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お名前: 古谷
小竹先生にACR学会報告の依頼があり、私が書かせていただき先日投稿致しました。何かご感想
があればお聞かせください。内容は骨関連の雑誌に準じています。
2001年11月10日〜11月15日の5日間にわたりカルフォルニア州サンフランシスコにお
いて第65回米国リウマチ学会(American College of Rheumatology, 65th Annual
Scientific Meeting) が開催された。今年は約2ヶ月前に発生した大規模テロの影響
で日本やヨーロッパからのキャンセルが多く、例年に比べればやや参加者が少ない印
象があったが、演題の取り消しはポスターで約1割程度、口演ではわずかであった。
今年も演題の採択率は6割程度であり質の高い発表が多く、リウマチ性疾患の最新の
知見が熱心に議論された。なかでも骨関連の演題は全2081演題中、263演題もあり全
体の約13%を占めた。
骨関連のセッションは、Basic research ConferenceでBone and Cartilage
Biology: Implications in the Pathogenesis of Joint Destruction in Arthritis
(Abstract#1-60)、一般口演ではOsteoporosis-Clinical (#604-609), Cartilage
Biology: Basic Mechanisms (#624-629)、Osteoarthrits: Clinical Aspects
(#1992-1997)、シンポジウムではDisease Progression in OA (#614-617)、RANKL,
OPG and Bone erosion (#1286-1290)、Anabolic Treatment for Osteoporosis
(#1958-1961)、Knee Osteoarthritis: A Biomechanical Approach to the
Pathogenesis and Treatment、ポスターセッションにおいてはCartilage Biology
(#51-79)、OA pathogenesis: Animal Models, therapies, and
Markers(#1517-1545)、Osteoporosis (#1032-1052)、Bone Biology (#1073-1092)な
ど多数で、一人で全演題をチェックすることはとても困難であった。 これらの他に
も病因や治療のセッションで数多くの骨関連の報告が目白押しで、まさにbone eraを
実証するかのようであった。(もしこれらの演題にご興味がありましたら、その要旨
が American College of Rheumatology のオフィシャルジャーナルである、
Arthritis & Rheumatism の9月号の抄録集に載っていますので、どうぞお読みくださ
い。)
私は、最終日の午後に行われたIndustry-Supported Educational
Symposia (日本での「ランチョンセミナー」)のInflammation and Bone Resorption
in RA: Understanding the Underlying Mechanismsに参加した。 最初にニューヨー
ク大学のBingham助教授が、The pathogenesis of RA: The Pivotal Cytokines
Involved in Bone Degradation and Inflammationという演題で口演し、次にハー
バード大学のGoldring教授がBone and Joint Destruction: What is Really
Happening? という演題で RANK、RANKL、OPGを中心とした関節破壊のメカニズムを解
説した。内容は、教科書レベルであったと思うが、スライドも分かりやすく出席者は
大変勉強になる内容であった。 3番目に、ジュネーブ大学のDayer教授が、IL-1 or
TNF-α: What is the Real target in RA?という演題で口演した。今話題の生物学的
製剤の標的分子として、TNF-αかIL-1については誰もが興味を持つところである。
TNF-αは主に炎症に、IL-1は主に関節破壊や骨修復の抑制に関わっていることが示さ
れたが、この点はさらに検討が必要であろう。 最後に、Duke大学の Clair 教授
が、Tide of inflammation: impact of Biologics という演題で、キメラ型TNFαモ
ノクローナル抗体(レミケードⓇ)、TNFαレセプターIgG Fc融合蛋白(エンブレル
Ⓡ)、IL−1レセプターアンタゴニストのそれぞれのRAにおける関節破壊に対する効果
について解説した。何れの薬剤も、X線上関節破壊の進行の抑制に有効であったが、
完全に抑えるまでの効果は難しく、今後の可能性としては、TNFとIL-1を同時に押さ
え込むような治療もありえるとのことであった。2つのTNFの臨床比較試験で、MTX単
独群が対照となっており、欧米ではMTXがRA治療の標準となっていることを改めて実
感した。
治療についての演題(#485-502)では、OA患者に対するCox2選択阻害薬の研
究が目立ち、欧米におけるCox2選択阻害薬の関心の高さが伺われた。また、健康保険
の種類が検査内容や治療法を左右するアメリカらしいセッションであるCost
Effectiveness(どの治療法がより安がりで、より効果が期待できるか?など)の演
題(#1546-1580)に興味を持った。このような研究は、最近の日本の医療環境を考える
と必要なテーマであろう。
来年は、ルイジアナ州ニューオリンズにて2002年10月24日〜28日に予定され
ており、ますます骨関連の演題が増えることが予想される。
[2001年11月26日 21時34分24秒]
お名前: 古谷
山中先生、
rofecoixibは日本では万有が扱うそうです
[2001年11月26日 21時25分6秒]
お名前: 山中 寿
鎌谷先生へ
日本でRAが減っているというきちんとしたデータがあります。あの七川先生の報告で1965
年から続いているフィールドの疫学研究において女性は明らかに減少、男性は不変という
結果です。日本では経口避妊薬の使用頻度は極めて低いのでおそらく他に原因となる環境
の変化があるのだろうと考察しています。
貴重な報告だと思います。あのご年齢で1st nameの論文を書かれるパワーに驚きです。
Shichikawa K, Inoue K, Hirota S, Maeda A, Ota H, Kimura M, Ushiyama T, Tsujimoto
M. Changes in the incidence and prevalence of rheumatoid arthritis in Kamitonda,
Wakayama, Japan, 1965-1996. Ann Rheum Dis. 1999 Dec;58(12):751-6. PMID: 10577961
[2001年11月23日 16時54分3秒]
お名前: 鎌谷直之
Pegylated Recombinant Methionyl Human Soluble Tumor
Necrosis Factor Type I (PEG STNF-R1)
Pegylateとはpolyethylene glycol (PEG)処理するという造語ですかね?
