記事タイトル:MCTD/SLEの三叉神経障害 


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お名前: 勝又康弘   
三叉神経単独の場合は,3分枝の2つ以上の領域に存在しても,あるいは両側に存在して
も,普通は,「単神経炎」と呼び,「多発性単神経炎」とは呼ばないと思います.

勿論,一人の患者において,三叉神経障害以外に,別の末梢神経障害を生じれば,「多発
性単神経炎」となりますが,実際は,MCTDやSLEに併発した場合も含めて,三叉神経単独に
生じることが殆どのようです.

その原因としては,前述のように,血中の物質の三叉神経節への透過性が高いためという
説があります.


また,山中先生,文献のご紹介有り難うございました.
[2002年10月26日 15時8分20秒]

お名前: 鎌谷直之   
三叉神経障害はmononeuritis multiplexの一部とはされていないのでしょうか。
[2002年10月26日 9時56分19秒]

お名前: 山中 寿   
ちなみにこの症例は1982年〜現在まで20年間診ています。今も2週間に一度、センター
に受診中です。
[2002年10月26日 7時16分13秒]

お名前: 山中 寿   
私もその昔にこんな症例報告をしています。
その時点までのcase reportやreviewをすべて調べて書きましたので参考にしてくださ
い。

山中 寿、ほか 三叉神経障害を呈したMCTDの一症例 炎症 3:35-39、 1983
[2002年10月26日 7時12分33秒]

お名前: 勝又康弘   
SLEに伴う三叉神経障害は,1972年以来,英文報告がなく,レビューもなく,実態はよく
わかりません.しかし,私(勝又)も,青山病院で三叉神経障害を初発症状の一つとした
SLEを経験しており,MCTDほどには言われていませんが,実際には結構あるのではないか
と思います.(以下個人的な印象です)
機序としては,やはり,血管炎や抗U1RNP抗体が関与しているのではないかと思います.
治療も,MCTDの場合と同様で良いと思います.
また,重要なことは,その三叉神経障害が末梢神経障害なのか中枢神経(脳幹)症状の一
部なのか見極めること,帯状疱疹など他の原因を見逃さないことではないでしょうか.
今回の症例は,脾梗塞も生じており,共通の病態背景として,血管炎や抗U1RNP抗体も推
定できますので,興味深い症例ではないでしょうか.
[2002年10月25日 22時25分43秒]

お名前: 勝又康弘   
MCTDに伴う三叉神経障害などの末梢神経障害に対しては,ステロイド剤は一般にはあま
り有効ではないとされており(発症早期には試みる価値はあるかもしれないが),むしろ
対症療法として,carbamazepineやphenobarbitalなどの薬物療法や三叉神経ブロックが
有効なことがあります.また,膠原病の三叉神経障害に使ったことはないと思います
が,γナイフという方法も(特に東京女子医科大学では)あります.
[2002年10月25日 22時25分19秒]

お名前: 勝又康弘   
MCTDにおける三叉神経障害の発症機序としては,以下のものが推定されていますが,病
理学的にも特徴的な所見はみられていないとのことで,確かなところは不明です.

1)膠原病における末梢神経障害は大部分は血管炎などの血管病変に由来するものと考え
られており,また臨床的にRaynaud現象や抗U1RNP抗体との間に密接な関連性が存在する
ことから,循環障害の関与が推定される.

2)動物実験では血中の物質の三叉神経節への透過性が高いことが示されており(それ故選
択的に三叉神経に障害が起こると推測されている),抗U1RNP抗体またはなんらかの血中
成分が,直接,間接的に神経障害に関与している可能性が示唆される.

3)SScにおける末梢神経障害合併例で末梢神経鞘下や神経線維間にhematoxylin体様無構
造物質の沈着や神経鞘の肥厚を認めており,皮膚硬化に伴う皮下組織の線維化による二
次的な神経の障害の可能性も考えられる.しかし,三叉神経障害を合併しているSSc症例
は皮膚硬化が軽いとも言われている.
[2002年10月25日 22時24分44秒]

お名前: 勝又康弘   
膠原病の三叉神経障害は,一般の三叉神経障害と同様に,第2,3枝領域に多く,また片
側性で始まることが多く,両側性であることは稀なようです.症状としては,感覚鈍麻
が多いのですが,異常知覚が認められる場合もあり,しびれ,疼痛,感覚異常などの症
状を呈します.
[2002年10月25日 22時24分14秒]

お名前: 勝又康弘   
1980年前後から,強皮症の一部に三叉神経障害がみられることが報告され,当初は強皮
症の神経症状として注目されましたが,MCTDの疾患概念が提唱されてからは,本症状
は,強皮症よりはMCTDまたは抗U1RNP抗体を有する強皮症に関連してみられることが明ら
かにされました.

他の末梢神経障害と異なり,膠原病に見られる三叉神経障害は通常,他の神経症状を伴
わず単独に出現します.三叉神経障害を伴う膠原病としては,SLE,SSc,RA,PM/
DM,SjS,MCTDで報告がありますが,実際の患者数でもMCTDが最も多いようです.
[2002年10月25日 22時23分40秒]

お名前: 勝又康弘   
現在,病棟に,三叉神経障害などを呈して当初はMCTDと考えられ,その後今回脾梗塞を
生じて入院となり,最終的にSLEと診断されている患者さんがいます.

遅くなりましたが,先日の回診でご質問のあったMCTD/SLEの三叉神経障害について述べ
ます.

なお,前項の書き込みは,この過程で疑問に思ったものです.
[2002年10月25日 22時23分5秒]

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