は検
討し、また治療が妥当であったのか検証する義務があると思います。DADであったの
か?、NSIPのIII群であったのか?、BOOPでもステロイド抵抗性の場合があるのか?、薬
剤性肺炎だったのか?、レジオネラ肺炎のような特殊な感染症であったのか?、はたまた
今までに報告されていない病像であったのか?、剖検すればある程度の結論が出ると思い
ますが後の祭です。
ステロイドにより改善が得られるのはNSIP、BOOPで、両者の頻度は多く、病理診断を無視
しても、結果的に改善する例が多いため、あえて肺性検をしなくてもいいのでは?、とい
う考え方では上記の問題はいつまでたっても解決しません。どうせステロイドしか治療法
がないのだからとりあえず投与しよう、といった姿勢であれば、別に、ガリウムシンチ
(その評価に否定的な意見もあり)、BALなども必要ないと思います。現状において、間
質性肺炎の病像を正確に把握する手段は、肺生検しかないので、その必要性を強調する次
第です。BALに関しては、感染症を除外するためには必要で、また、細胞成分や液性成分
についていろいろな解析結果が報告されつつあり、今後DADなどの存在を推測する指標が
見い出される可能性があります。
鎌谷先生の、患者の役に立つデータが必要との指摘に対してですが、ステロイドに反応す
るNSIPやBOOP例であったならば、肺生検を施行された患者は負担になったかもしれませ
ん。しかし、病理診断が得られれば、無意味なステロイドの過剰投与が避けられ、また、
ステロイドの減量についても我々は自信を持って行うことができると考えます。肺生検の
結果、NSIPのIII群であれば、治療効果がみられないからといって、ステロイドパルスを
繰り返すといった無駄な治療は回避される場合もあると思います。根拠を出せとよく指摘
されますが、IIP例では多くの症例数があり、問題も整理されつつあるあるのに対し、膠
原病肺ではSScやPM/DM、RAなど原病の違いにより間質性肺炎の病像にも違いがあり、ま
た、症例の蓄積も不足しており、根拠といってもまだ手探りの段階です。免疫抑制剤の使
用法やその効果の検討を行う場合でも、肺生検なしに、改善した、しなっかた、と議論し
ても全く意味がないと思います。また、生検材料が得られれば、病理組織学や分子生物学
的検索も飛躍的に発展し、病態の解明や治療にもつながるものと考えられます。症例数の
多い当センターが、これらの問題について積極的に解明する義務があると思います。
肺生検の対象となる場合ですが、基本的には治療の対象となる全ての間質性肺炎です。も
ちろん高齢者や高度な肺機能の低下があれば断念します。
まだまだ記載したいことはたくさんありますが、ひとまず今回はここまで。ガ
[2001年4月14日 0時38分0秒]
お名前: 山中 寿
最近は、各疾患でガイドライン作成が流行しています。
日本胸部疾患学会ではできていなくても、米国胸部疾患学会で肺生検の適応に関するガイ
ドラインや間質性肺病変の治療に関するガイドラインはできていませんか?
あれば教えて下さい。この一連の議論に客観性を持たせられると思います。
[2001年4月13日 21時49分23秒]
お名前: 梶山 浩
馬鹿げた質問かも知れませんが
腎生検の要領で、肺組織を採取
すると、やっぱり気胸になっちやう
のでしょうかね。
[2001年4月13日 17時44分11秒]
お名前: 赤真秀人
「肺生検を行って、一応の診断が決まったとしても(ステロイドなどで治療すべき、または治療
しなくてよい)、それに従って治療をすると肺生検無しに(CT,ガリウムシンチ、その他)治
療を選択するより明らかに患者の予後が、肺生検によるデメリット(合併症のリスク、患者の負
担)を上回る改善が期待できるという証拠を出して下さい。」
・・・・・・・うーん、厳しいが的を射た御指摘ですね。
しかし、リウマチ専門医にとって、肺生検をした方が良いのかどうかについての成績が今までに
ないのであれば(あるのであれば中島先生、是非、探してください)、やはりまずは肺生検をし
てみないと、答は出せない気がするのですが、皆さん、いかがでしょうか?