これは免疫原性を抑制する方法で、ADA欠損症の時に、牛ADAにPEGして
使いますね。
[2001年11月22日 21時28分0秒]
お名前: 松田
5.7 million have RA という結果はU.S. adults aged over 35 years を
対象としているからでしょうか?
よくわかりませんが、鎌谷先生にこの抄録のコピーをお渡しいたします。
[2001年11月22日 17時32分52秒]
お名前: 鎌谷直之
欧米でRAの頻度が減少しているというのはしばしばいわれているようですね。
これが経口避妊薬の服用に関係しているという説もあるようですね。
日本では減少しているという証拠はないでしょう。
570万人がRAとすると約2.5%ですか。これは高すぎませんか?
昔はこの倍くらいはあったとすると頻度5%?20人に一人がRA?
女性が2/3ということは男女比は1:2ですね。
本当ですかね?日本ではもっと女性が多いと思いませんか。
男女比は年代により変わっていませんか?
もし、ピルがRA発生を抑制するとすれば、女性RAが米国で減少するはずでしょう。
[2001年11月22日 14時48分18秒]
お名前: 松田祐子
ACR第2報
まず、Anakinraの製薬会社はわかりません。
1) Trends in incidence and mortality in RA in Rocester, MN over 40-year period.
Incidence rateはこの40年でかなり減少。
'55-64 61.1/100,000
'65-74 47.3
'75-84 46.0
'85-94 32.7/100,000
恐らく環境因子が影響しているのでは?
しかし、Kaplan−Meier survivalをみると、この4decadesで残念ながら
変化は見られなかった。
2)Prevalence of cardiovascular disease(CVD) risk factors among U.S. adults
with OA and RA. (Dr. G Singh)
NHANES IIIのデータを使用。
約24.3 million US adults aged >35 years have OA,
約 5.7 million have RA. 2/3は女性。
CVDのrisk factorsはarthritis populationに多い。
risk factorsとしては、高血圧、糖尿病、高T-cho、高Crが挙げられる。
などです。
学会場は例年のごとく、にぎわっていましたが、やはり日本人は少なかったと
思います。ポスターもいつもより、貼っていないところが目立ちました。
SFの空港は最近renewalされていて、私が昨年帰ってきたころとは一変していました。
しかし、SF出国の際には、passportをきっちり見られ、(以前は出国時にはチケット
カウンターで見せるだけでOKでした)さらに、JALの搭乗口の本当に機内に入る直前にも
もう一度passportを見せ、なんと、そのGateには、迷彩服のUSのお兄ちゃんが2人
(たぶん銃を持って)仁王立ちしていました。ちょっと怖かったけど、あとは何も
心配することはありませんでした。機内も、窓際の席でしたが、行きも帰りも隣の席は
空いていたので楽でした。みなさんもテロをぶっとばせ!の会では、ずいぶん盛り上がった
ようですが、お蔭様で元気に帰ってきました。
以上、ご報告を終わります。
[2001年11月21日 19時52分0秒]
お名前: 鎌谷直之
IL-1raは思ったほど効果がないと米国のrheumatologistがいっていました。
しかし、よく知りません。
[2001年11月21日 18時54分29秒]
お名前: 古谷
論文の別冊によるとrofecoxibで見られる、dose dependent の高血圧や浮腫の原因は、
direct renal effects of the rofecoxib molecules or its metabolites であり the
result of a class related COX 2 pharmacogenic effectではないのでは?と考察で書いて
ありました。山中先生のお机にコピーを置いておきました。ANAKINRAの日本での販売先は分か
りません。AMGENに聞いてみてもよいかも?しれません。
[2001年11月21日 13時54分10秒]
お名前: 山中 寿
松田先生・古谷先生
IL1-ra(Anakinra)は最近、RA患者間のネットで話題になっている薬剤です。確かAmgenが
作ったと思いますが、日本の窓口はどこの製薬会社かの情報を持っていますか?
