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お名前: 山中 寿
私が書いたIBDは、inflammatory Bowel Disease 炎症性腸疾患 です。
常々略語はダメだと教育している私が略語でご迷惑をかけてすみません。
[2002年10月16日 14時50分37秒]
お名前: 鎌谷直之
山中先生ご苦労様です。
このように学会出張した時(あるいは後で)、報告をするのは義務だとは思いませんか。
低用量アスピリンが脳血管障害、心筋梗塞を防ぐと言う本当のエビデンスはあるのでしょ
うか。
山中先生、IBDとは何の略でしょうか。遺伝統計学ではidentity by descentです。
Ischemic Brain Disease?
Cox1とCox2の競争でCox2に心筋梗塞が多いように見えるのはCox1で抑制されるためという
のは面白い指摘だと思いました。
[2002年10月16日 14時35分17秒]
お名前: 山中 寿
いろんなところで発想を転換せねばならないと思いました。
1.Coxibはhigh risk patientsが対象と思っていましたがどうもそうではないらしい。
Primary preventionを想定した薬剤だという考えになってきているようです。
2.JAMAなどに掲載された衝撃的な論文も後で厳しく批判されています。当然のことで
すが、論文内容には十分責任を持たねばならないことがわかります。
3.生化学などの基礎研究者、臨床からはRheumatology, Gastroenterology, Oncology,
Hematologyなどの多方面の研究者が一流のレクチャーをして本当に有意義な会でした。
視点を変えることがいかに重要かがよくわかりました。ひとつのものを見る時に多方面
から見ないと実体がわからないとよく言いますが、それを実感する機会はどんどん減っ
ているように思います。皆さんも意識的にそのような機会を見つけて参加し、新しい発
想を磨いてください。
[2002年10月14日 14時7分53秒]
お名前: 山中 寿
Richard Gryglewski
ACE阻害剤は血管内皮細胞におけるPGI2 releaseを介してthrombolytic actionを持つ。
TXA2,PGE2は関与しない。特にQuinapril(?)に強い。
アスピリンも低濃度ではthrombolytic actionを持つが高濃度では作用しない。
Coxibにも同じ現象が見られる((!?)
Makoto Mark Teketo (Kytoto)
アラキドン酸はin vivoでは十分量が存在しないので炎症でCOX-2が活性化されるときに
はPLA2の活性化も必要である。したがってPLA2-/-mouseではそれだけで消化性潰瘍がで
きる(これは新しい研究のヒントになる!!)。
PGE2受容体のEF2-/-mouseではcolon polypができない!!
COX-2はpolyp cellではなくstromal cell に発現してpolyp増殖に関与する(Turbo
charger model)
Stromal cellでCOX-2が発現→PGE2産生→EP2発現→cAMP上昇→COX-2発現増加、VEGF発現
COX-1はポリープの成立から増大まで関与するがCOX-2はポリープの増大にのみ関与す
る。
本当はEP2受容体阻害薬があれば素晴らしい!
Ari Ristimaki
COX-2発現は各種がん細胞における予後規定因子であるか否か?
食道がん、乳がん、卵巣がんではCOX-2発現があるとあきらかに予後不良である。
p53, Smad4, PPARsに関与がある。
Brendan J R Whittle
NSAID ulcerには現在考えられている以上に胃粘膜への直接的作用が関与している
Shu Narumiya
様々なKO mouseを用いた研究で炎症性腸疾患におけるProstanoid Receptorの作用を説明
NSAIDはIBDを誘発したり悪化させる(知っていましたか?)
COX-1-/-, COX-2-/-では低濃度DSS(Dextran sodium sulfate)でIBDが起こる。
PGE2受容体KO mouseを用いた研究で、EP4-/-mouse でのみ低濃度DSSで発症する。
そこでselective EP4 antagonist (ONO-4819)を用いるとIBD発症が防止できる。
なお、PGE2は骨新生作用があるが、EP4-/-mouse ではPGE2による骨新生作用がない。
EP3-/-mouse ではasthmaになる。
Chris Hawkee
UKにおけるNSAID related GI bleedingは、1/2828 scripts、発症すると死亡率は13%。
ErosionはPUBs (Perforation,Ulcer,Bleeding)の危険因子である(RR=5.0)これは日本の
データと違う!
