記事タイトル:なぜベンチャーが育たないか、他 


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お名前: 齋藤仁之   
山中先生に勇気をいただいて‥私も個人的意見を書かせていただきます。

ベンチャーが日本で育たない理由はいろいろあると思いますが、多くの銀行のように
担保がないとお金を貸し出さないような姿勢だとどうしても相対的に才能に対しての
評価が低くなってしまい投資がうまくできない部分があるのではないかと思います。

昨日実家に帰って母親と話をしていた時、死んだ私の父が会社で働いていた頃の仕事
の一つで、金型加工技術をもった人の会社を立ち上げようとして失敗した話がでてき
ました。失敗の理由はその人は裸一貫の人で後ろ盾になるもの(土地等)が何もなか
った事だったようです。結局その人はいま台湾に渡って金型工場に技術を売るコンサ
ルタントになったということでした(ある意味ではこれも頭脳流出ですね)。

一方では見事に会社ができた例もあるのですが、その場合は事業を始めようとした人
が農家で地主だった事が大きかったようです。親会社は失敗しても彼の土地を売れば
お金は回収できると思ったのでしょう。親父の勤めていた会社はいわゆるメーカーで
技術系民間企業ですらそんな状態ですので日本全体でいわゆるベンチャーが育つのは
まだまだ先のことかもしれません。

ベンチャーキャピタル側の問題だけでなく彼らの商売相手(企業)側にもベンチャー
育成において難しいところがあるようです。特に日本企業は日本ベンチャーをあまり
信用していない感じも受けます。一方外国ベンチャーにはかなり甘くて結局は大した
技術ではないものに法外な価格をつけられて契約しているケースもあるようです。
なんか端から見ていて‥いいようにやられてしまっている、という感じに思えます。

ベンチャーは株と一緒で、評価の定まっていない時には安く買えますが世間の評価が
高くなってからだと(中身はなんであれ)買うのにはお金がかかります。ある外資系
製薬会社でベンチャーと非常に積極的に契約する会社があるのですが、その会社では
かなり早い段階で契約を結んでその技術を自社内で評価してるそうです。そのような
早期の契約だと料金もまだ安く、またベンチャー側でも契約実績が欲しい時期なので
結果かなり安く契約できるようです。件の企業ではそのようにして同じ経費で多数の
ベンチャーの技術内容を評価することで、世の中に出てくるベンチャー保有の技術に
対して早期に適切な判断をだすことができるようにしてる‥ということだそうです。

こういう企業がもっと増えればベンチャー市場も更に活気づくだろうなと思います。

今の感じでは外国ベンチャーから見て日本製薬企業とかは単なる小金持ちの金ヅルで
外国製薬企業には安く技術を渡しておきながら、その実績を日本企業に見せつけて、
「いまこの技術は多くの大手世界企業で使われてますよ、時代に乗り遅れますよ〜」
といって法外な値段をふかっけられてるって感じに見れます。またソレにいいように
乗ってしまう企業が多いことにも非常に問題があるのではないかとも思います。
日本人は海外ブランドに弱い‥ということがここにもあるのでしょうか??

最後に‥
山中先生がご指摘のように、日本人は付和雷同傾向は強いですがその傾向も少しずつ
薄らいできているようです。もう少し時代が経てばかなりの意識改革があるとは思い
ますが予算を振り分けている方々の意識がどう変わるのかはちょっと気がかりです。
天下り先を2回も紹介して貰えて、合計3回も退職金を貰える権利を持っている公僕
の方々がそう簡単に自分たちの意識を変えることはできないような気がいたします。
[2002年3月18日 13時26分40秒]

お名前: 山中 寿   
この件に関してはいろんな意見があると思います。個人的意見をどんどん書いていただ
けば皆の視野が広がります。正しいかどうかは歴史が決めます。Please do not 
hesitate!!

