記事タイトル:OMERACT 6 


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お名前: 鎌谷直之   
1.RAのlow disease activity state (LADS)を評価する必要性が示され、その方法が決
       まった。
LDASでは?

Truth=真実性, Discrimination=判別性(区別する能力), 
       Feasibility=実現性(実際にやれるかどうか)
という意味で良いか?

いずれ山中先生に講義してもらわなければ。

それでは、我々は何から始めればよいのでしょう。
「疫学」「統計」「科学」「独善の廃止」そして?
[2002年4月15日 20時8分38秒]

お名前: 山中 寿   
MERACTは学会ではない。リウマチ性疾患のoutcome指標を決めるコンセンサス会議であ
る。そこでは、診断や治療手段の是非などの検討は一切ない。症例報告などは論外であ
る。
2年ごとに開かれるが、その間に分科会がデータを集め、OMERACTで討議し、投票して決
めると言う形式である。しっかりしたデータを持った人々が集まり、何がわからないの
か、どこが問題なのか、我々は何をなすべきかが真剣に討議された。新参者であるし
ホットな議論に飛び込むだけの英語力も不足しているのでもどかしかったが、電子投票
システムで決定には参加できた。
今回のOMERACTでは、以下のことが決められた。
1.RAのlow disease activity state (LADS)を評価する必要性が示され、その方法が決
まった。
2.経済指標の評価指標が決まった。
3.X線的Repairが明らかにあることが示され、その研究方法が決まった。
4.OMERACT-OARSIによるOAの治療改善評価基準が決まった。
5.OMERACT-MRI scoring systemが決定され、臨床評価に応用されることになった。
6.強皮症の臨床研究の方向性が示された。
関心のある人は、私のところに聞きに来てください。これらはいずれ世界標準になるも
のです。

OMERACTには、いくつかの特徴があることがわかった。
1.一流の研究者の集うコンセンサスカンファレンスであるが、あくまでdata driven
(データ主義)である。「私の経験では・・・」などという発言は皆無であった。
2.OMERACT filterという評価基準を設けている。それは、Truth, Discrimination, 
Feasibilityの3つである。すべての項目がこの3つの基準で評価され、一つでも問題が
あればそれは臨床研究の指標としては不適格とされる。極めて科学的まつ現実的、かつ
良心的である。
3.当然、評価するに足る評価するエビデンスのないものもある。しかし、そのエビデ
ンスをOMERACTのメンバーが作ってしまうのだからすごい。当然、Cochrane評価も
OMERRACTのメンバーが実施している。
4.ガイドラインはforever preliminaryであると規定している。科学の進歩や社会の環
境で改訂され続けなければならないものと認識している。
5.純粋に研究者の会である。そこには何のかけひきもないようだ。日本でこういうこ
とをするとデータも出せないのに口ばかり出す人や、政治的に利用して、足を引っ張っ
ている人がいる。我々はそのようなことをするべきではない。

そこではエビデンスという言葉すら出ない。だいたい、日本人はEBMとかエビデンスとい
う言葉を使いすぎのではないか?まるで免罪符のように。
そもそも日本人は何かというとすぐ「日本独自の」ものを作りたがる。しかし、イン
ターネットを始めとする情報革命でいろいろな情報が収集でき、それに対する反応もか
なり均一化された現代においては、日本独自のものがどれほどの意味を持つのか、もう
一度考えねばならない。文化的なものが含まれるQOL指標などでは当然日本独自のものが
必要であろう。しかし、例えばMRIの評価基準、RAの診断基準などは全世界的なものであ
る。OMERACTはそのような基準作りを行ってきた。今まで日本人が関与してこなかったの
は、日本人が独自のものにこだわりすぎているためではなかろうか?
それを端的に示すものが、治験である。あるNSAIDでprimary endpointを最終全般改善度
という日本独自のものにしていたために海外とのブリッジングができなかったものがあ
る。ACR20,50が全盛のこの時代に、最終全般改善度などという旧来の指標を用いた企業
と治験総括(調整)医師の責任は大きいと思う。このような環境の元でJ-ARAMISが進行
していることを我々は意識するべきである。

本当に大切なことは何か、と言うことを今一度理解できた気がする。
おそらく今の日本のリウマチ学会ではこのようなことはできない。かなりのインフラが
必要だと思う。しかし、我々はできる!!
今回、電子投票システムでいろんな判断を参加者と比較したが、私の意見・判断・診断
はほぼすべて他の参加者の大勢と一致した。臨床研究に関する私の判断は、世界標準か
ら少なくとも大きくはずれているとは思えない。皆さんも安心してください。
[2002年4月15日 19時35分30秒]

お名前: 鎌谷直之   
山中先生、日本のRA臨床疫学研究の代表者に!!

すばらしい経験でしたね。これからも、頑張って。
[2002年4月13日 13時9分52秒]

お名前: 山中 寿   
OMRRACT 6 (Outcome measurement in RA clinical tirals)
11日からオーストラリアで開催されているOMRRACT 6に参加しています。
RAの臨床研究の方法論に特化したclosed meetingで、ACR20などの評価基準もこの会議で
生まれました。
Dr. Singhの紹介でinvitationされたのですが、予想外のことにDr. Singhは来ていませ
んでした。世界中から約100名が集まっていますが、それにしてもすごい顔触れの人が集
まっています。J.Sharp, J. Fries, P.Brooks, J.Edmond, D.Furst, J. Kirwan, R.Rau, 
L. Simon, P.Tugwell, van der Heijde・・・RAの臨床研究をしている人ならすごいと思
う人々が集まっています。おまけに、彼らの生の議論に入れるのですからこんな素晴ら
しい経験は初めてでした。日本人研究者が参加したのははじめてのことのようで、歓迎
されましたが、まだコミュニティーに入っていけないもどかしさがあります。昨日は、
臨床研究の指標としてどれが適切か、結果の解釈はどうするか、XP上のRepair 
phenomenonの問題、今日はRAのMRI評価基準の検定などが話し合われました。いずれも極
めてマニアックな議論が続いていて、RAの臨床研究に関与した人でないととてもついて
いけない感じです。順次報告しますが、今はここまで。・・・・・・・・・・
[2002年4月13日 12時46分59秒]

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