記事タイトル:痛風診療のルーチン |
鎌谷先生、山中先生、ご教授ありがとうございます。 私は、CuaやCua/Ccrや 一日尿中尿酸排泄量をできるだけ出して 診療するようにはしていますが,たとえば、 CuaにしてもCcrが低ければ、Ccr に引っ張られてCuaが低めにでると 考えられるが、その為にCua/Ccr を指標として使う場合,Ccrがいくつ 位に下がったときに、Cuaではなく Cua/Ccrを使うべきだという議論があるのだろうか? ということと、やはり同様に、一日尿中排泄尿産量 も><10mg/kg/dayという基準になっていますが,やはり、 Ccrが下がってくれば、10mg/kg/dayという値も、 これより低いから、産生が亢進していないとは必ず しもいえないような気がしますが,これもCcrによって 補正するとか,議論があるのだろうか? という疑問を持っており,質問させていただきました。[2001年5月19日 18時52分6秒]
山中先生の案にほぼ賛成です。というより、私はこの案をもとにして、日常の診療をしているの が実情です。気づいた点を2つばかり書きます。 私は個人的には、痛風発作を1回でも経験した例には、尿酸コントロール薬を原則的に絶対適応 に準じて投与しています。 また、ユリノ−ム投与中または尿路結石合併の全例にウラリットを2〜3g /day 併用する、に対 してですが、尿pHが6.5以上の事が多い一部の患者にはウラリットは投与していません。。[2001年5月19日 10時19分6秒]
別欄にも入れましたが、改めて書きます。ご意見をお寄せ下さい。 痛風診療のル−チン (1997/東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター) 1.初診時に痛風発作中の場合。 1)抗炎症剤にて痛風発作を治療する。(NSAIDs短期大量投与、リメタゾンなど) *尿酸コントロ−ル剤を既に投与されていた場合は、原則として中止する。 *新たな尿酸コントロ−ル剤の投与を開始してはならない。 *発作中は局所の安静を保ち、完全禁酒を指示する。 2)痛風発作が軽快した後、24時間尿を採取し、病型分類を行う。 *尿酸コントロ−ル剤を投与されていた場合は、最低1週間の休薬 の後、実施する。 *24時間尿クリアランスにて、高尿酸血症の病型を分類する。 Cua < 6.2 ml/min、UUA / kg < 10 mg/kg/day : 尿酸排泄低下型 Cua ≧ 6.2 ml/min、UUA / kg ≧ 10 mg/kg/day : 尿酸産生過剰型 Cua < 6.2 ml/min、UUA / kg ≧ 10 mg/kg/day : 混合型 Cua ≧ 6.2 ml/min、UUA / kg < 10 mg/kg/day : 正常型 *同時にフィッシュバーグ濃縮試験による腎髄質機能検査を行う。 3)合併症の有無を検討する。 *潜血反応陽性または尿路結石の既往→KUB、超音波検査などにより尿路結石の検索 *胸部X-P、心電図、脂質関連検査、など、各種成人病のスクリ−ニング(可能なかぎり) 4)尿酸コントロール薬の投与の是非を判断する。 *絶対適応:痛風発作が頻発、痛風結節の存在、腎機能低下(Ccr低下 or フィッシュバーグ低 下)、尿路結石の頻発、血清尿酸値が常に9.0mg/dl以上、合併症が多い、家族歴が濃厚 *相対適応:痛風発作が1、2回のみ、無症候性高尿酸血症で合併症がある *通常は不要:無症候性高尿酸血症で合併症がない 5)尿酸コントロ−ル剤の投与開始 *原則的に、尿酸産生過剰でアロプリノ−ル、尿酸排泄低下型はユリノ−ム。 *尿路結石合併例は、前者が好ましい。 *いずれも分2(12時間毎)が原則。 *最低用量(アロプリノールは100mg/日、ベンズブロマロンは25mg/日)より漸増する。 *ユリノ−ム投与中または尿路結石合併の全例にウラリットを2〜3g /day 併用する。 *アロプリノ−ル投与中でも酸性尿が続けばウラリットを2〜3g /day 併用する。 *治療開始後6か月間は、血清尿酸値低下に伴う痛風発作が起こる可能性がありうること を説明し、コルヒチンとNSAIDsを携行させる。 *コルヒチンは発作予感時に1錠のみ服用させ、NSAIDは短期間のみ常用量以上を服用さ せ、中止する。 6)血清尿酸値のコントロ−ル域は、6.0 mg/dl 未満、尿pHは6.0〜7.0とする。 7)維持投与量にて安定すれば、1年後に24時間尿採尿を行い、尿酸クリアランス、尿 中尿酸排泄量の正常化を確認する。 8)長期間の継続投与と合併症の管理のために患者教育が重要で服薬期間中に注意するセ ルフケアを説明する。 1. 体重コントロ−ル(摂取カロリ−の制限) 2. 節酒(特にビ−ルの制限) 3. 水分摂取 4. 軽い運動 5. ストレスコントロ−ル 2.過去に痛風発作があったが、初診時には発作がない場合。 上記2)〜8)の診断、 治療を行う。 3.無症候性高尿酸血症の場合。 1)上記2)3)を行う。 2)まず生活指導にて血清尿酸値が下がるかどうかを調べる。 (特に、産生過剰型の場合)上記8) 3)以下のような症例では、尿酸コントロ−ル剤による治療を行う。 *血清尿酸値が常に9.0 mg/dl を超える *既に腎障害が存在する *尿路結石を繰り返す *痛風の濃厚な家族歴がある 4)以後、4)〜8)は同様。 文責 山中 寿[2001年5月18日 15時7分51秒]