CelecoxibのCLASS studyでは、GI bleedingがIbuprofen, Diclofenacよし有意に低いこ
とが報告されたが、その後300日以上の追跡調査ではDiclofenacと同等であることがわ
かった(!!)
NSAID潰瘍の予防も一次予防と二次予防にわけて考えるべき。Coxibはprimary、PPIは
secondary.
危険因子別に NSAIDを選択すると、
危険因子なし:Coxib
HP+:C21(?)+除菌 or Ibuprofen+PPI
PH of ulcer: Ibuprofen+PPI
CVD/ASA:Diclofenac+ASA+PPI or Naproxen+PPI
HT+:Ibuprofen
Elderly:Ibuprofen+PPI
Steroid+::Coxib
High dose/RA:Coxib or NSAID+PPI
Coxibはchronic GIを低下させるがacute GIを低下させない
PPIやMosoprostolは、acute GIを低下させるがchronic GIを低下させない
今後の新しいクラスの薬剤
COX-LOX inhibitor (Licofelone)
CINODs (Cyclooxigenase inducing NO donators)
[2002年10月14日 13時58分11秒]
お名前: 山中 寿
Daniel Simmons
COX-1のvariantであるCOX-3, PCOX proteinについて
COX-1遺伝子からのスクリーニングにて新しい遺伝子が複数にクローニングされた。
COX-3はそのひとつであり、COX-1よりN末端に延長した配列を持つ。
Humanでは大脳皮質や心臓、筋肉に発現する。
Dogの実験にてCOX-3はAcetaminnophenをはじめとする鎮痛・解熱作用を持つ薬剤に特異
的に阻害される。またこれらの薬剤はBBBを通過する(NSAIDは通過しない)。したがっ
てCOX-3は中枢神経を介した発熱や疼痛に特異的な作用を持つことが想定されている。
また、PCOX-1はCOX-1のexon5-8がdeletionをうけたPartial COX-1で、ヒトでも発現はあ
るがPGE2を産生せず、働きはわかっていない。
この論文はPNASにin pressである。
Daniel Furst
選択的COX-2阻害薬の安全性プロフィールについて
COX-2選択性が高くなるといくつかのリスクが増すと言われているが、いろんな報告をま
とめると、
・腎障害:明らかでない。
・血圧上昇、浮腫:Possible(データを見ると、多分あり、ぐらいに見えた)
・心筋梗塞:明らかでない。
・脳血管障害:なし
COX-2選択的阻害薬で心筋梗塞が増えるのではないかとの議論がこの2年間激しく戦わさ
れてきたが、いずれにしても頻度がごく低いものであり、臨床的に有意かどうかについ
ての議論が必要である。
Garret FitzGerald
従来型のNSAIDに対して、COX-2選択性NSAIDをCelecoxib, Lofecoxib, Valdecoxib,
Etoricoxibなどの名前に由来してCoxibと呼ぶことが多くなってきた。
CoxibはNSAIDのようにTXA2産生を抑制せず、血小板凝集抑制作用がない。
COX-1はTXA2産生を阻害することによりatherosclerosisを阻害する(PNAS
98:3358,2001)
Agustin Melian
Merckの新しいCOX-2阻害薬のEtoricoxibの紹介。痛風発作にもリウマチにも有用。
痛風発作には、Etoricoxib 120mg/day =Indomethacin 150mg/dayで副作用は有意に少な
い。
OAにはEtoricoxib 60mg/day, RAにはEtoricoxib 90mg/dayでNaproxen 1000mg/dayと同等
で副作用は有意に少ない。
Naproxenを対照としたCoxib治験で心筋梗塞が増えているように見えるのはCoxibで増え
ているのではなくNaproxenで心筋梗塞などが減っているためである。
ちなみに、この薬剤の治験は日本では当センターを中心に展開される予定である。
Jim Fries
最近、US Preventive Service Task Force (USPSTF)Recommendationが出され、男性>40
歳、女性>45歳、糖尿病合併者・・・はすべて低用量アスピリンを服用すべしとされて
いる(Ann Intern Med 2002:136;157-, 162-)。
Dilenma: Most people requiring a COX-1 sparing agent also require a COX-1
agent.
