記事タイトル:イムランについて 


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お名前: 梶山浩   
もともと中島亜矢子先生のエンドキサンから話が
はじまったので、前の投稿でエンドキサンについて
と書いてしまいましたが、まぎわらしいのでイムランについて
という題名にして書き込みました。前と同じ内容です。

azathioprineのエビデンスについて(lupus nephritisに関して)

lupus nephritis:
       active nephritis のあるSLE患者111人を high-dose PSLのみ、low dose PSL+CY 
pulse, low dose PSL+oral CY, low dose PSL+oral AZA+pulse CY,oral AZA+low dose PSL
にrandamizeして行ったstudy.CYを使用したpt群は腎機能維持にPSL単独群に比べlong-term 
benefitがあったが、AZA群はPSL単独群と同様であった。
Arthritis Rheum 1991 Aug;34(8):945-50


RCTのpooled analysisの結果(それまでのRCTをまとめた結果)ではPSLのみとCY+PSL,AZA+
PSLと比べると、CY+PSL,AZA+PSLのほうがより腎機能が悪化しにくく、より腎不全になりに
くく、腎が原因で死ぬ症例がより少ない。しかしoverall mortalityには影響を与えない。
いままでのRCTは症例数が少なく、cytotoxic agent + PSLの効果がfalse negative 
conclusionとして報告されていた。
N Engl J Med 1984 Dec13;311(24):1528-33

PSLのみ、oral CY + low-dose PSL, oral AZA + low-dose PSLの3群間の6年間の
prospective study。腎のchronicity index が中等度の場合、CYあるいはAZA群では11人中
腎不全になったのは一人だけであるが、PSLのみ群では3人が全員腎不全になった。 
Ann Intern Med 1983 Jul;99(1):1-8 Controlled studies of oral immunosuppressive 
drugs in lupus nephritis. A long-term follow-up.

1年半から2年観察したlife-threatening SLEの24症例のprospective studyでは
steroid-sparing effectは見られず、steroid単独群にくらべても死亡数や腎症状、腎外症
状の差はえられず、AZA200mgこえると肝障害あり、否定的なdata
Ann Intern Med 1975 Nov;83(5):597-605

その他、80年代にRCT,prospective study があり、概ねlupus nephritisの腎機能維持に
はある程度効果があるが、重症SLEやactive nephritisを改善する上でPSLを上回る効果は
無く、SLE全死亡には影響を与えない。症例を選べばAZAは腎機能維持の効果はありの様で
す。しかし多くの論文でおそらくAZA群は数例から数十例に留まっており、まだ、大きな症
例数で、AZAの腎機能維持をPSL単独とくらべて行ったstudyはありません。これらの報告か
らすると、AZAの効果はlupus自体のactivityがある程度押さえられているにもかかわら
ず、尿蛋白は消えず、CcrやCrが半年~1年かけてじわじわ悪化するような、WHO�or�+�
のような症例を選べば、腎機能悪化を防ぐ効果はあるのではと考えます。今年のJournal 
of American Society of Nephrologyには progressive IgA nephritisに対するoral CY 
3month+それ以降は6年AZAがPSL単独に比べよいとのRCTが出ておりました。

AZAは鎌谷先生の御指摘のとおり、CYに比べ副作用が少なく、また、AZA内服中に妊娠出産
を無事すませ、児にも特に異常が無い例を数例群大時代経験しており(私が受け持ったわ
けではありませんが)、症例を選べば使用価値があると思います。
[2002年3月10日 22時22分19秒]

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