記事タイトル:嘔吐中枢は何処? 


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お名前: 勝又康弘   
domperidone(ナウゼリン)は,抗ドーパミン作用を有し,CTZに作用し,強い制吐作用を示
します。消化管運動の促進作用によって,反射性嘔吐にも有効です。
また,metoclopramide(プリンペラン)に比べて,血液脳関門を通過しにくく,錐体外路症
状などの中枢神経系の副作用が少ないようです。抗パーキンソン病薬のL-dopaの副作用に
よる嘔吐の抑制にはナウゼリンが推奨されていて,またナウゼリンの適応にもL-dopa投与
時の消化器症状があるのですが,そのためではないかと思われます。

ガスモチンは,消化管のコリン作動性神経上に存在するセロトニン5-HT4受容体に拮抗し
て,制吐作用を示します。

カイトリル,ナゼア,ゾフランなどは,消化管の求心性腹部迷走神経末端に存在する5-HT3
受容体に抗悪性腫瘍薬の投与により小腸粘膜の内分泌細胞から放出されたセロトニンが結
合するのを選択的に阻害し,強力な制吐作用を発揮します。なお,5-HT3受容体はCTZにも
存在することが知られています。
[2002年12月26日 8時52分19秒]

お名前: 勝又康弘   
因に,問題の患者さんは,CNSループスも疑われているのですが,画像や脳波で所見もあ
りませんし,少なくとも,「嘔吐」に関しては,頭痛などの頭蓋内圧亢進症状も
伴いませんし,嘔吐を生じる際にはめまいや難聴・耳鳴とも伴いませんし,中枢神経症
状というわけではないと思います。
尤も,心因性の嘔吐で,その心因がCNSループスによる精神症だとしたら,広い意味では
CNSループスの症状と言えるかもしれませんが……。
[2002年12月25日 22時44分11秒]

お名前: 勝又康弘   
神経学的診察法に,咽頭または催吐反射 pharyngeal or Gag reflexと軟口蓋反射
palatal reflexがあります。

いずれも生理的な表在反射で,咽頭後壁あるいは軟口蓋を軽く刺激する時,咽頭筋・
口蓋筋が収縮し,嘔吐運動が生じるのをいいます。

反射弓は,求心路は咽頭反射では舌咽神経に,軟口蓋反射では三叉神経第二枝にあり,
遠心路はいずれも迷走神経にあります。中枢は延髄にあります。

いずれも球麻痺の際に欠如しますが,正常人(特に老人)でも欠如する場合が少なくあり
ません。

咽頭反射より軟口蓋反射の方が出やすく,臨床的意義が高いと言われています。一側
性に欠如する場合に臨床的意義が高いとも言われています。
[2002年12月25日 22時43分42秒]

お名前: 勝又康弘   
一般に,悪心・嘔吐の原因は,1)精神的,2)中枢神経の病変と刺激,3)腹部を中心と
した臓器由来,4)血中の異常な化学物質によるCTZを介した嘔吐中枢の刺激に分類されま
す。

2)中枢神経性のものとしては,出血・腫瘍・炎症などによる頭蓋内圧の亢進,内耳迷
路の刺激または病変,咽頭粘膜の刺激などがあげられます。

その他,食物アレルギー,乗物酔,嗅覚・味覚・視覚から派生した嘔吐,水電解質の
異常,ショック,低酸素血症なども嘔吐の原因になります。
[2002年12月25日 22時43分12秒]

お名前: 勝又康弘   
病棟に入院中の,SLEが疑われる若い女性が,原因不詳に嘔吐を繰り返しています。回診
で嘔吐中枢について質問を受けたので,お答えします。

嘔吐中枢は延髄に存在します。
嘔吐は,消化管粘膜など各臓器にある感覚レセプターが刺激を受けることにより発生す
る末梢インパルスが,迷走・交感の両神経の求心路を通って嘔吐中枢に伝わることによ
り起こる場合と,嘔吐中枢が高位の中枢より刺激を受けることにより,または自発性に
嘔吐中枢がインパルスを発して起きる場合があります。
なお,延髄の引金帯(chemoreceptor trigger zone=CTZ)と呼ばれる部位にある化学受容
器が刺激されると,その情報はこの嘔吐中枢に伝えられ,その結果,嘔吐を引き起こし
ますが,このCTZは他の延髄部位に比べ物質に対する透過性が高いそうです。
[2002年12月25日 22時42分39秒]

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