私の思うことをいくつか書きます。
推論1.民族の歴史的記憶はその民族の行動に結びついているのではないか?
日本人はやはり農耕民族であり、狩猟民族ではない。定住し、収穫の可能性の大きいも
のを長期間かかって育て、共同体で分け合って暮らす。これはベンチャーの気質ではな
いから、日本人はベンチャーに向かない。
推論2.結局かなりの日本人が親方日の丸。
私は知らないのですが、税金で雇われている人口の比率は日米でどれくらい差があるの
でしょうか?日本は公務員+準公務員の比率はかなり高いように思います。補助金が出て
いる財団だっていっぱいあるし、民間企業でもJR、JT、NTTなども元税金雇用者だし、公
的資金が注入された銀行も結果的に同じことです。本当は必要がない仕事を税金を使っ
てやっている企業(ゼネコンなど)も同じでしょう。各々の雇用者の家族まで含める
と、これら親方日の丸人口の全人口に占める割合はかなりにのぼるのではないでしょう
か?これではベンチャーが育たない。

提言:ベンチャー、ベンチャーと言わないほうが良い。
付和雷同傾向が強いこと、それを姑息に利用する人が多いことは日本人の特性だと思い
ます。「個性的な教育がよい」ことが叫ばれると、「皆で個性を伸ばしましょう」とい
う運動が起こり、講演会が開催され、文部省が予算を計上する、という破廉恥な流れが
できてしまいます。世論を喚起してから行動するほうが良い場合もありますが、世論を
喚起せずこそっと動いたほうがうまくいく場合も多いようです。ベンチャーもそうでは
ないでしょうか?ベンチャーを育成するために税金が使われることに私は本末転倒を感
じます。まず既成事実を作ることが大切。困難?誰でもできるものではないことは何も
ベンチャーに限りません。
・・・・・・・・・・
[2002年3月18日 11時59分36秒]

お名前: 赤真秀人   
この場を借りて、思いきり書きます。私は自分が正しいと自惚れてはいませんし、私に特
別な能力があるとも思っていませんし、別に今、酔っぱらっているわけでもありません。
現時点での私の意見です。
鎌谷先生の文の引用に続いて記述します。

やはり、米国のエネルギーはすごいものです。
日本では倒産させないのはいいのですが、そのために若い新卒が就職できないという事態
が生じています。どちらがいいのでしょう。
・ ・・アメリカがすべて正しいとは限らないと思います。今の日本人の多くの考えは、従
来の日本的な年功序列、終身雇用制度をまだまだ望んでいると思います。民主主義社会と
いわれている(民主主義の国だとは実は幻想かもしれないが)日本では、多数がそのよう
に考えるのであれば、仕方ないことでしょう。その代わり、代償として、日本は先進国か
ら取り残されることになります。いずれ日本は、中国に抜かれ(立ち直りつつある韓国に
も抜かれるでしょう)、一部の人を除き豊かさを実感できない国に陥る恐れがあります。
私はこのことを覚悟しています。覚悟していない人たち(実はいわゆるエリートにも多い
のではないか?)が少なくない現状が問題でしょう。私は、上記の「一部の人を除き」の
一部に入るようにあがくでしょうが、その他大勢に入ってしまうかもしれません。

米国では日本と違って、ベンチャーとは投資の対象なのです。日本では確実に利益が上が
らないとお金を出す人はいません。
・ ・・日本には1300兆円も個人資産があるといっても、多くは貯金や預金として眠ってい
るわけです。ローリスク/ローリターンを望む体質があります。遺伝学を義務教育で教え
ることは鎌谷先生のおっしゃるように私も必要と思いますが、それと同様に株式、債券の
仕組みや帳簿の読み方などの基礎も義務教育時に教えるべきではないでしょうか? 私も
知らないことばかりです。必ずしもハイリスク/ハイリターンが良いわけではないにして
も、適切な方法でハイリターンを目指す人々が出てくるようにするには、教育で若い時か
ら投資に対する視野を広げなくてはいけないでしょう。今の官僚や銀行員にベンチャーを
投資の対象とするよう望んでも無理でしょう。第一、一流といわれる大学を出て、官僚に
なったり都市銀行や一流大手企業に勤めること、医師ならば教授になることがエリートと
洗脳されてきたこの日本で、ベンチャーが育つとは思えません。こういったいわゆるエ
リートたち(注:鎌谷教授を除く?!)が、政府にベンチャー創造を、と訴えても、なか
なかうまくいかないでしょう。誰かが言っていましたが、ベンチャー創造にはシステムよ
りもスピリットの方が重要でしょう。起業家は国や自治体などに頼らないものです。自治
体がベンチャーの為に作った箱もの(インキュベーター)には、活用されていない馬鹿馬
鹿しい税金の無駄使いなものも多くあるでしょう。ソフト面の充実をどうすれば良いかが
重要なのに、金をばらまくことの方に議員も官僚も目がいってしまっています。
・  私は大金持ちにベンチャーを育てる気概がないのも問題だと思います。もっとも日本
には、成り金はいても、真の意味での大金持ちがほとんどいないのでしょうから、仕方あ
りません。昨日をもって、日本のバスケットチームでの名門いすゞ自動車がたぶん廃部と
なります。企業スポーツはこんなものなのです。いすゞが悪いと言っているのではありま
せん。アメリカ大リーグのように企業の宣伝だけでなく、真にスポーツにお金を出して地
域で楽しむことにお金を出す大資産家は日本には存在しないのでしょう。私は以前から地
域に根ざそうという理想を掲げている(実際は企業の宣伝部分も多いが)Jリーグがうまく
いくことを祈っています。スポーツとベンチャーは異なると言われればそれまでですが、
似通った点もあると思います。 