[2001年11月21日 8時8分23秒]
お名前: 山中 寿
古谷先生
CelecoxibとRofecoxibの安全性の差は、薬剤自体の問題なのか、COX-2選択性の差から
来るかの議論はありましたか?最近の議論から推測すると、あまりにCOX-2選択性が強す
ぎると血栓形成傾向などが出て逆に安全性を損なう事があるので、COX-2選択性には至適領
域が存在するのではないか、という方向になりそうです。ちなみに、COX-2選択性は
Celecoxib<<Rofecoxibです。
[2001年11月21日 8時5分34秒]
お名前: 松田祐子
ACRの報告です。第1報
1)Observational Studies of Biologic Therapy
・Etanercept(Enbrel)
長期投与が可能、5年間のstudyで有効性が確認。
frequency of infections 0.44/patient-yearsでcontrolと差なし。
TBを増加させない。(US incidense for TB = 6.4/100,000person-years)
むしろPSLやDMがrisk factor。
・IL1-ra(Anakinra)
Enbrelとの併用でinfectionが少し増加。
Placebo-control studyでsafe & well-tolerated。
・anti-TNFa,Infliximab(Remicade)
TB↑の可能性あり、fungal infectionを増加させない。
MTX aloneと比べ、XPの進行を抑える、Infliximabとの併用の方がRAを改善しやすい。
MTXやPSLのdoseを減らせる。
Infliximab+LEFはMTX無効例に有効。
・Leflunomide(Arava)
LEF+INFはinfectionを少し増加。
副作用が少ない。中止率が12.5/100patient-yearsで少ない。
LEF+MTXでも肝障害は増加しない。
2)その他
Vitamin C + E はRAのriskを↓、zincはRAのriskを↓↓。
MTXはcardiovascular mortality を抑制する。
early RAではXPを経時的に読影すべき。
ポスターでかいつまんで得た情報です。ポスターのプリントがありますので、
興味がある方は、私まで。
[2001年11月20日 20時18分37秒]
お名前: 古谷
2日目以降
11/13の plenary でA double blind placebo controlled trial of the fully human
anti-TNF Monoclonal antibody Adalimumab (D2E7) in Patients with Active RA on MTX
(ABS965)の発表があり印象的でした。ポスターでは、コストベネフィットの報告(Enbrelのほ
うがRemicadeより安上がりだったとか)が多数あり、健康保険が検査内容や治療法をも左右す
るアメリカらしいなーと感じました。
NSAIDについては、Cox2選択阻害薬関連ばかりでした。Cox2選択阻害薬のなかでどれがいいか?
Celecoxib がRofecoxibより安全であり、Rofecoxibでは高血圧が有意に多いなどの報告が
ありました。日本ではまだCox2選択阻害薬は主流ではないので、ここでも日本の遅れを感じま
した。
臨床データを2群間で比較する場合、人種に加えて教育歴(大学出が何人とか)の項目があり、
日本ではあまりみたことがなかったのでこれもアメリカならではと思いました。
最終日にAMGEN主催のランチョンセミナー(Inflammation and bone resorption in RA)が
あり参加しました。大変勉強になりましたし、スライドもきれいで観やすかったので大変参考に
なりました。医局の大テーブルの上にそのときの冊子を置いておきますので参考にしてくださ
い。その時のアンケート用紙に、The information presented was without promotional
or commercial bias. 1 agree または2 disagree の質問があり、たとえランチョンセミ
ナーであってもきっちりしているなーと感じました
[2001年11月19日 18時51分20秒]
お名前: 古谷
11/11 今までになく緊張感して自宅から出発しました。空港では、残された子供のことを考え
てすぐ旅行保険に加入し、JAL2便に乗り込みました。飛行機は、予想に反してぎっしり満席
で、観光というよりビジネスマンが目立ちました。当日は、NIH時代のボスや同僚とdinnerに行
きました。しかし、夕方7時ごろより眠くなり、さらにアルコールも手伝って食べながらも頭は
眠っているような状態でした。
11/12 7時半より私のポスターがありました。今までのなかで最もポスターを見てくれる人が
多くて、やはりTNF関連は、ホットだなーと感じました。Observation studies of Biologic
therapyのポスターに興味を持ちました。まず、第一世代としたは、皆さんよくご存知のキメラ
型TNFαモノクローナル抗体〔商品名レミケード〕とTNFαレセプターIgG Fc融合蛋白(商品名
エンブレル)については、長期投与例での効果と副作用検討、併用薬の検討、両者の比較検討な
どであり、この2剤はもう第二段階に入っている印象でした。まだ、治験中の日本とはずいぶん
違う印象を持ちました。肯定的な演題が多く、副作用が多いとかで両薬剤の治療を否定するよう
なものはあまりなかったと思います。
次に、第二世代にあたるPegylated Recombinant Methionyl Human Soluble Tumor
Necrosis Factor Type I (PEG STNF-R1) については、効果的であるという報告がありまし
た。また、IL1RaであるANAKINRAでも効果的であったとする報告がありました。ANAKINRA単剤
では、Enbrelほどの効果的はなく、Enbrel同様にMTXと併用やEnbrelと併用などもありまし
た。多くの比較試験で、MTX単独が対照となっている場合が多く、MTXがRA治療の標準となって
いることを改めて実感しました。
[2001年11月19日 16時58分34秒]
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