これは「心臓が筋肉に勝った」事を意味するがとんでもないことであると怒っている。
NSAIDの使い方(Central decision)として、以下の図式を挙げた。
ASA indicated with high risk → ASA+low GI risk drug
ASA indicated without high risk → ASA+any drug
ASA not indicated with high risk → low GI risk drug
ASA not indicated without high risk → any drug
ARAMIS studyでは、NSAID related hospitalizationは1985〜1992年まで増え、1995年以
降急減した。
この理由は現在解析中である。
NSAIDを巡る諸問題にはハイゼンベルグの不確定性理論に基づく問題が山積している、と
述べた。
「消化管障害を減らせば心保護作用が減り、また逆も真なり」事を意味する。
Discussionで、Naproxenの心保護作用が最近の大規模試験の対照薬として使われること
で示されてきているが、Naproxen自体に関するgood studyがないことが問題である。ど
うもアスピリンより有意とは思えないのだが・・と言う意見が交わされていた。
[2002年10月14日 13時56分55秒]
お名前: 山中 寿
William Harvey Research Conference Oct.9-11 in Thailand
Evolution of COX isozymes and their inhibitors
COXの発見(1971)、COX-1,2の発見(1991)で有名なJohn Vane が主催する研究会で定期的
に開催されているようですが、COX研究に関連する世界の第一人者が集まった大変に内容
の濃い研究会でした。
まず、Summaryを載せます。
1.COX-1のvariantであるCOX-3がクローニングされ、中枢神経を介した発熱や疼痛に特
異的な作用を持つことが想定されている。
2.COX-2選択性が高くなるといくつかのリスクが増すと言われているが、いろんな報告
をまとめると、
血圧上昇、浮腫は多分あり、腎障害、心筋梗塞、脳血管障害は明らかでない。
3.COX-1阻害薬は動脈硬化抑制があるが、Coxibは血小板凝集抑制作用がない。
4.続々とcoxibが作られている。Etoricoxib、Luminocoxibなど。
5.世間では低用量アスピリンの使用が強く勧められているがCOX研究者には批判的な意
見が多い。
6.ACE阻害剤はthrombolytic actionを持つ。
7.Colon polypにCOXが関与している機序が明白になった。
8.COX-2発現は、食道がん、乳がん、卵巣がんでは予後不良である。
9.NSAIDはIBDを誘発したり悪化させるが、EP4阻害で防止できる。
10.NSAID潰瘍の予防も一次予防と二次予防にわけて考えるべき。Coxibはprimary、
PPIはsecondary.
11.危険因子別に NSAIDを選択するようになるだろう。
もっと読みたい人は次に進んでください。
[2002年10月14日 13時55分29秒]
お名前: 梶山 浩
お帰りの際は、またフットサルに御参加下さい。
[2002年10月12日 20時48分19秒]
お名前: 山中 寿
William Hervey Research Conferenceという研究会に招聘されて参加しています。
COX-3などの新しい情報や再認識することなどいっぱい持って帰ります。書き込みますの
で少しお待ちください。
G.Singhはお父さんが病気で参加できず、 J.Friesと対談しました。J.FriesはARAMISを
作った人です。タイは食事が美味しくダイエットは断念しました。
[2002年10月11日 20時27分22秒]
このテーマについての発言をどうぞ。
※半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
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