逮捕されるか否かも、世論によって影響されるような社会ではちょっとでも思い切った仕
事はできないでしょう。日本は思い切った仕事をさせないような社会になっているので
す。
・・・鈴木宗男代議士が良くないことは当然としても、彼は思いきったことをしてきたわ
けです。現在、外務省が被害者づらをしていることにマスコミはもっと突っ込みを入れる
べきではないでしょうか? また、そのマスコミも、昔から鈴木議員の問題点を見て見ぬ
ふりをしていたにもかかわらず、今は世論を作りつつ、その世論によって影響されて報道
していることに胡散臭さを感じます。(かなり脱線しました。)

化合物は特許性が薄いことになります。現在では、製薬会社は化合物を作りその特許を持
つ会社ではなく、ある分子に結合した薬をさがせば、ある疾患の治療薬を得ることができ
るという証拠を集めることなのです。
・・・私も同感です。ただ、その分子(遺伝子でも良いのですが)に特許を認めるように
なるのでしょうか? 私には賛成できません。患者にとってより適切な治療薬の開発が遅
れてしまうと思うからです。

さらに脱線しますがーーー:
昨日の読売新聞で河合塾が次のようにコメントしています。
「君の人生の目的は何だろう。大学に合格すること。それは、目の前の目標ではあるだろ
う。.....その先には、どんな夢があるのだろうか。」
私は高校生の時、ある人から、人生の目標と目的とをはっきり区別して生きたらどうか、
と言われました。その後、約20年間、自分なりに目標と目的を常に意識しつつ生きてき
たつもりです。目標が一流大学に入ることではあまりに空しく、せめて一流大学を出て
(中退でも良い)ベンチャーを立ち上げること、が人生の目標の一つとなるような教育環
境が必要だと思います。そのためには、今のお受験の世の中ではダメでしょう。まず親が
変わらなければなりません。大学なんてある程度の学力があれば、あとは面接と抽選で入
れれば良いとさえ思っています。面接時に重要なのは、自分の意見を持っているかでしょ
う。 18歳時の意見など、たとえある程度なら間違っていても一向に構わないはずで
す。それは40歳でも60歳でも言えることでしょうが。ただし、アメリカとは異なり、
幼少時からDebate の訓練を受けていない日本人には難しいでしょう。この医局ネットにも
自分の意見をのせる方々がもっと増えることを望んでいます。

以上、もしここまで読んで下さった方がおられれば感謝致します。偉そうなことも書きま
したが、わたしにはベンチャーを起こすだけの勇気も能力も資金もありません。ただ、人
生の目標として、いろいろなことを経験してみたい、との贅沢な悩みがあります。いまは
医局長をさせていただくとして、官庁や企業でも働いてみたいし、開業医としての地域医
療も経験してみたいです。私の趣味の一つは「人間ウオッチング」です。そして十分なお
金を稼ぎ自らの生活を楽しんだ上で、最終的には私と家族にとっての人生の目的である地
域社会への貢献(ボランテア活動など)ができることを願っています。
[2002年3月17日 10時45分0秒]

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