記事タイトル:報告2:フォーラム「臨床と疫学」 


書き込み欄へ  ヘルプ
お名前: 鎌谷直之   
私は、臨床医学とは、「患者の幸福を、我々が変化させうる変数を
パラメータとする関数で表し、それを最大化する事である」と
思います。

しかし、実際には幸福関数は不確かで、その不確かさをベイズ的に
統計で表し、最尤推定するという事になると思います。
[2001年3月5日 17時33分10秒]

お名前: 鎌谷直之   
日本の社会に欠けているのがリスク管理といわれるものですが、
リスクとは即ち確率のことだと思います。

なるかもしれないが、ならないかもしれない、からリスクでしょう。
このとき、日本ではリスクの相対評価(というのは統計)をしないから
どんな小さなリスクでもおどしの材料になってしまう。

諌早湾のせき止めを解除して、万一洪水になったらどうする。
おまえは責任を取るのか。というと、それが100年に一度の
事でもリスクの方が勝ってしまう。

薬の副作用についても同様だと思います。我々は薬には副作用
がつきもののことは知っているのに、あたかも副作用は無い
ように患者さんに言って、起こったときに大変困るという
のが昔の医療。

極めて稀な副作用が起きたときにはその医師は万死に値する
という剣幕のマスコミも悪い。医師は、副作用のリスクを
その時点で得られる情報のすべてを動員して評価し、その上
で使用するかどうかを決定すべきだと思います。

リスクがあるのに、全く無いことを前提とした思考方法は
日本に蔓延していて、誰も責任もリスクも取らないという状態
になっているように思います。
[2001年3月5日 17時26分58秒]

お名前: 赤真秀人   
それにしても山中先生のタフさに感心しております。私は、大阪に行っただけで、かぜを
引きました。それはともかく、

「米国では臨床の現場に統計的考えを持ち込むことが最近重要視されています。
私はそのような事も重視していきたいと思っています。といっても、現在は
遺伝統計学で手いっぱいなので、どなたかお願いします。アドバイスはいつでも致します。」

私もそう思っています。ただ、何ができるのか、何をすべきなのか、など良くわからない
ところも多いのですが、臨床医の立場から、統計学的頭を使って、現在まであまりなされて
いない手法を用い、EBMを活用して、何かしてみたいと思います。
a lot of advice をお願いします。
[2001年3月5日 14時1分35秒]

お名前: 鎌谷直之   
皆にはいわなかったけど、我々は以下のサイトで遺伝統計学の解説をしています。

http://genstat.net/

その中で、確率、尤度、ベイズの定理、事前確率、事後確率などの解説を
しています。

http://64.33.28.111/genHP/statistics.html

リウマトイド因子を調べることにより、どのようにRAである確率
分布が変化するかについて解説しています。

診断基準(分類基準)についても日本の臨床医は統計的概念がなさすぎる
と思うのです。Sensitivity, specificityなどの概念をどれほど正しく
理解し、それをどのように自分の診断に応用しているでしょうか。
[2001年3月3日 13時29分34秒]

お名前: 鎌谷直之   
私も日本においてはあまりにもin vitroの実験にかたよりすぎていると
思います。疫学、あるいは臨床統計学がいかに軽視され、そのため
多くの不都合が生じているかはあまり理解されていません。

山中先生御指摘の点の多くは、統計学を学ぶことで改善できると思います。

私は臨床の現場においても、統計的考えが無視されていると思っています。
それは、疫学だけではなく、診断学、治療学、判断学についてそう思うのです。

米国では臨床の現場に統計的考えを持ち込むことが最近重要視されています。

私はそのような事も重視していきたいと思っています。といっても、現在は
遺伝統計学で手いっぱいなので、どなたかお願いします。アドバイスは
いつでも致します。
[2001年3月3日 13時21分48秒]

お名前: 山中 寿   
3/23午後は、京都大学でEBM をしている福原先生からご招待いただき、「臨床と疫学」
というシンポジウムに参加してきました。おもしろかったのは国立がんセンターの
佐々木敏先生の講演で、かなりかわった経歴の持ち主ですが、栄養ということをまじめ
に考えています。日本には医学部で栄養学のポストが一つもなく、これが欧米との大き
な差を生んでいるそうです。日本で栄養学をしている人はほとんど全て実験栄養学であ
って、それがヒトに応用できるかどうかを検証していないし、検証する気もないのに
体に良いとか悪いとか言っているのだそうです。

最後のスライドはこんな人にご注意というものでした。
実験栄養学者では、都合の良いことばかり紹介する人、一つの栄養素が万能だと主張
する人、細胞や動物レベルの結果をヒトに外挿する人
家政学系では、科学的知見を道徳やしつけと混同する人(朝食はしっかりとりましょうetc)、権威に盲従する人
疫学系では、数が多ければよいと思っている人
臨床系では、治療と予防の区別がつかない人(脳梗塞の治療の専門家に脳梗塞の予防法
を取材してどうするのか)

最後は少し耳に痛い言葉ですが、まさに我が意を得たりの名講義で参考になりました。
[2001年3月3日 11時23分8秒]

このテーマについての発言をどうぞ。
氏名
E-mail URL


半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
記事一覧に戻る