[2001年4月13日 13時38分58秒]
お名前: 鎌谷直之
中島先生の提案は、間質性肺炎、肺線維症の患者全員に
肺生検を行おう、というものでしょうか。
それとも、その一部に行おうというものでしょうか。
もし、一部だとすると、その選択はどのように行おう
という提案でしょうか。
そのあたりが明らかになると、我々も納得ができると思います。
[2001年4月13日 12時57分30秒]
お名前: 田中 栄一
中島先生ご苦労様です。急性の呼吸不全の症例はいたしかたありませんが、
回診に出ていて、僕からみて、確かにこの症例はやった方がベターかな?という
症例は時々遭遇します。
しかし、以下のような理由でなかなか実際は施行されずらいのでしょうか?
肺生検が全身麻酔であること、
治療開始が遅れること、
主治医がきちんと把握していないと(検査をあえてやらなくてはいけない意義と
リスクなどについて)ムンテラが困難であること(症例が今まで非常にすくなかったた
め)、
肺の組織の結果がでてもきちんと組織を判断できる病理医が少なく、時々、その結果の解
釈が一定化しないことがあること、
などでしょうか?
社会保険中央総合病院 の徳田先生も、充分Ptのセレクトには気をつけるようおっしゃいま
す。僕らが、”この症例は生検すべきでしょう”という症例に、”やる必要はないでしょ
う。”だったり、逆に、”どうしてこういう症例に生検しないの?”だったり、
僕ら膠原病医の勉強不足もあるでしょうが、レントゲンカンファで学んでいても
その判断は、非常に難しいところがあります。
こういうことを契機に、肺のことを、皆が勉強すれば、よいかな?と思いました。
(もちろん自分も含めて)
[2001年4月13日 12時7分27秒]
お名前: 鎌谷直之
検査に意味があるかどうかを判定するための理論武装が必要です。
呼吸器専門の病院なら正しい診断をするために必要、という理論
で十分かも知れませんが、我々はその検査をすることにより本当
に患者の役に立つかというデータが必要です。
そのリスクとメリットは当然トレードオフの関係にあり、メリットを
増やそうとするとリスクは増えます。
今までの先生の主張では、私には肺生検を多くの患者に施行することが
患者のために本当に良いという確信が持てません。
むしろ肺生検を行って、一応の診断が決まったとしても(ステロイドなどで
治療すべき、または治療しなくてよい)、それに従って治療をすると
肺生検無しに(CT,ガリウムシンチ、その他)治療を選択するより
明らかに患者の予後が、肺生検によるデメリット(合併症のリスク、
患者の負担)を上回る改善が期待できるという証拠を出して下さい。
[2001年4月13日 11時1分58秒]
お名前: 中島 洋
5年前、柏崎先生より、社会保険中央総合病院で1年間呼吸器内科医として修行を積んでこ
い、と激励され、なんとかその任務を果たし、青山に戻り,BALの導入、レントゲンカン
ファなど膠原病肺について取り組んでいます。しかし、医局ネットでも雑文をたびたび掲
載しましたが、膠原病肺のアプローチには肺生検が極めて重要です。青山病院では、肺生
検を施行する場合、患者を呼吸器病センターに転院させなければならないという不便な点
がありますが、現在、レントゲンカンファには呼吸器病センターの先生も来て下さってお
り、センター間の連携をうまくすれば、そんなに不便ではないと思います。肺生検の必要
性を医局ネットで何度も強調していますが、私の啓蒙が不足しているのか、反論を含めレ
スポンスが全くありません。思い付くままで結構ですので活発な討議をお願い申しあ
[2001年4月13日 10時40分59秒]
このテーマについての発言をどうぞ。
※半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
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